【円建て】投資信託における為替リスクについて【楽天VTI・楽天VT・楽天VWO】

つみたて次郎です。

投資のセオリーでは、様々な国の通貨に分散投資を行い、為替リスクを抑えることが重要とされています。

世界的に見れば「円」という通貨も「米ドル」「ユーロ」に次ぐ3番手以降の存在でしかありませんから、円以外の通貨も保有することが重要となります。

そして現在では、国内の投資信託(特にインデックスファンド)が急激に発展を遂げており、なんと100円から全世界に分散投資まで可能になってしまいました。

これは世界的に見てもかなりすごい話ですし、(相場環境はともかく)投資環境としてはかなり恵まれているといえますね。

その一方、国内の投資信託は基本的に「円建て」で取引されており、売買する時も円、基準価額も円で表示されているため海外の通貨に投資している・為替リスクを抱えているということを意識しにくいです。

今回は、投資信託における為替リスクについて、楽天バンガードシリーズの投信を例に挙げて解説していきたいと思います。

 

楽天VTIの場合

楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)は、米国株に広く分散投資できる投信です。

ファンド内で海外ETFであるバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(本家VTI)のみを買い付けるというのが大きな特徴です。

まずはここで状況を整理してみます。

 

楽天VTI→円建て
本家VTI→米ドル建て
VTI構成銘柄→米ドル建て

 

楽天VTIは円建てですが、顧客から預かった円を米ドルに両替して本家VTIを買付しています。

そして本家VTIを運用している米バンガード社は、顧客から預かった米ドルで多種多様な米国株を買付しています(厳密に言えば指定参加者が買付してる)

楽天VTIの購入資金は実質的に米国株の買付に使われているということになります。

楽天VTIという金融商品を顧客の目線から見た場合「自動的に円を米ドルに両替してVTI(米国株)を買ってくれるサービス」と考えることができます。

楽天VTI以外の米国株投信(SlimS&P500等)の場合でも間にバンガードが入るかどうかの違いがあるだけで、同じようなことが行われています。

そして、楽天VTIを売却する際は逆に米ドル→円への両替が自動的に行われています。

このように分解していけば、楽天VTIが米ドルに対して為替リスクを負っていることが分かると思います。

あくまで楽天VTIはドル建て資産であるVTI(中身は米国株)を円で表示しているにすぎないという事です。

例えば、VTIの株価が2倍・ドル円の為替が1ドル=120ドルから1ドル=240円という超円安になったら楽天VTIの基準価額は4倍になります。

逆に、VTIの株価が2倍になっても1ドル=120ドルから1ドル=60円という超高になってしまえば楽天VTIの基準価額は変わりません。

為替リスクという面で考えれば、楽天VTIと本家VTIで違いはありません。

楽天VTIまとめ

・楽天VTIは日本円建て・本家VTIは米ドル建て
・どちらも米ドルに対しての為替リスクを負う

 

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楽天VTの場合

楽天・全世界株式株式インデックス・ファンド(楽天VT)は、日本含め世界中の株式に広く分散投資できる投信です。

ファンド内で海外ETFであるバンガード・トータル・ワールド・ストックETF(本家VT)のみを買い付けるというのが大きな特徴です。

こちらも状況を整理してみます。

 

楽天VT→円建て
本家VT→米ドル建て
VT構成銘柄→世界中の通貨建て

 

先ほど紹介した楽天VTIとの違いは、最終的な投資先となる全世界株の通貨がバラバラということです。

直近のレポートによれば、構成比率は 55.3%が米国(米ドル)・7.5%が日本(円)・5.0%が英国(ポンド)…という感じで続いています。

つまり楽天VTを買うと、半分強は米ドル・1割弱が日本円・そして残りの4割くらいはどちらでもない通貨にして為替リスクを負うということになります。

楽天VTあるはそれに準ずる全世界株投信は、全世界のあらゆる通貨の変動に左右されているということになります。

楽天VTまとめ

・楽天VTは日本円建て・本家VTは米ドル建て
・どちらも米ドル・日本円を含む様々な通貨の為替リスクを負う

 

楽天VWOの場合

楽天・新興国株式インデックス・ファンド(楽天VWO)は、新興国株式に広く分散投資できる投信です。

ファンド内で海外ETFであるバンガード・新興国株ETF(本家VWO)のみを買い付けるというのが大きな特徴です。

こちらも状況を整理してみます(3回目)

 

楽天VWO→円建て
本家VWO→米ドル建て
VWO構成銘柄→様々な新興国通貨建て

 

こちらも構成銘柄の通貨はバラバラですが、日本円や米ドルは一切含まれていません。

直近のレポートでは、36.9%が中国(中国元)・14.7%が台湾(台湾元)・10.2%がインド(ルピー)となっています。

楽天VWOは円建て・本家VWOは米ドル建てになっていますが、為替リスクという面ではどちらも通貨も関係なく、新興国通貨に対して為替リスクを負うということになります。

為替リスクを考えるうえでは基本的なことですが、こうして文字にするとなかなか分かりづらいですね(笑)

楽天VWOまとめ

・楽天VTは日本円建て・本家VTは米ドル建て
・どちらも新興国通貨に対して為替リスクを負う(日本円・米ドルは関係ない)

 

「〇〇建て」という箱に騙されるな

本記事で最も伝えたいことは、金融商品がどの通貨で取引されているか(〇〇建て)と、どの通貨に対して為替リスクを負うかは全く別物であるということです。

実質的な投資先が同じであれば、円建ての国内投信でも米ドル建ての海外ETFであっても為替リスクは変わりません。

なので、国内投信だから通貨分散ができていない・海外ETFだから為替リスクがあるということはありません。

もちろん逆もしかりで、国内投信だから為替リスクがない・海外ETFだから海外通貨に分散できているというわけでもありません。

〇〇建てというのはあくまで金融商品を流通させるうえでの箱に過ぎませんので、その中身を吟味して正しい為替リスクを把握しておくことが大切ですね。

また、為替ヘッジの有無が辛んでくると話は少し変わりますので、その点はご注意ください。

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かわせ次郎

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