【書評】海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書
つみたて次郎です。
『海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書』という本を読みましたので感想文です。
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名前から分かる通り配当金重視の投資について解説された本となっています。
配当系の本は比較的初心者向けでゆるふわな内容が多いというイメージですが、本書に関してはかなりガチガチの内容です。
タイトルにある海外ETFやREITだけではなく、国債・社債・FX・不動産、さらには太陽光発電などとかなり幅広い金融商品について触れられています。
全体を通して難しい話が多く理解できない部分もたくさんありましたが、その中で比較的理解しやすくためになった部分を紹介します。
J-REITと現物不動産の違い
chapter6「インカムゲイン投資家のための高利回りETF」にてJ-REITの価格は、現物不動産よりも株式市場の関連が高いという説明がされていますが、その主な理由として以下のような内容を述べています。
・現物不動産を保有する人の多くは先代からの土地を相続した地主や大企業のように、価格が上げっても下がっても売買しない人であるため価格変動は緩やか。
・J‐REITは投資信託経由で高齢の個人投資家が保有することが多いため、株があげるとJ-REITにも注目が集まりがち。
・J-REIT市場の時価総額は非常に小さいため、個人投資家の少額な資金でも価格に影響が出やすい。
どれもシンプルに納得できる内容ですね。
他に借入ルールやレバレッジ比率の違い等も踏まえてJ-REITと現物不動産は別物という結論を出しています。
ココだけを見ると、あまりレバレッジをかけられず市場規模の小さいREITはあまり魅力的ではないような感じがしますね(辛)
国際分散投資の是非
終章「長期の国際分散投資は本当に正しい投資法か」では現代ポートフォリオ理論(MPT)に基づいた国際分散投資について批判的な面から考察されています。
一部引用します。
同じ国際分散投資でも、人々との相場観により期待リターンとリスクは変わってしまいます。
そして、その相場観や前提条件が間違ったまま、有効フロンティアを計算することは、間違ったゴールをカーナビに入れて最短距離を突き進むのと同じことになってしまいます。
このように、MPTの考えかたをもとにつくられた国際分散投資のポートフォリオは、机上の計算では高いパフォーマンスを実現しますが、実際の運用でもちいた場合、各個人の相場観により前提条件が変わってしまうため恣意的にならざるを得ません。それが理由で、国際分散投資のポートフォリオに正解はないとも言えます。
出典「海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書」
つみ次郎が意訳するなら理論的には正しいけど前提条件が違うから机上の空論だよといったところでしょうか?(辛辣)
本書では市場構造の変化に対応した長期投資というのが大きなテーマになっており、その答えの1つがインカムゲイン投資であるといえます。
再び引用します。
先行きを読みにくい株を中心とした長期の国際分散投資よりも、本書で紹介したようなマクロ経済環境を判断しながら行うインカムゲイン投資のほうが、「大切な資金を減らすことなく複利で長期運用し、老後の資金をつくる」という個人投資家の要望に合致しているのではないかと思います。
出典「海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書」
平均的なインデックス投資家と真っ向から対立しそうな意見ですね(笑)
正直ここだけ見ると胡散臭い結論にも見えてしまいますが、本書は単に高利回りなインカム投資を推奨しているわけではなくむしろ高利回りの対価となるリスク(信用・為替など)についても酸っぱくなるほど解説されていますのでその点は安心できます。
ようするに今後も世界経済や株式市場が順調に成長するとは限らないという前提を元に投資を考えていくのが本書であるといえます。
インカムを中心とした金融の教科書
読む前はよくある高配当利回りな金融商品がひたすら紹介されるありがちな本かと思いましたが、本書はひたすら難しい話が並ぶかなり硬派な内容でした。
つみ次郎もスムーズに理解できない内容ばかりでしたので、初心者が最初に取る1冊としてはオススメできません(笑)
また、冒頭で述べた通り海外ETFやREITだけでなくかなり幅広い金融商品について解説されていますので、インカムゲインというワードに興味がない人であっても教科書的な読み方ができると思います。
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インカム次郎