リバランスは長期投資で必須か?リバランスしないという選択肢を考える
つみたて次郎です。
長期投資におけるテクニックとして、「リバランス」と呼ばれるものがあります。
事前に決めておいたアセットアロケーションから比率がずれた時に、売買や新規投資を行い元の比率に戻す作業のことです。
例えば、株式50%:債券50%というアセットアロケーションを基本としている人がいたとします。
基本的に株式は債券より期待リターンが高いため、そのままでは株式の割合がどんどん増えてしまうことになります。
これでは当初決めておいたリスク許容度を超えてしまうため、株式が上昇したらその一部を売って債券を買うことで、半分ずつという比率をキープすることができます。
逆に株式が大きく値下がったときは、より多くのリスクを取ることが可能であるため、債券の一部を売って株式を買うことで常に一定のリスクを保つことができます。
リバランスの最大の役割は、アセットアロケーションの比率を保ち続けることで、リスク許容度にあったポートフォリオを維持することです。
結果的に値上がったものを売り、値下がったものを売るため、逆張り投資を自然に行うことができるというメリットもあります。
そのためリバランスがリターンを向上させるという見解もありますが、あくまで副次的な効果に過ぎず、メインの役割はリスクのコントロールと考えるべきです。
そんなリバランスですが、明確な弱点も存在しています。
リバランスを実行する場合、次のどちらかで比率を調整することが必要です。
①多いものを売り少ないものを買う
②少ないものに追加投資を行う
一般的にリバランスの手法として語られるのが①、実際に行うときによく用いられるのが②となります。
①は売買を伴うため、含み益があった場合は課税されてしまい、リターンの向上効果は限定的です。
②はノーセルリバランスなんて呼ばれ方をされることもあります。
新規投資のついでにリバランスを行うことが可能ですが、新規投資額が既存投資額に対して少ない場合、元の比率にまで調整することが不可能な場合があります。
ノーセルリバランスのみで調整できれば理想的ですが、投資額がだんだん大きくなるにつれ、含み益のある資産の一部を売却する必要に迫られます。
つみたて次郎は、その時に発生する課税コストについて大きな疑問を持っています。
リスク管理ではなくリターン向上を主に考えた場合、逆張り投資ができるメリット以上に課税コストが重くのしかかり、結果的に期待リターンを下げてしまうのではないかと思っています。
一般的にリバランスといえば、長期投資では必須のテクニックという扱われ方をすることが多いです。(特にインデックス投資界隈では)
そこで今回、リバランスをあえてしない長期投資法について考察してみたいと思います。
アセットアロケーションを単一にする
リバランスは、複数のアセットクラスが存在するから必要になる行為です。
であれば、そもそも複数のアセットクラスを採用しなければ、リバランスをする必要もなくなります。
具体的な例としては、株式100%ポートフォリオがあります。
VT単騎やVTI単騎のようなシンプルなポートフォリオを組めば、リバランスの必要は一切ありません。
ちなみにつみたて次郎が株式100%を採用している大きな理由の1つでもあります。
ただし、リスク許容度を調整するために現金や債券を組み込んでしまう場合は当然リバランスが必要になってしまうため、前提から外れます。
株式フルインベストメントという選択はシーゲル教授の推奨もあり、有力な投資法の1つではありますが、実行するには相当高いリスク許容度が求められる点には注意です。
バランスファンドを活用する
バランスファンドの多くは、あらかじめ決められている資産配分に沿ってリバランスされています。
4資産均等型・6資産均等型・8資産均等型などは分かりやすく人気もありますね。
例えば8資産均等型の場合、次のような比率が基本になっています。
当然それぞれの値動きは違うので、比率を維持するためにリバランスが必要になります。
具体的に何ヶ月に1度にリバランスするとルールが決められている投信もありますが、特に明記されていない場合は毎日リバランスされているようです。
投資信託の場合、日々純資産の流入と流出があるため、その売買ついでにリバランスを行っています。
リバランス自体はあまり頻繁にやるべきではないので、毎日リバランスされているという部分については懸念がありますが、今回は特に触れません。
今回注目したいのは、ファンド内部でのリバランスでは課税コストが直接発生していないという点です。
つまり投資家自身ではなく、バランスファンド内でリバランスをしてもらうことで、課税コストをスキップできるということになります。
元々バランスファンドは、各単体ファンドに比べて信託報酬が割高という状況がしばらく続いていましたが、最近では自作するのとほぼ同等の信託報酬になりつつあります。
そのため自分の理想的なアセットアロケーションで組まれたバランスファンドがある場合、それ1本をひたすら保有するという選択が考えられます。
バランスファンド1本持ちというスタイルは、投資初心者だけでなく、課税コストを徹底的に抑えたい上級者でも十分検討できる投資法になります。
リバランスは必須ではないかも
リバランスは、リスクを一定に保つという意味でとても重要なテクニックです。
その一方、逆張り投資によるリターン向上効果が主なメリットとして語られているケースも多いです。
個人的には売買を伴うリバランスの場合、期待リターンには悪影響ではないかと考えています。
また、リバランスがそもそも必要ない投資法や、リバランスをファンド運用者に任せてしまうという方法もあるため、リバランスに伴う課税コストについては慎重に考えていったほうが良いのではないかと思います。
積立投資を始めたばかりの頃であれば、追加資金によるノーセルリバランスで十分間に合ってしまうため意識することはあまりないと思いますが、将来的には売買を伴うリバランスが必要になる時が来ます。
今回挙げたのは極端な例であるため広くオススメはできませんが、リバランスによるリスク管理と課税されるデメリットについては事前にしっかり考えておく必要がありそうですね。
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