ウェルズ・ファーゴ(WFC)分析

シーゲル二郎です。

今回は、ウェルズ・ファーゴ(WFC)を分析していきます。

米国大手のリテール銀行です。

 

連続増配…6年

S&P格付…A

採用インデックス
・S&P100
・S&P500

 

米国内でのみ活動する商業銀行なので、日本では一般人の知名度は皆無です。しかし、投資家においては、そこそこ有名です。

なぜかというと、世界一の投資家、ウォーレン・バフェット氏が多額の投資をしており、バフェット銘柄として知られているからです。

ウェルズ・ファーゴは、資産規模では米国3位、時価総額では米国2位の巨大商業銀行です。

銀行は、大きく分けて次の2つに分類できます。

 

商業銀行…お金を預かり、必要な人に貸し付ける。

投資銀行…株や投資信託などの金融商品の売買をしたり、資産運用を行う。

 

一般的に銀行と言われて思い浮かぶのは、商業銀行かと思います。日本だとみずほ銀行などですね。

投資銀行は、野村證券などが有名です。資産運用をしている人以外はあまり利用しないですね。

規模の大きい銀行では、両方兼業することも多いです。しかし、ウェルズ・ファーゴは、商業銀行業務のみであり、みんなから預金を預けてもらって、必要な個人や企業に貸し出すという昔ながらの間接金融事業が中心となっています。

バフェット氏が投資を決意した理由の1つは、この昔ながらの古臭いビジネスモデルを守り続けているからです。

 

事業の半分が小規模融資が占めており、個人向け、中小企業向けなどが含まれています。これは、他の大手銀行と比べると珍しい事業構成です。

通常規模の大きい銀行ほど、大手企業や機関投資家などの大口融資が多くなる傾向にあります。また、投資銀行業務もしていないので、大手銀行にありがちなデバリティブ(金融派生商品)のようなインチキ商品を開発したりもしていません。

バフェット氏は、「デバリティブは大量破壊兵器だ」と強く非難しており、複雑な金融商品に対するリスクを警告しています。(といってバフェット本人もチャンスがあれば手を出しているようですが)

ウェルズ・ファーゴがバフェット銘柄として君臨しているのも、この堅実な経営方針をずっと貫いているからですね。

中小向け融資、住宅ローン、店舗支店数では全米1位です。もっとも国民に近い位置でビジネスをしている銀行ともいえます。規模は全く違いますが、日本でいう信用金庫やJAバンクみたいな感じですね。

 

事業内容は米国内のみです。地域は西部での活動がメインですが、他行の買収を重ね米国全土に広がっています。

 

堅実経営であるウェルズ・ファーゴも、リーマンショックでは大ダメージを受けています。しかし、リーマンショック中に、米国銀行で総資産額4位だったワコビアを買収しており、利益はその後激増しています。

売上と純利益の推移は安定しています。

 

営業CFマージンは最高で20%ほどですが、バラつき過ぎて参考になりません。お金が商売銀行なので、キャッシュフローを安定させることは不可能です。商業銀行ならなおさらです。

 

2008年は無理に増配した感じが読み取れます。また、ワコビア買収の資金もかさんだことも2009年の減配に関係していると思われます。

最近では利益も配当金も安定しています。しかし、キャッシュフローがあまりにも安定していないので、連続増配を期待するような株ではないでしょう。

 

商業銀行なので負債を増やしてナンボです。自己資本比率は10%前後と低めです。

ROEは12%と、あまり資本効率がいいとはいえません。

 

現時情報(2017/9/17)

株価…51.66ドル
予想PER…12.47倍
配当利回り…3.04%
連続増配…6年

2016年の急落は、行員による不正な口座開設問題が発覚したからです。。ウェルズ・ファーゴの従業員には厳しいノルマが課せられており、顧客の個人情報を勝手に使って口座数を水増しする手口が日常化していたようです。

事件を受け、株価は急落、CEOも辞任することになりました。

また、2017年には、自動車ローンを契約した顧客に、分かりづらい抱き合わせで自動車保険にも加入させていたことが発覚し、再び信用を失うことになりました。

もともと割安な金融セクターですが、その中でも特に割安となっています。

 

ウェルズ・ファーゴは、長期投資で金融セクター企業を探す際に、筆頭候補として挙げられる優良企業です。昔ながらの小口融資が中心であり、比較的不況に強いです。

個人や中小企業の顧客が多いということは、小口の預金も多いということです。小口の預金は、金融危機でも引き下ろされることは少ないです。

あなたもリーマンショックの時に銀行に駆け付けたりしてないですよね(笑)

その反面大口の預金は、金融市場に敏感なので、頻繁に出し入れされる不安定な預金ともいえます。

バフェット氏は、BtoB企業よりも、BtoC企業を好みます。消費者に近い位置で商売をしたほうが、銀行でも安定しやすいのは同じですね。

また、ウェルズ・ファーゴは、無茶苦茶な金融商品の扱いがないし、そもそも融資基準が厳しいことで有名です。

そのため、不良債権も少なく、焦げ付きのリスクも低いです。

 

長期投資では、不況でも利益が落ち込みにくいことが大きなアドバンテージになります。なぜなら、不況下では多くの企業が経営不振に陥り、株価も割安になりがちだからです。

ウェルズ・ファーゴは、リーマンショック時にダメージが少なかったので、他のボロボロになった金融機関を買収して事業を拡大することができました。全米4位のワコビアを買収できたので、一気に成長することができました。

不況の時に同業種を買収できる企業こそ、長期投資では高いリターンをもたらします。ウェルズ・ファーゴは、銀行の中で圧倒的に不況に強いビジネスモデルであり、それだけで投資に値する優良企業ともいえます。

アリとキリギリスにおける、アリのような地味さと堅実さを持っている企業です。

 

ここまではべた褒めですが、2016年の口座水増し問題と、2017年の自動車ローン問題は、ブランドに大きな傷をつけました。もともと接客サービスが良いイメージの銀行として有名だったので、そのクリーンなイメージに傷がつきました。

とはいえ、銀行業務に直接影響するような大問題ではないので、むしろ割安に買えるチャンスかもしれません。

バフェット氏は最近持ち株比率が10%を超えてしまい、ビジネス上の制約が出てしまうので、一部を売却しています。しかし、ウェルズ・ファーゴが今後もバフェット銘柄であることには変わりなく、永久保有銘柄となりそうです。

堅実経営、バフェット銘柄、小さな不祥事と、タイミングとしてはいい時期だと思います。とはいえ、あくまで金融機関には変わりないので、一歩間違えるとヤケドしそうですね。

 

 

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