投資方針の頻繁な変更は複利で負ける危険性を高める

つみたて次郎です。

頻繁に売買を行わないバイアンドホールド型の投資家は、投資タイミングよりもどのようなポートフォリオを組み、「何をどれだけ持っているか」というのが将来を決める重要なカギとなります。

私自身は「株式100%」「米国株インデックス」を基本としてポートフォリオを組んでおり、それを実現する器として「投資信託」を積立しています。

この状態を維持し続けるのは投資方針に一貫性を持たせることを意味しますが、裏を返せば「思考停止」「間違いを認めない頑固者」というレッテルを貼られることにもつながります。

それを踏まえつみたて次郎は、投資方針はできるだけ変更しない…理想を言えば最初に決めたルールを守り続けることが多くの人にとって役立つのではないかと考えています。

 

「投資方針の変更」の定義

タイトルでは「投資方針の頻繁な変更」という言葉が使われていますが、本記事では「ポートフォリオの核を大きくスタイルの異なる投資対象に入れ替えること」という意味で使用します。

具体的にはこれまでグロース株に投資していた人が急にバリュー株を重視したり、新興国不要論だった人が新興国株に手を出したり、株式100%を主張していた人が下落相場で債券にスイッチングしたり等です。

 

基本的な問題点

投資方針を変更するにあたり最も気を付けるべきは、「安値売りの高値買い」になっていないかという点です。

今採用している戦略を変更したくなるのは、自分が思っていたようなリターンを得られない時が大抵だと思います。

そして新しく採用したい戦略というのは、その時点で最も良く見えているはずです。

もしかして今の戦略はたまたま不調なだけで、新しい戦略はたまたま好調なだけかもしれません。

もちろん今の戦略が本当に正しいかはわかりませんが、「実は正しかったのに余計な事をして失敗する」可能性があることはしっかり考えていく必要があります。

直近のリターンを見てではなく、自分自身の知識がアップデートされたことによる投資方針の転換はむしろ好ましいと思います。(インデックス派だった人がシーゲル赤本を読んだとか)

しかし大抵の場合、自分の戦略が不調→調べたら問題点が浮き彫りになったという流れになると思うので、やはり投資方針の変更というのはそれ自体が大きなリスクを抱えていることになりそうです。

 

複利で負ける可能性を高める

つみたて次郎が投資方針の変更に対して異様に警告するのは、「複利で負ける可能性」を高めてしまうからです。

世の中にはあらゆるスタイルの投資法がありますが、確実に勝てる戦略は存在しません。

大なり小なり、全ての戦略は勝つ可能性と同時に負ける可能性を抱えていることになります。(勝ち負けの基準は人それぞれですが)

特に対になっている投資スタイルであれば、長期的に(市場平均を境にして)どちらかが勝ち、どちらかが負けることになります。

例えば新興国株重視派と新興国株不要派は、同じ投資期間・同じ投資対象という前提であればどちらかが勝ってどちらかが負けることになります。(相対的に)

しかし実際は新興国株も上がっては下がってを繰り返すので、期間の取り方が違えば買っている時も負けている時もあります。(当たり前の話)

一番理想的なのは、新興国株が上昇する前に買い、下落する前に売ることです。

逆に一番最悪なのは、新興国株が上昇する前に売り、下落する前に買うことです。

前者はいいとして、後者は踏んだり蹴ったりです。そして多くの投資家が不調な資産を売って好調な資産に乗り換える傾向があることを踏まえると、このような結果になる可能性は十分考えられます。

ただ新興国株をずっと持っているのあれば、単に新興国株の長期リターンをなぞるだけですし、逆に持っていなければ影響はありません。

 

これは新興国株だけでなくあらゆる資産クラス、あらゆる個別株に通ずる話です。

 

