時価総額加重平均における自社株買いや配当金がもたらす構成比率への影響について

つみたて次郎です。

タイトルが分かりづらいですが、時価総額加重平均インデックス指数における各銘柄の構成比率について考察する記事です。

いくつかの前提条件は省略しますので、さきに以下の参考記事に目を通していただくことをオススメします。

参考記事…時価総額加重平均における高配当銘柄の構成比率について
参考記事…自社株買いをすると株価や時価総額はどうなる?

要点だけまとめておきます。

・トータルリターンが同じという前提であれば、配当利回りが高い銘柄ほどインデックス指数における構成比率は小さくなる(配当込み指数で特に顕著)
・配当込み指数においては配当金を再投資する際に高配当株→低配当株に資金が流れやすい。
・配当金を出すと時価総額も株価も減る。
・自社株買いをすると時価総額は減るが、株価は変わらない。

この前提をもとに、色々シミュレーションを行っていきます。

 

無成長VS自社株買いVS配当金

以下のような3社を用意し、構成比率の変化について検証してみたいと思います。

〇共通項目
・トータルリターンは全てゼロとする。
・当期純利益はゼロ、利益成長もゼロ。
・1株当たりの株価はそれぞれ100円とする。
・発行株式数はそれぞれ10,000株とする(時価総額は各100万円)

〇何もしない株式会社
・自社株買いも配当も一切行わない。
・時価総額も株価も一切変動しない。

〇自社株買い株式会社
・毎年10万円の自社株買いを行う(1株当たり10円)
・時価総額は自社株買いに応じて減り、株価は一切変動しない。

〇配当株式会社
・毎年10円分の配当金支払いを行う(1株当たり10円)
・配当金に税金はかからないとする。
・時価総額や株価は配当金支払いに応じて減る。

 

それぞれトータルリターンはゼロになっており、現実的には一切投資に値しない〇ソ株となります(笑)

それぞれの違いは毎年何が変化するか?という点です。

時価総額 株価
何もしない㈱ 変わらない 変わらない
自社株買い㈱ 毎年10万円減る 変わらない
配当㈱ 毎年10万円減る 毎年10万円減る

 

この3社の時価総額はそれぞれ100万円で全く同じなので、浮動株調整等を考慮しなければ時価総額加重インデックス指数における構成比率は全く同じになります。

また、それぞれ発行株式数も10,000株と同じなので、インデックスファンドの運用会社としては全く同じ株数ずつ保有していればよいという事になります。

 

インデックス指数と言えば配当を考慮しない配当抜き指数と配当を考慮する配当込み指数の2種類に大きく分けることができます。

まずは分かりやすい配当抜き指数で考えてみましょう。

時価総額だけに注目した場合、1年後に何もしない㈱の時価総額は100万円から変動しませんが、自社株買い㈱と配当㈱の時価総額は10万円ずつ減って90万円となります。

時価総額 当初 1年後
何もしない㈱ 100万円 100万円
自社株買い㈱ 100万円 90万円
配当㈱ 100万円 90万円

 

時価総額のバランスで言えば、100:90:90の比率に合わせればいいという事になります。

しかし、株価に注目すると違う動きになっています。

株価 当初 1年後
何もしない㈱ 100円 100円
自社株買い㈱ 100円 100円
配当㈱ 100円 90円

 

インデックスファンドの運用会社はそれぞれ同じ株数を保有しているため、全く何もしなければ各会社の構成比率も100:100:90になってしまい、時価総額の比率とズレてしまうという現象が発生します。

詳しい計算は端折りますが、仮に各株式を1,000株(発行株式の10%)ずつ保有している場合、自社株買い㈱の株式を68株売却し、何もしない㈱を36株・配当㈱を32株買付するとこのズレをほぼ是正することができます。

 

 

この時点でややこしいですが、配当込み指数の場合はさらに厄介です。

配当込み指数の場合、発生した配当金を時価総額の比率で再投資しなければなりません。

上記の例に合わせて各株式を1,000株ずつ保有していた場合、配当㈱からは合計10,000円の配当金を受け取ることができます(1,000株×10円)

この10,000円も含めて時価総額に合わせた100:90:90の比率で分配しなければなりません。

再び計算は端折りますが、この場合は自社株買い㈱を36株売却し、何もしない㈱を71株・配当㈱を71株買付するとちょうどいい感じになりました。

株価 保有株数 評価額
何もしない㈱ 100円 1,071株 107,100円
自社株買い㈱ 100円 964株 96,400円
配当㈱ 90円 1,071株 96,390円
合計 299,890円

 

多少の誤差はありますが、銘柄ごとの構成比率は100:90:90になっており、その合計もトータルリターンプラマイほぼゼロになっています。

買付する株数が一緒だったのは偶然だと思います(辛)

 

結論的なもの

考察の着地点が分からなくなってきましたが、結論として配当込みインデックス指数における各銘柄の構成比率については、以下のようなことが分かりました。

・トータルリターンが同じである場合、株主還元(配当+自社株買い)が多いほど構成比率は小さくなる
・特に自社株買いの割合が多い企業は、比率調整の際に売られやすい(あるいは買われにくい)

2つ目は無理やりひねり出したオマケみたいなもんなので、1つ目だけでも十分ですね(笑)

また、配当抜き指数に連動するインデックスファンドであっても、分配金を手動で再投資すれば同じような現象が起こますし、そもそも配当抜き指数連動でも実質的には配当込み指数をベンチマークにしている場合がほとんどなので、時価総額加重インデックスファンドに投資している人全員に関係する話と言っていいでしょう。

また、今回は1年後の変化にのみ触れましたが、これが数年~何十年となれば大きなズレになりそうですので、頭の片隅に入れておきたいところです。

2年目以降もやろうと思ったのですが、計算が難しすぎて諦めました(辛)

ちなみに今回例に挙げた企業の場合、自社株買い㈱と配当㈱は10年後に消えてなくなります(笑)

実際のファンドは銘柄数も非常に多く、企業の増資や減資・資金の流出入なんかも考慮する必要があるのでここまで簡単な調整では済みませんが、ファンドの内側で何をやっているか?という目安(妄想)にはなるのではないかと思います。

インデックスファンドの運用というと素人から見ればかなり簡単に見えてしまいがちですが、頑張って指数に連動させてくれる金融マン(ウーマン)の方々には日々感謝が必要ですね(唐突な〆)

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時価総額加重次郎

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