積み立て投資は意外と儲からない
つみたて次郎です。
サラリーマン投資家の多くは、毎月の給料を定期的に投資に回している人が多いです。タイミング投資を行う人は別ですが、現金をあまり手元に置いておきたくない個別投資家の場合はすぐに投資資金に充てる人が多いです。
ごく少額から投資信託を積み立てているつみたて次郎のような場合は、必然と毎月積み立て投資をするようになります。
積立投資の是非
ドルコスト平均法を代表とする積み立て投資は、下落した時にも継続して投資することで、取得単価を減らすことができるとされています。ですが、実際は金融機関のセールストークになってしまうことがほとんどです。
株式などに投資する意味は、資本主義の繁栄を信じ、右肩上がりの成長を享受することです。また、投資期間が長くなればなるほどリスクもリターンも改善されるため、投資するタイミングはあまり重要ではありません。
ドルコスト平均法と配当金再投資
下落相場で取得単価を減らすのはドルコスト平均法だけではなく、株式から生み出される配当金再投資でも同じことができます。
配当金再投資とドルコスト平均法による積み立ては非常に似ており、一括投資が特別不利になるわけではありません。
ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」では、次のように述べられています。
ドルコスト平均法は、配当再投資の代わりになるだろうか?答えはイエスだ。ただし、その会社が長期的に生き残ることが条件になる。
インデックス投資であれば倒産リスクはないので、前提に合う内容かと思います。
ドルコスト平均法のメリットを記した文章ですが、裏を返せば一括投資でも配当金再投資が同様の効果をもたらすとも取れます。
積み立て投資派がコツコツ積み立てしている間に、一括投資派は生み出されている配当金をせっせと再投資しているので、取得単価はどんどん平準化されていきます。この現象をつみたて次郎は「セルフドルコスト平均法」と名付けました(笑)
積み立ての序盤では積み立てされる投資額の割合が大きいですが、金額が積みあがっていくうちに積み立て資金額と配当金の額は差は小さくなり、やがて配当金再投資の額のほうが大きくなります。
ドルコスト平均法と配当金再投資が同じような効果をもたらすのであれば、最初から配当金が多く発生する一括投資の優位性は高まります。
ドルコスト平均法VS一括投資
株式投資の長期リターンは、歴史的に年利回りが7%に収束するといわれています。そこで、値上がりは毎年5%、配当利回りが毎年2%として、トータルリターンが7%の場合について考えてみます。
1年目の1株当たりの値段が10,000円だとすると、20年後には約36,165円になります。1年目に一括投資した場合、投資金額が3.5倍以上に増えたことになります。
毎年100,000円ずつドルコスト平均法で20年間ずっと積み立てた場合はどうなるでしょうか?総投資額は2,000,000円になります。1年目に一括で2,000,000円投資した場合と比較してみます。
ドルコスト平均法 | 一括投資 | |
総投資額 | 2,000,000円 | 2,000,000円 |
保有株数 | 約113.4株 | 200株 |
平均取得単価 | 約17,637円 | 10,000円 |
評価額合計 | 約4,099,550円 | 約7,233,060円 |
税引前利益 | 約2,099,550円 | 約5,233,060円 |
当然ですが一括投資のほうが成績はいいです。右肩上がりが前提の場合、ドルコスト平均法に勝ち目はありません。総投資金額は一緒でも、序盤における投資額に差があり過ぎます。
一括投資では、年度ごとの投資額平均はずっと変わらず2,000,000円です。ドルコスト平均法の場合、1年目は100,000円、20年目は2,000,000円と変わっていくので、年度平均は1,050,000円になっています。なんとなく一括投資の半分くらいになるのはイメージできると思います。
上記の年率7%はかなり楽観的な予測の上に非課税が前提なので、かなり都合のいい計算です。その一方、実際には上記のようにきれいな右肩上がりにはならないので、下落相場が続くほどドルコスト平均側に有利になります。