出典「indexology Biog

これは、S&P500と米国配当貴族指数の長期チャートです。

本来は配当貴族の優位性を示す図ですが、今回はそこではなく2000年前後のITバブルの推移を中心に解説していきます。

一目で分かるとおり、ITバブル真っ最中はIT株がほとんど含まれていない配当貴族が下落しており、IT株含め広くカバーするS&P500は反対に大きく上昇していました。

もしITバブル以前から配当貴族に投資していた人がいたとしたら、ITバブルの上昇に置いて行かれてシビレを切らしS&P500、もっと極端であればIT個別株に乗り換えた人も多数いたのではないかと思います。(配当貴族ファンドが当時存在していたかは不明です)

しかし蓋をあけてみればその判断は誤りで、その後下落するS&P500に対し逆に上昇するという結末になりました。

それぞれの最も悪いタイミングで保有していたことで、複利的に資産を減らすことになってしまいます。(上昇に乗れない・余計な下落を経験する)

 

 

相対的に負ける覚悟を持つ

投資対象を乗り換え続けることで複利的に資産を減らしてしまうのであれば、一途に同じスタイルを貫くことでそれを防ぐことができます。

例えばこれは、バンガード・米国バリュー(VTV)バンガード・米国グロース(VUG)の過去10年チャートです。

どちらもプラスにはなっていますが、バリュー株はグロース株に対して(相対的に)負け続けています。

この2つは商品設計が対になっているので、同じ投資期間で考えるならどちらかが勝ち、どちらかが負けることになります。

今回の場合はどちらもプラスなので気楽ですが、例えマイナスの場合でもどちらかがより下がり、どちらかはマシな下がり方になります。

そして時期によってVTVとVUGどちらが好調かは分からないので、悪いタイミングで乗り換え続けると複利的に資産を減らす、あるいは本来得られるはずだったリターンを失うことになります。

もし片方が市場平均に負け続ける運命だとしても、ずっと持ち続ける限りその傷口が広がり続けることはありません。

投資戦略の一貫性を保つということは、自分が選んだ戦略が長期的に見て負けることを許容することを意味します。

 

何と比較して負けとするか

VT、S&P500、セゾングロバラ、オールウェザー、バフェッ〇太郎10種など様々な投資対象や投資方針がありますが、期待値がプラスになる資産にある程度分散して投資すれば、少なくとも元本の大半を毀損するような酷い結果にはならないと考えています。

市場平均に負けたとしても、最終的なリターンがプラスであれば十分な成果です。(投資家としては残念ながら負け組になりますが)

もし元本割れしたとしても、市場全体がプラスな相場であれば損失も限定的だと思いますし、市場平均がマイナスなら諦めもつくでしょう(笑)

一番避けるべきは、みんなが好調で儲けているのに自分だけ儲けていないという状態です。

そして投資方針の頻繁な変更は、この状況を容易に生み出しかねません。不調な資産を売って好調な資産を買い続けるというのはとても難しいことです。

投資方針の一貫性というのは長期で負ける可能性を許容する代わりに、一発退場のような大負けを防ぐことにもつながります。

 

シンプルな解釈と結論

もっとシンプルに考えれば、つまるところ投資方針の変更というのは「時間軸を長くとったタイミング投資」に過ぎません。

なのでうまくトレンドに載れれば大儲けできるし、逆に間違えたら大損することになります。

バイアンドホールドを信条するのであれば、投資方針の転換というのは大きな意味を持つ行為であることを自覚しなければなりません。

安く買って高く売ることができれば理想ですが、それが難しいと思ったからバイアンドホールドという投資法にたどり着いたのではないでしょうか?(つみたて次郎含め)

であれば、投資方針の変更そのものがハイリスクハイリターンな投資行動であることはすぐに理解できるはずです。

変更自体が良いか悪いかではなく、正しい理論に基づいた変更であるか、今すぐに変更しても不利にならないかといった要素を加味して考えていくことが大切ではないかと思います。

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バイアンドホールド次郎

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