東証株価指数(TOPIX)とMSCIジャパン・インデックスを比較してみる
つみたて次郎です。
日本株式を対象するインデックス指数では、日経平均株価(日経225)と東証株価指数(TOPIX)が非常に有名です。
日経225…日本を代表する大企業225社で構成。単純株価平均。
TOPIX…東証一部に上場する約2,100社で構成。時価総額加重。
特にTOPIXについては日本株式市場を幅広くカバーしており、事実上の広域インデックス指数として取り扱われています。
インデックスファンドのスタンダードとなっており、バランスファンド等でも国内株式≒TOPIXになっていることがほとんどです。
ですが先日発表された株式型インデックスファンドのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)では、日本株式クラスにTOPIXではなくMSCIジャパン・インデックス指数が採用されており、大きな話題を呼びました。
MSCIジャパンはどちらかといえば外国人投資家が日本市場に投資する場合に使用されることが多いため、国内投信としては異例です。
どちらも日本株式市場を幅広くカバーするというのは同じなため、内容は似ています。
今回は、TOPIXとMSCIジャパンの違いについて考察していきたいと思います。
東証株価指数(TOPIX)について
TOPIX(トピックス)は、東京一部上場株の全銘柄を時価総額加重平均で割り出した指数です。
銘柄数は2018年9月28日時点で2,107種類と非常に多く、日本市場の時価総額上位95%をカバーしているといわれています。
投資信託ではeMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)や<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドなどがベンチマークとして採用しています。
国内ETFでは、iシェアーズ TOPIX ETF(1475)等で投資することができます。
MSCIジャパン・インデックスについて
MSCIジャパンは、日本株式市場の時価総額上位85%をカバーする指数で、採用銘柄数は332種類となっています。
TOPIXよりカバー率も銘柄数も少なくなっていますが、インデックス指数としては十分は範囲です。
日本国内での知名度は非常に低く、外国人が日本株に投資する場合に用いられることが多い指数です。
投資信託や国内ETFでの採用は(これまでは多分)なく、現状確認できるのは海外ETFのiシェアーズ MSCI ジャパン ETF (EWJ)だけでした。
※同日追記…2015年に繰上償還されていますが1544という国内ETFが以前存在していたようです。
外部リンク…「上場インデックスファンド日本株式(MSCIジャパン)」繰上償還および重大な約款変更に係る書面決議の基準日設定公告
ちなみに米国籍ETFを経由して日本株式に投資すると三重課税が酷いため、日本人がわざわざ投資する商品ではありません。
なお投資信託がMSCIジャパンをベンチマークにする分には税制上の不利はありません。
TOPIXとMSCIジャパンの比較
両方とも日本株式市場を広くカバーする時価総額加重インデックス指数なので、違いは銘柄数と時価総額のカバー率くらいになりそうです。
指数 | 銘柄数 | 時価総額 |
TOPIX | 2,107 | 上位95% |
MSCIジャパン | 332 | 上位85% |
TOPIXのほうがより広い指数になっており、日本においてはアクセスも容易であることから、個人投資家があえてMSCIジャパンに投資する意味はほぼないと言い切ってもよさそうです。
日本人にとってはほぼ無縁の指数といえます。
参考に上位銘柄の構成比率を比較してみます。(2018/10/15現在)
銘柄(一部略) | TOPIX | MSCIジャパン |
トヨタ自動車 | 3.24% | 3.91% |
三菱UFJ FG | 1.91% | 2.12% |
ソニー | 1.72% | 2.10% |
ソフトバンク | 1.70% | 2.05% |
日本電信電話 | 1.39% | 0.86% |
三井住友FG | 1.33% | 1.56% |
キーエンス | 1.14% | 1.46% |
本田技研 | 1.12% | 1.30% |
みずほFG | 1.05% | 1.23% |
KDDI | 1.04% | 1.22% |
なぜか日本電信電話(NTT)の比率だけ大きく違っていますが、時価総額純なので概ね似たり寄ったりの内容になっています。
MSCIジャパンのほうが全体に占める上位銘柄の割合が多くなっています。
Slim全世界株とMSCIジャパン
TOPIXをベンチマークとしたマザーファンドは主要運用会社のほとんどが保有していますが、MSCIジャパンをベンチマークとしているマザーファンドを運用しているところは聞いたことがありません。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を設定した三菱UFJ国際投信㈱も、そのためにわざわざマザーファンドを新設しています。
なぜTOPIXではなくあえてMSCIジャパンを採用したかといえば、指数との連動性を重視したからだと思われます。
本ファンドのベンチマークはMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスになっており、日本株含めた全世界の株式を広くカバーしています。
そしてこの指数は、3つの地域に分解することができます。
地域 | 指数(略称) |
日本 | MSCIジャパン |
先進国 | MSCIコクサイ |
新興国 | MSCIエマージング |
この3地域を組み合わせたのがMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスであるともいえます。
当然ながらTOPIXはMSCIジャパンと異なる動きをしますので、指数にしっかり連動させるためMSCIジャパンをベンチマークにしたマザーファンドを新設したと考えるのが自然です。
しかし他用途としてMSCIジャパンが必要になるケースはほぼ考えられず、実質的に本ファンド専用になってしまう危険性があります。
連動性を重視するよりも、既存マザーファンドを活かせるTOPIXで代用してもよかったのではないかという意見も多数出ています。
まとめ
TOPIXとMSCIジャパンの違いから少し脱線しましたが、日本人が日本株に投資したい場合MSCIジャパンのことは考えなくてもよいと思います。
それだけにMSCIジャパンを採用した三菱UFJ国際投信は思い切った判断をしたといえます。
マザーファンドがうまく育たないリスクを抱えることになりますが、うまくいえば他社が類似商品を投入しづらいという状況を作ることができます。
賛否両論ではありますが、個人的には良い判断だったのではないかと思います。
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ジャパン次郎
日本電信電話(NTT)は、eastとwestに分かれていて、こちらはeastのようです。
なるほどそうだったんですね。参考になります。