VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○%

つみたて次郎です。

米国株クラスタで賛否両論の嵐が巻き起こっている高配当戦略ですが、つみたて次郎はご存知の通り肯定の立場を取っています。

参考記事「高配当戦略の有効性

しかし、直近では成績が振るわないため、人気が下がっているように感じます。

そんな高配当株への投資については、致命的な弱点が存在しています。

根本的に配当金とは、利益の一部確定と同義であり、配当金を受け取る時点で課税されてしまいます。

長期投資では、税金の支払いを遅らせることで繰り延べ効果を活かすことが重要ですので、配当金再投資を前提とする場合は非常に不利になります。

高配当株に対する批判として最も強いものといっても過言ではなく、投資する時点でハンデを背負っている状態です。

参考記事「配当課税の恐怖と高配当戦略

そして今回は、高配当株に投資することでどれだけのコストが犠牲になっているかを計算してみたいと思います。

次のETF2つで検証してみたいと思います。

 

市場平均代表…バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI)
高配当株代表…バンガード・米国高配当株式(VYM)

 

VTIは、米国市場の株式をほぼ100%カバーする海外ETFです。VYMは、米国市場のうち配当利回りが平均より高い銘柄で構成されています。

配当利回りは現在、VTIが約1.7%、VYMが約2.9%となっています。

そしてその差は1.2%ですので、その分課税上の不利が発生する形となります。

米国の課税前長期リターンは約6.7%でしたので、これらを前提として計算してみます。

 

シミュレーション条件

・どちらも実質リターンは年間6.7%とする。
・VTIのキャピタルゲインは年間5%、インカムゲインは年間1.7%とする。
・VYMのキャピタルゲインは年間3.8%、インカムゲインは年間2.9%とする。
・値上がり益に対する課税は20.315%とする。
・配当金に対する課税は28.2835%とする。
(米国課税10%×国内課税20.315%として計算)

 

それぞれ実質リターンが同じだとして、配当利回りから値上がり益を逆算しています。配当金に対する課税は、外国税額控除が一切使用できないケースとします。

 

一括投資した場合の年数ごとのトータルリターンは次の通りです。

投資期間が1年~30年の場合で計算してみました。

VTIだと約5.3倍に増えましたが、VYMの場合は約4.9倍にとどまっています。

税の繰り延べ効果は期間が長くなるほど効果を発揮しますので、投資期間が長いほど高配当株は不利になります。

 

 

投資期間ごとの年間トータルリターンを表にまとめてみます。

投資期間\投資先 VTI(市場平均) VYM(高配当株) リターンの差
1年 5.22% 5.10% 0.12%
10年 5.42% 5.26% 0.16%
20年 5.59% 5.39% 0.20%
30年 5.71% 5.48% 0.23%

 

どちらの場合も、投資期間が長くなるほどキャピタルゲイン税の繰り延べ効果により年間当たりのリターンは改善します。

また、期間が長くなるほど配当利回りの差が重くのしかかり、トータルリターンにも差が出ています。

上記シミュレーションで30年間一括投資した場合は、VYMが年間で0.23%リターンを毀損していることになります。

この差が、VYMで高配当戦略を実践するうえで犠牲になるコストといえます。

逆に言えば、年間で0.23%を超えるリターンを叩き出せると思うのであれば、VYMに投資するべきだということになります。

しかし、長期投資においてはコストは非常に重要で、海外ETFの場合は0.01%単位で信託報酬が評価される現状では、0.2%前後の負担は決して軽くはありません。

ただし上記シミュレーションは、いくつかの条件を無視しているので、あくまで机上の空論であるという点にはご了承ください。

そもそもリターンがVTI=VYMになるという仮定に意味などないかもしれません。

参考に、前提条件で高配当戦略が有利になる点と不利になる点をまとめておきます。

 

高配当戦略にとって有利な条件
・インフレを考慮していない。
・配当利回りは現在歴史的に低い(=差が出にくい)

高配当戦略にとって不利な条件
・外国税額控除を考慮していない。
・自社株買いの流行で配当利回りが今後下がる可能性がある

 

 

ここまで読んで、課税によるデメリットについてどのように考えたでしょうか?

課税の影響はやはりデカいなと考える人もいれば、思ったより差が開いていないと思う人もいるかと思います。

ジェレミー・シーゲル教授の分析によれば、配当利回りとリターンは比例するというデータがあります。

S&P500配当利回りで分けたグループごとのトータルリターン(1957~2006年)

リターン
最高 14.22%
13.11%
中間 10.55%
9.79%
最低 9.69%
S&P500 11.13%

参考文献「株式投資第4版」

配当利回りが高いグループほど成績が良く、最高グループは年間で3%以上アウトパフォームしています。

上記データの詳細については不明ですが、VYMの場合は最高~中間くらいをカバーしていると推測できます。

すごい大雑把に計算すれば、最高・高・中間のリターンを平均すると年間12.62%です。

市場平均であるS&P500に対して約1.5%も超過リターンを得ていますから、もし上記データが始まる1957年にVYMという商品が既にあり、日本から投資できていたのであればS&P500に圧勝しているはずです。

もちろん今後もこの傾向が続くかどうかはまた別問題ですが、少なくとも上記期間においては課税を考慮しても高配当戦略は十分有効だったと推測することができます。

結局のところ、高配当戦略を肯定するにしても否定するにしても、税制上の不利というのはあくまで一要素でしかないという考えで臨んでいくことが重要ですね。

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楽天VYM次郎

VTIとVYMの配当利回りの差から考える、高配当戦略で犠牲になるリターンは年間○%” に対して 4 件のコメントがあります

  1. とっつぁん より:

    こんにちは〜質問です。確か、楽天VYM等の投信だと自動的に配当最投資で配当金に課税されないのですよね?
    以前、投信の配当最投資の事がブログ記事になっていたので過去記事探せばいいのですが、いつ頃の記事か忘れてしまったので…

  2. たぱぞう より:

    これ面白いですね~。
    VYMはどうしてもキャピタルがVTIに比べると劣後するので、実際の差はもっと開くかもしれませんね。
    VTIを超長期で保持して分配金も成長する、というのが理想ですかね。

  3. つみたて次郎 より:

    ≻≻とっつぁん様

    どうもこんにちは~。厳密には海外課税分は無分配型でもその都度引かれてしまいますが、国内課税分は繰り延べされています。
    また、見かけ上分配金が出ていなくても、分配金再投資型(ファンド内で分配金が出て直ちに再投資されるタイプ)の場合は両方課税されてしまうケースもあります。
    過去記事は多分これですかね?もし違う場合はコメントください。
    http://siegeljiro.com/mubunpai-bunpaikinsaitoushi

  4. つみたて次郎 より:

    ≻≻たぱぞう様

    コメントありがとうございます。分配金の増配率なんかも判断基準になってくると思うので、各投資家の好みに合わせて選んでいく必要がありそうですね。
    個人的にはVYMのトータルリターンに期待しています。

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