【IF】楽天VYM vs 本家VYM(税金が25%の世界で)

つみたて次郎です。

昨日、株式投資における売却益や配当金にかかる税金が、現在の20%から25%に引き上げられる可能性があることを記事にしました。

参考記事「株の配当課税・売却益課税が増税される可能性

投資家にとって最大の敵といえる税金が増えてしまうと、長期間におけるリターンには大きな悪影響を及ぼします。

そして、当ブログで何度も登場している「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(以下:楽天VYM)」ですが、仮に税金が25%になったとすれば、相対的に魅力が増すことになります。

なぜなら、売却益課税は平等に25%取られてしまうけど、楽天VYMであれば配当課税部分を繰り延べすることができ、複利効果を高めることができるからです。

楽天VYMの比較対象となるのは、もちろんそのオリジナルとなる「バンガード・米国高配当株式(以下:VYM)」です。

以前一度対決記事を書いていますが、楽天VYMに有利な条件をつけると、年間で0.25%ほど本家VYMを超えることが分かりました。

参考記事「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド vs 本家VYM

見ていない方は先に見たほうが分かりやすいかと思います。

もちろんこの結果を持って、楽天VYMが有利という結論を出すのは危険ですが、参考程度にはなるかと思います。

そして、今回税率が20%から25%になることで、その差はさらに広がることになります。

というわけで、「金融所得課税が25%に引き上げされてしまったら?」というIFで勝負させてみたいと思います。

課税率以外の前提条件は同じとして、また楽天VYMと本家VYMに戦ってもらいましょう。

 

共通条件

・トータルリターンは年7%(値上がり4%、配当利回り3%)で固定する。
・100万円を一括投資して、30年後のリターンで比較する。
・どちらもすべて特定口座(金融所得課税率は25%)で運用するものとする。
・トラッキングエラー等の隠れコストは考慮せず、信託報酬=実質コストとする。

 

楽天VYM側

・信託報酬含む実質コストは0.2096%で固定とする。
・配当金は30年間一切でないとする。
・ファンド内の配当金は米国課税分10%を引いた2.7%を再投資されたとする。
・ポイント還元率は0.048%とし、楽天VYMを追加で購入する資金とする。(楽天証券参考)

 

本家VYM側
・信託報酬含む実質コストは0.08%で固定とする。
・配当課税のうち米国課税分は一切取り戻せないこととする。
・配当金は、米国課税分10%と国内課税分25%を引いた2.025%を再投資する。
・売買手数料は片道0.486%とする。(SBI証券参考)
・本来不可能だが、端数を出さずにピッタリ再投資できるものとする。

 

税金以外は全く同じです。前回同様、楽天が勝って当たり前の条件です(笑)

結果は次の通りになりました。

課税後評価額 年平均リターン (参考20.315%の時)
楽天VYM 5,275,835円 5.7003% 5.8727%
本家VYM 4,828,899円 5.3889% 5.6217%

 

投資期間を30年とする場合、税率が20%→25%になることで楽天VYMは年間0.17%、本家VYMは年間0.23%ほどリターンが減少しています。

楽天VYMと本家VYMの差は、当然ですが広がっています。

現在の税率20.315%だった場合の差は約0.25%の差でしたが、税率が25%になった場合、0.3%以上の差が開きます。

 

前回のようにまとめると次の通りです。

配当金・売却益にかかる税率が25%になった場合

楽天VYM側の隠れコストと、本家VYM側の外国税額控除で取り戻せる配当課税の合計が、年間0.31%以内に収まるなら楽天VYMが税引後トータルリターンで勝つ(多分)

現時点よりも若干差が広がったとはいえ、このシミュレーションは楽天VYMに有利な条件を重ねて行っているので、現実的にはやはり本家VYMのほうが有利な部分が多いかと思います。

そもそも楽天・バンガード・ファンドは、本家バンガードETFが抱えている繰上償還・トラッキングエラーといったリスクに加えて、楽天投信投資顧問㈱のリスクも二重に背負っている点には注意が必要です。

例えば、本家VYMがトラッキングエラーをやらかした場合(ほぼあり得ないと思いますが)、楽天VYMも同じように悪影響を受けます。

さらに楽天の場合、そのETF自体をうまく運用しなければ指数から乖離してしまうので、本家VYMよりも指数への連動という意味では不安が残ります。

同じようにほぼあり得ないと思いますが、本家VYMが万が一繰上償還した場合、自動的に楽天VYMも繰上償還になるでしょう。

結局のところ、本家VYMがコケれば楽天VYMもコケるけど、その逆はないということです。

楽天・バンガード・ファンドは、構造的に本家バンガードETFを持つよりも確実に不利になる部分があるため、トータルリターンだけで安易に優劣をつけるべきではありません。

また、現在では投資信託という税制上の優位性を活かすことで、なんとか対等な立場に持ち込んでいますが、政府の意向次第で簡単に優位性は崩れてしまいます。

もし税制上ニュートラルな環境になった場合、楽天に払う余計な手数料がある楽天VYMに勝ち目はないでしょう。

したがって、仮にトータルリターンで楽天VYMが勝るとしても、両方選択肢にある人は本家VYMを素直に選んでいたほうが良いかと思います。

11月19日追記…同じく金融所得課税強化と高配当株について考察された記事がありましたので、参考にリンクを張っておきます。合わせて読んでいただくと分かりやすいと思います。

外部リンク「高配当株投資は、将来、とても不利になるかもしれない。

 

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楽天VYM

【IF】楽天VYM vs 本家VYM(税金が25%の世界で)” に対して1件のコメントがあります。

  1. きゃぷてん より:

    次郎さん、いつも応援していますよ
    ところで楽天VYMは実際のところいつから開始か
    どこかに正式なアナウンスありましたか?

  2. つみたて次郎 より:

    いつもありがとうございます。
    楽天VYMは、EDNETによると1月9日が当初申込日になっています。
    とても楽しみです。

  3. サバ缶 より:

    前の記事への質問となります。
    楽天証券での特定口座での話になりますが、
    楽天VTI(楽天VYM等も)を運用していくときにかかるコストは、購入時にかかるコストはノーロードであるので、実質信託報酬だけと考えて良いのでしょうか?

    隠れコストと呼ばれているのは、信託報酬が0.1696%と謳われているのに実態は倍程度かかっており、
    仮に0.32%とすると、楽天VTIを保有している額に対して、0.32%/365でコストが毎日かかっているという認識で合っておりますか?

  4. つみたて次郎 より:

    >>サバ缶様

    購入時の費用はノーロードなので、おっしゃる通り信託報酬+それに付随するコストを日割りで負担するだけになります。(例の場合は0.32%/365という解釈でOKです)
    ただし信託報酬外の費用については公表されている情報だけでは正確に算出することが不可能であり、指数との乖離も考慮しなければならず真の隠れコストを調べることは難しいです。
    信託報酬含めたコストを毎日継続して負担していることを理解しておけば十分だと思います。

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