eMAXIS Slimがニッセイに抵抗して信託報酬引き下げ!
つみたて次郎です。
先日6月30日、ニッセイアセットマネジメント㈱が運用する<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬が大幅に引き下げられ、ほぼすべてのジャンルで最安値を誇っていたeMAXIS Slimシリーズを追い抜きました。
参考記事「ニッセイAMが<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬を大幅引き下げ!」
しかし先日7月3日、ニッセイに対抗してeMAXIS Slimシリーズの運用会社である三菱UFJ国際投信㈱が、対抗引き下げすることを発表しました。
外部リンク…業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施
ニッセイが発表してからわずか数日後の発表ですから、いかに三菱が本気で信託報酬最安値の座を守りたいかがよく伝わってきます。
今回の変更により、下記3商品の信託報酬が引き下げられました。
略称※ | 変更前 | 変更後 |
先進国株式 | 0.11826% | 0.11772% |
新興国株式 | 0.2052% | 0.20412% |
バランス(8資産均等型) | 0.1728% | 0.17172% |
※いずれも正式名称は「eMAXIS Slim ○○ インデックス」
そして引き下げ後の信託報酬を、ニッセイが運用する<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬と比較しています。
ジャンル | <購入・換金手数料なし> | eMAXIS Slim |
TOPIX | 0.17172% | 0.17172% |
日経平均 | 0.17172% | 0.17172% |
先進国(外国)株 | 0.11772% | 0.11772% |
新興国株 | 0.20412% | 0.20412% |
4資産均等 | 0.17172% | (該当なし) |
6資産均等 | 0.17172% | (該当なし) |
8資産均等 | 0.17172% | 0.17172% |
今回引き下げがあった部分は赤字にしています。
今回の変更で、全てのジャンルで信託報酬が横並びになっています。
これはつまり、eMAXIS Slimは単独で最安値を目指すことはせず、最安値タイで十分と判断していることになります。
単独最安値ではないので、商品のアピールポイントとしては多少弱いですが、むやみにニッセイと競争して消耗するのは避けたいという思惑がありそうです。
逆にニッセイの立場からすれば、さらに抵抗して信託報酬を再び引き下げても、その後すぐに同じ水準まで引き去られてしまうというプレッシャーになります。
現状三菱のeMAXIS slimとニッセイの<購入・換金手数料なし>は、他社シリーズに比べ頭一つ抜けていますので、この2社でインデックス投信業界を支配していくというシナリオも十分考えられそうです。
また、三菱UFJ国際投信㈱は三菱財閥グループの一角という強力なバックアップがありますし、eMAXIS Slim以外にも幅広い商品展開を行っていますので、ニッセイがなりふり構わず信託報酬を引き下げ続けても、追随するのはそう難しくないでしょう。
逆にニッセイにとっては、<購入・換金手数料なし>は看板商品であり、総資産額も多いため、信託報酬引き下げによる収益悪化は避けられません。
三菱がニッセイに合わせるのと、ニッセイが三菱に合わせるのでは意味合いが変わっていきそうです。
今回の引き下げは、三菱からニッセイに対する警告のような意味があるのかもしれません。
いずれにせよ、この2社の今後の動向からは目が離せません。また、第3の新しい勢力が現れる可能性も十分ありますので、まだまだお楽しみがありそうです。
さて、信託報酬が同一水準ということは、信託報酬が意外に発生する隠れコストを考えて投資する商品を選んでいくことになります。
<購入・換金手数料なし>シリーズは、たびたびトラッキングエラーを繰り返しており、その意味では運用安定性に疑問があります。
その一方、eMAXIS Slimシリーズは、マザーファンドがeMAXIS(通称:Fat)シリーズやつみたてんとうシリーズと共用になっており、運用の安定感は抜群です。
運用会社の知名度や規模なども踏まえると、個人的にはeMAXIS Slimのほうが好みですね。
また、実質コストに大きな差が出ないのであれば、両方とも保有するのアリかもしれません。
参考記事「MSCIコクサイ7種」
いずれにせよ、実質コストについては事前に予想不可能ですし、最終的な運用成績に大きな影響を与えるような差になるとは考えにくいので、あまり考えすぎるのも良くないかもしれませんね。
また、上記商品のうち8資産均等型については、新興国債券部分について違いがあり、eMAXIS slimは現地通貨建て・<購入・換金手数料なし>は米ドル建てとなっています。
そのため、8資産均等型だけは信託報酬及び実質コストのみで比較しないように気を付けましょう。
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Slim次郎