全世界株・米国株・先進国株を単体で比較して意味あるの?

つみたて次郎です。

ここ最近、投資信託業界の急成長が凄まじいです。

特に、バンガードETFを買い付けるだけの「楽天・バンガード・ファンド」と他社を圧倒する低コストを実現した「eMAXIS Slim」の躍進が素晴らしいです。

その中でも、長期投資の主力として有力な商品を上げると次の通りです。

ファンド名 投資範囲 信託報酬
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT) 全世界株 0.2396%
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI) 米国株 0.1696%
eMAXIS Slim先進国株式ファンド 先進国株 0.11826%

 

これらは、どれも単体保有も視野に入る広域的な範囲をカバーする商品です。つみたて次郎は、つみたてNISAで楽天VTI単騎を積立中です。

しかし、この3つは似ているものの、投資対象には大きな違いがあります。

全世界株(楽天VT)と米国株(楽天VTI)の比較というか考察については、前回まとめましたのでよろしければご覧ください。

参考記事「全世界株+米国株はアリなのか?

今回は、先進国株式クラスに投資できる「eMAXIS Slim 先進国株式ファンド」を中心に考えてみます。

eMAXIS Slimが信託報酬引き下げを発表する前は、楽天VTIの0.1696%が最安値クラスでした。しかし、eMAXIS Slim先進国株が0.11826%に引き下げられることが発表され、大幅に更新されてしまいます。

これにより、コスト最優先で楽天VTIを検討していた人の中には、eMAXIS Slim先進国株に切り替えた人もいるかと思います。

しかし、この2つは投資内容が全く違うため、そもそもコストで比較してはなりません。

細かい部分だと、小型株の有無や運用方法等がありますが、最大の違いは、米国以外の株式を含むかどうかです。

eMAXIS Slim先進国株の場合、国別比率は次のようになっています。

出典「三菱UFJ国際投信」

このように、全体の3分の2近くがアメリカとなっています。米国株の影響が非常に大きいことが分かります。

そのため、「ほとんど米国株=先進国株だから、コストの低いほうでいいじゃん」という論調が生まれてしまうのかと思います。

この比率は、あくまで現時点の比率でしかないということを忘れないでください。

米株クラスタにとっては酷な妄想かもしれませんが、今後米国経済がボロボロになり、ドルに代わりユーロが世界基軸通貨になって…なんて未来もないとは言い切れません。

そして、先進国株の大部分をヨーロッパ株を占めるなんて時代が来るかもしれません。

また、新興国株や日本が急成長する可能性だってあります。特に新興国株は、今後株式市場における構成比率が増えていくことは、ほぼ確実な予想です。

2050年の株式市場は、時価総額基準で次のようになると予想されています。

参考文献「株式投資第4版」

中国やインドを筆頭とする新興国株が、全体の半分以上を占めるようになります。

全世界株式に投資する楽天VTの場合、2050年には半分以上が新興国株になってしまいます。

現在では世界の半分以上を占める米国株や、世界の8割近くを占める先進国株(日本除く)は、かなり少数派の存在になってしまいます。

そのため、米国株一本ということは、2050年におけるたった20%だけを保有することを意味するし、先進国株でもせいぜい35%程度しかありません。

2050年までの間に中国やインドが先進国の仲間入りする可能性もあるので一概には言えませんが、とても国際分散投資とはいえない状況になる日が来るでしょう。

そのため、米国株や先進国株を国際分散投資替わりに利用している人は、やがて新興国株を買い足ししていることを強いられることになるでしょう。

一応誤解の内容に説明しておきますが、株式市場の時価総額と株式リターンは、直接相関するものではありません。

新興国株の時価総額が増加していく=新興国株のリターンが良いという意味ではありません。時価総額には、単純に株価の上下以外にも多数の要素が存在します。

○企業の新規上場・廃止
○企業の増資・自社株買い
配当金再投資の影響

新興国株の時価総額の割合が増えていくのはほぼ確実な未来ですが、将来のリターンにどう影響するかは未知数です。どちらに転ぶにせよ、未来の大半を占める新興国株に投資しないという選択は、それ相応のリスクがあることを自覚するべきです。

つみたて次郎は、これらを踏まえて米国市場や米国企業のリターンを信じていきたいので、2050年における20%部分に集中投資していく覚悟です。

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米国株20%

全世界株・米国株・先進国株を単体で比較して意味あるの?” に対して1件のコメントがあります。

  1. ど素人インベスター より:

    同じように(同じか分かりませんが)TOPIXインデックス、日経225インデックス、ひふみ投信を三等分して持つことに「意味が無い」「絞るべき」という意見があります。
    私はその理由がわかりません。
    人気が高く、信託報酬の低い 良いファンド を、適当に見繕って買うことの何が「いけない」のでしょうか?
    好きなように買っていいと思うのですが。
    楽天VT,VTIを半々に買ったって「いけない」理由が無いと思います。
    ただ、テーマが無いだけで。

  2. つみたて次郎 より:

    日本株式クラスにあてる部分をTOPIX、日経、ひふみで分散するのは、一定の合理性があるかと思います。
    シーゲル教授の推奨ポートフォリオでも、米国株内でテーマ別に分散しています。
    いずれにせよ、最初にアセットアロケーションを決め、それに合わせた投資信託なりETFを選ぶべきかと思いますので、内容の異なる商品をコストや人気だけで比較するべきではないと思います。
    米国重視の国際分散を実行するのであれば、楽天VTと楽天VTI半々という選択肢でも問題ないと思います。

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