iシェアーズ・MSCIサウジアラビア(KSA)を分析。サウジアラビア市場全体に投資できる海外ETF

つみたて次郎です。

今回はいつもと少し趣を変えて、単一国ETFを分析していきます。

第一弾はiシェアーズ・MSCIサウジアラビア(KSA)です。

名前の通り、サウジアラビアの株式全体に投資できる海外ETFとなっています。

比較対象は、新興国株式全体をカバーしているiシェアーズ・MSCIエマージング(EEM)とします。

 

各種指標(2020/3/4現在)

それぞれのデータをまとめていきます。

KSA(サウジ株) EEM(新興国株)
信託報酬 0.74% 0.68%
銘柄数 72銘柄 1,227銘柄
PER 16.80倍 14.22倍
PBR 1.75倍 1.61倍
配当利回り 2.20% 2.91%

 

新興国の単一ETFだけあって、銘柄数は72と少なめです。

バリュエーションについて特筆するところはありませんが、配当利回りが低めなのはちょっと意外でした。

信託報酬は0.74%とかなり高めです。

EEMとさほど変わらないように見えますが、新興国株ETFというジャンルで考えればバンガードのVWO0.10%で存在していますので、単一国の比率を挙げたい場合は相応のコストを払う必要がありそうです。

 

セクター比率(2020/3/4現在)

KSA(サウジ株) EEM(新興国株)
金融 46.33% 26.82%
素材 25.22% 7.06%
コミュニケーションサービス 7.42% 4.11%
エネルギー 5.67% 7.30%
生活必需品 4.88% 6.72%
一般消費財 4.02% 6.33%
公共事業 2.58% 2.75%
ヘルスケア 1.98% 2.85%
資本財 1.89% 5.21%
情報技術 0.00% 30.85%

 

金融と素材で全体の7割以上を占めていたり、情報技術がゼロになっていたりと、非常にクセの強いセクター比率となっていますね。

個人的にはエネルギーセクター比率があまり高くなくて驚きました。

 

構成銘柄上位10種(2020/3/4現在)

銘柄 セクター 構成比率
アルラジ銀行 金融 12.32%
サウジ・ベーシンク・インダストリーズ 素材 9.52%
ナショナル・コマーシャル・バンク 金融 8.37%
サウジ・アラビアン・オイル エネルギー 5.66%
サウジ・テレコム コミュニケーションサービス 5.36%
サンバ・ファイナンシャル・グループ 金融 4.14%
リヤド銀行 金融 4.11%
バンク・サウジ・フランシ 金融 3.20%
サウジ・ブリティッシュ・バンク 金融 2.96%
アルインマ・バンク 金融 2.88%
上位10銘柄 58.33%

 

上位10銘柄で全体の6割近くを占めています。

時価総額比で半分弱が金融セクターなだけあって、上位10銘柄のうち7つが金融セクター企業になっています。

特に注目したいのは、サウジ・アラビアン・オイル・カンパニーについてです。

あまり聞きなれない企業ですが、サウジアラムコと言えばピンとくる方も多いかと思います。

世界最大の石油株式会社であり、2019年12月にはサウジアラビア国内で念願の株式上場が達成されました。

時価総額は2兆ドルに迫り、あのアップル(AAPL)を優に超える全業種中世界最大の企業といえます。

しかし、国営企業であるがゆえ浮動株比率はかなり低く、浮動株調整後時価総額だとそこまで大きな割合を占めているわけではないようです。

参考記事…浮動株調整後時価総額加重平均とは?

それを反映して、KSAにおける構成比率も6%弱と、企業規模から考えるとかなり控えめな組み込まれ方となっています。

 

トータルリターン(設定来)

KSAの設定は2015年とかなり最近なので、設定来のチャートを比較してみます。

 

出典「PORTFOLIO VISUALIZER」一部加工

プラスリターンにはなっていますが、広範囲なインデックスファンドには負けており、今のところ良い所なしです。

これだと期間が短すぎるので、サウジアラビア上場株全銘柄で構成されているサウジ・タダウル全株指数のチャートも張っておきます。

出典「Investing.com

1998年以降のデータですが、なかなか恐ろしいチャートですね…。

2006年1月2日につけた最高値(19,502.65ポイント)から2009年1月2日の底値(4,384.59ポイント)で見ると77.5%の大暴落を経験しています。

ちなみにリヤル円の為替レートを考慮すると円建てで82.4%の暴落となります(辛)

また、直近では原油価格の暴落を受け、指数も大きく暴落しています。

出典「Investing.com

典型的な資源国の動きで、良くも悪くも原油価格に左右されやすいです。

 

サウジアラムコが意外と少なくて驚き

投資対象・コスト面で考えてつみ次郎が投資することはほぼなさそうですが、そもそも国内証券では取り扱いされていないようです(お約束)

今回KSAを分析しようと思ったのはサウジアラムコの構成比率がどんなもんなのか知りたかったからです。

結果としては、サウジアラビア株式インデックスの中でもわずか5%ほどしか組み込まれておらず、その影響力はそこまで大きいとは言えません(今後増える可能性はありますが)

サウジアラビア株式自体が新興国株の中でそこまで大きな割合を占めているわけではありませんので、新興国株式インデックス、さらに広範囲の全世界株式インデックスにおける構成比率はほんのわずかであると考えられます(別記事でまた考察します)

その一方、サウジ・タダウル全株指数とは別にサウジアラムコ株を採用するといった案もあるようなので、今後ダイナミックに増得る可能性もあります。

外部リンク…アラムコ株、終値でも2兆ドル突破 国際指数組み入れで

もしかしたら遠い将来、全世界株式インデックスファンドの構成比率トップがサウジアラムコになっているかもしれませんね(壮大)

にほんブログ村 株ブログ 米国株へにほんブログ村 株ブログ つみたてNISAへにほんブログ村 株ブログ 投資信託へ
ブログ村ランキング

アラビアン次郎

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください