【書評】ウォール街で勝つ法則

つみたて次郎です。

超高級投資本「ウォール街で勝つ法則」を読んだので感想文です。

 

ウォール街で勝つ法則 - 株式投資で最高の収益を上げるために

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なお、本書においてはバリュー株指標に関する考察が大量に登場するため、以前別記事で要点をまとめています。

先に読んでいただくと本記事もスムーズに読めるかと思います。

参考記事…【要点まとめ】ウォール街で勝つ法則

ではさっそく、気になった部分について項目ごとに感想文を述べていきます。

 

単一指標の王様「PSR」

本書では小型株・PER・PBR・PCFR・PSR・配当利回り・EPS・利益率・ROE・RSといった様々な指標が登場していますが、その中で最もスクリーニングとして優秀だったのはPSR(株価売上高倍率)だという結論を出しています。

PSRは以下のような式で求めることができます。

PSR = 株価 ÷ 1株当たり売上高

純利益を参照するPERに似ていますが、こちらは売上高を参照するのが大きな特徴です。

PSRが低ければ低いほど、株価に対して稼いでいる売上が高いという事になり、割安度を測る尺度として機能します。

1951~1996年における米国市場では、全銘柄の単純平均リターンが14.97%だったのに対し、PSRの低い50銘柄を抽出した場合のリターンは18.86%となっていました。

また、PSRの高低で10グループに分けた場合、PSRとリターンはきれいに反比例しており、PSRの低い銘柄を寄せ集めるだけで爆益が約束されていました。

 

出典「ウォール街で勝つ法則」

単一の指標のみでスクリーニングするのであればPSRが最強という事になります。

しかしつみ次郎としては、PSRという指標に対してあまりいいイメージを持っていません。

例えばPERであれば、実際に純利益を稼いでいる企業が割安で放置されているというサインとして考えることができますが、売上高というのはあくまで利益を得るための手段に過ぎず、本質的に稼いだ額とは異なるからです。

いくら売上高を伸ばしたとしても、最終利益が赤字では意味がないですからね(辛)

また、相対的に薄利多売な企業を高く評価することになるため、売上がほとんど利益になるような超高収益企業がスクリーニングから外れやすくなります。

IT化の進む現在では、設備投資等のコストがかからない稼ぎ方も増えていますので、これはPSRという指標にとっては向かい風だと思います。

その一方、売上高で評価するということは一時期的な赤字ならセーフという寛容性を持っているため、利益変動の激しい景気敏感株のスクリーニングにちょうどいいという側面もあります。

つみ次郎としてはPER・PCFR・配当利回り等の指標が好みですが、景気敏感株を評価するのはやや苦手そうです(辛)

 

グロース投資de高リターン

つみ次郎はグロース株投資についてあまりいいイメージを持っていないのですが、本書においては定量的なグロース株投資で爆益を得るということについても考察されています。

具体的には、基本のグロース株投資戦略として以下のようなスクリーニングを行っています。

・利益が前年を上回る
・PSRが1.5倍未満
・上記を満たすRS(年間株価上昇率)上位50銘柄を購入

1952~1996年における米国市場において、上記の戦略は単純平均で年間21.72%というとんでもないリターンを叩き出しています。

利益を増やし続けていて(グロース?)、売上高に対して株価が割安(バリュー?)で、株価上昇率も高い(モメンタム?)…という様々な要素を組み合わせることで、爆益を手に入れることができます。

そのかわり標準偏差は高めなので、やはりグロース投資らしくハイリスクハイリターンな選択となります。

ちなみにこの手法だと、先ほどPSRの所で述べていた「利益変動の激しい景気敏感株」のくだりは関係なくなりますね(利益減少でアウトになるから)

本書では上記の戦略を基本のグロース投資戦略と命名していますが、一般的なグロース投資とはかけ離れているような気もします。

PSRが出てくる時点で一般的なグロース株銘柄はかなり脱落しそうですね(笑)

また、グロース株投資で重視されやすいEPS・ROE・利益率といった指標は単体ではあまり機能していないことも考慮すると、グロース株と言えど成長率だけではなく、ある程度割安でないとダメという身も蓋もない結論になってしまいそうです。

 

 

全ての指標は繋がっている

低PER・低PBR・高配当利回りといった属性の銘柄が過去高リターンだったという話は普遍的なバリュー株投資として広く語り継がれていますが、本書ではさらに踏み込んで低PCFR・低PSR・高RSといった様々な定量的スクリーニングについて考察されています。

本記事で述べた以外にも非常に多くの指標の組み合わせについても考察されており、ただ一定のルールに沿って銘柄を選ぶだけで爆益を手に入れられるというのは非常に夢のある話であり、そして実行するだけならそこまで難易度も高くはありません。

つみ次郎はそこまで徹底してはいませんが、楽天VYM本家VTVを経由してそれっぽい銘柄群の比率を高めています。

上記のような戦略を基本とする投資信託やETFが登場すれば、さらにポートフォリオの幅も広がりそうです。

 

その一方、最も成績が良かったのはPSRだったというのは前述したとおり違和感がありますし、単なる偶然だったのではないかという疑問もあります。

そもそも、バリュー株指標というのはそれぞれ独立した概念ではなく、横につながっています。

なぜなら、株価が下落すればPER・PBR・PCFR・PSR・配当利回り等の分母が株価になっている指標というのは全て割安方向に変化するからです。

PERが低い銘柄は、PBR・PCFR・PSRも低い可能性が高いですし、逆もまたしかり。

その意味では、これらとは毛色の違う株価そのものを参照するRS(年間株価上昇率)がスクリーニングとして優れていたのは注目に値します。

本書では様々な指標で銘柄をジャンル分けしていますが、その中身はどれも似たり寄ったりかもしれないという可能性を考慮する必要があります。

たとえば本書の情報をもとに、ポートフォリオの10%を低PER銘柄、10%を低PCFR銘柄、10%を低PSR銘柄…と分けたとしてもリスク分散効果はあまり期待できないという事です。

バリュー株への評価が低いときはみんな仲良く下落するだろうし、リターンも似たり寄ったりでしょう。

少なくとも、低PER銘柄群は市場平均を大きくアウトパフォームしたけど低PBR銘柄群は大きくアンダーパフォームした…みたいなことはほぼ有り得ないとつみ次郎は考えています。

どれかが沈めばみんな沈むと思います(連帯責任)

あくまで「バリュー株」という括りの中で優劣をつけているにすぎず、その中でたまたまPSRが優れていただけだったのかもしれません。

本書では複数指標の組み合わせだけでなく、複数指標を組み合わせた戦略の組み合わせにも言及しており、バリュー×グロースでリスクを抑えるという戦略も紹介されています。

ですがスクリーニングが複雑になればなるほど、単なる偶然だったという可能性も高くなります。

そう考えると一周回ってPSRだけでスクリーニングするのが手堅い…ということになりますが、つみ次郎としては複雑です(辛)

 

余談ですが、この話はジェレミー・シーゲル教授が著書「株式投資の未来」で提唱している推奨ポートフォリオに対する懸念でもあります。

セクター戦略・低PER戦略・高配当戦略を複数組み合わせてもかなりの部分で重複がありそうですね。

つみ次郎が持っている楽天VYM・本家VTVもかなり内容は被っていますが、十分承知の上です(震え声)

単純明快なスクリーニングも、複雑怪奇なスクリーニングも、よほど極端でなければ(優劣はあれど)今後も市場平均に勝つことができると思っていますが、偏ったポートフォリオを抱えるという意味ではそれなりのリスクを覚悟する必要がありそうですね。

 

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