それらを考えても、ドルコスト平均法側は資産が2倍に増えただけです。
積立投資はあまり儲からない
20年間の長期投資だとかなり増えそうですが、積み立てだと序盤の投資額の少なさが仇となり大して増えていません。
投資額×投資年数によってリターンはほぼ決まってしまうので、極端な言い方をすれば序盤でサボっているドルコスト平均法が負けるのは当然です。
ドルコスト平均法がリターンで勝つのは、一括投資側がバブルの頂点で掴んでしまった上に勝負期間が短いなどの大きなハンデがなければ不可能です。
例えば上記の例だと、一括投資の評価額は7,233,060円なので、配当利回り2%だと毎年14万円以上配当金が生まれます。
その一方、ドルコスト平均法の場合は4,099,550円しかなく、配当金は毎年8万円ちょいしかありません。
もしこのままドルコスト平均法側がずっと10万円を追加投資しても、配当金再投資と併せて18万円にしかなりません。一括投資側は何もしなくても毎年14万円を再投資に回せるので、追加投資なしでドルコスト平均法のような積み立てができるようになっています。しかもその金額は年々加速的に増えていきます。
ちなみに上記ケースの後、ドルコスト平均法側だけが毎年10万円の追加投資を100年間続けても全く追いつけません。
一括投資側は何もしなくても配当金再投資できる金額が増えていくので、ドルコスト平均側の追加投資たった10万円は焼け石に水となっています。
資金があるならとっとと一括投資したほうが報われる可能性が高いです。
まとめ
かなり都合のいい計算で20年間コツコツ積み立てしても資産がたったの2倍になるだけです。「リスクもあるけど20年間コツコツ積み立てしたら2倍に!」なんていう金融商品がでても、顧客は見向きもしなさそうです。
投資本や投資ブログで記載されている期待リターンは、基本的に一括投資した場合であることが多く、その点も積立投資におけるリターンがしょぼく見えてしまう原因といえそうです。
とはいえ、つみたて次郎のように現時点でまとまった資金を持っていない持たざる者は、毎月の給料からせっせと積立投資をしていく他ありません。
地味なリターンで満足する謙虚な心こそ、積立投資家に求められる才能なのかもしれません。
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つみたて次郎
この記事、昔もUPしてませんでしたっけ? 記憶違いだったら申し訳ないですが。
現実には、一括派も配当以外の追加資金(巨額)を投じますから、ますます差が開くでしょうね。
そもそも投資という行為は、マーケットの未来をポジティブに捉えた上で行うという前提に立てば
積立投資は機会損失を雪だるま式に膨らませるだけです。
我々しがないサラリーマン投資家がこの対決から得るべき教訓は、分かりきった手法の優劣の比較ではなく
「リターンを追求するならキャッシュポジションはできるだけ最小化すべし」という投資方針を堅持することだと思います。
おっしゃる通り、過去にもほぼ同内容の記事を投稿しています。(リライト記事です)
リスク許容度を高めることで、結果的にキャッシュポジションを減らし、リターンを改善していくことができますね。
私自身もキャッシュポジションは最小化していますが、多くの投資家はリスク許容度を適正よりも高く見積もってしまう傾向にあるので、常に気を付けていきたいところではあります。
ドルコスト平均法と一括投資の総投資額が同じというのは前提がおかしいのでは?
割引価値で考えれば、ドルコスト平均法で20年コツコツ積み立てるのは現時点で一括投資をいくらでするケースと同じって考えた方が適切な気がします。
>>yo-oy様
本記事はドルコスト平均法と一括投資の優劣を決める趣旨ではないので、このようなシミュレーションをさせていただきました。
「ドルコスト平均法で20年コツコツ積み立てるのは現時点で一括投資をいくらでするケースと同じ」というのは面白い比較になりそうですので、機会があれば別記事でまとめてみようと思います。