配当性向は高いほうがいい

シーゲル二郎です。

 

 

配当性向とは、簡単に言えば、利益の何%を配当金として支払ったかを表したものです。

例えば、配当性向100%の企業は、儲けた利益全額を配当金として株主に払ったことになります。逆に、無配当企業はもちろん0%だし、数字は企業によりさまざまです。

連続増配企業の場合、利益が激減したとしても、内部留保を使って増配を維持しようとするので、その場合は配当性向は100%を超えたりします。また、赤字なのに配当を出した場合はマイナスになります。

基本的には、配当性向は低いほうがいいといわれています。当たり前ですが、配当金よりも大きく利益を上げていたほうが安心できるし、今後の増配率も期待できるからです。

逆に配当性向が高いということは、利益の多くを配当金に渡していることなので、余裕がない状態ともいえます。ちょっとした経営不振で減配になりかねません。

しかし、シーゲル二郎は、配当性向がそこそこ高いほうがいいと思っています。なぜなら、配当性向が高いということは、連続増配が難しくなるからです。

当たり前ですが、配当性向が低い企業は、多少利益が減っても増配をすることができます。例えば、配当性向が100%だった企業の利益が半減してしまったら、残りの半分を内部留保から払わなければなりません。いわゆる自腹です。もちろんそれは株主のお金です。

逆に、配当性向が20%の企業が利益半分になっても、まだ配当性向は40%ですから、増配自体は問題なく可能です。

つまり、配当性向が低い企業にとって増配は難なくクリアできる低いハードルなんです。例えば、配当貴族の中にCRバード(BCR)という45年連続増配中の企業がいます。この企業の直近の配当性向は15%を下回っており、非常に低いです。つまり、利益が数分の1になったとしても、利益を全額配当すればタコ足配当せずに達成できてしまうんです。低いハードルを毎年飛び越えている状況です。

逆に、シーゲル派大好きフィリップモリスは、利益のほぼすべてを配当金にあてているし、債務超過のため自腹を切るのも難しいので、減益がそのまま減配になりかねません。ハードルはとても高いです。

連続増配企業が高いリターンをもたらしたのは、ただ配当金を増やしてきたからではありません。連続増配の記録自体はリターンと関係ありません。野球でいうノーヒットノーランみたいなもので、意識しすぎると試合に負けてしまうこともあります。

連続増配そのものが大事なのではなく、連続増配できるように長期間利益を伸ばし続けたかが大事なのです。なので、本当は連続増配企業じゃなくて連続増益企業のほうがいいんです。ですが、企業の業績には波があるので、記録を伸ばし続けるのは非常に難しいし、長期的な目線で企業も運営できなくなってしまいます。だから便宜上利益に連動しやすい配当金に注目しているだけなんです。

配当性向が低い企業は、減益が続いても増配が簡単なので、上記の考えと真っ向から対立する存在です。配当性向が低い企業の連続増配は、何の価値もないといっても過言ではありません。逆に、配当性向が高い企業は、毎年高いハードルを乗り越えている理想的な企業ともいえます。もっとも、つまづいたらそこで貴族から脱落することになりますがね。

ここで配当性向が低い企業の名誉のために行っておきますが、配当が少ない連続増配企業が株主をないがしろにしているわけではありません。上記のCRバードも、利益の多くは自社株買いに使われており、株主意欲は十分あります。ただ、連続増配記録45年に価値がないと言っているだけです。

ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」の中でも、配当金と自社株買いは同じような効果があるが、自社株買いは配当金に比べて実行されるか不確実であると述べられています。自社株買いそのものに注目はあっても、継続的に自社株買いしているかどうかに注目されることは少ないです。

あり得ませんが、「自社株買い増額企業」なんて考え世間の判断基準になれば、CRバードのような自社株買いで株主還元する企業も報われるのではないでしょうか。

ようするに自社株買いは配当金に比べてまだ注目度が低いということです。

上記理由から、配当性向はそこそこ高いほうがいいというのが、シーゲル二郎の結論です。ただし、100%を超えないのはもちろん前提です。連続増配にこだわり続けタコ足配当を続ける企業は、ノーヒットノーランにこだわって逆転負けした野球チームのようなものです。

連続増配は株主利益を損ねるのですから、ハードルが超えられないようならとっとと減配してくれたほうがお互いのためです。特にシーゲル二郎の投資している配当貴族指数は、どんなポンコツ銘柄でも増配さえ続けていればそのまま椅子に座り続けることができます。また、等金額インデックスなので、急落中の株にどんどん追加投資していきます。

ポンコツが増配を続けることによる被害が特に大きいので、没落貴族は早めに減配してください。

 

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