【書評】図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書

つみたて次郎です。

『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』という本を読んだので感想文です。

図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書

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PERは別名「株価収益率」と呼ばれており、純利益に対する株価が何倍になっているかを現した指標です。

数ある株式指標の中で最も有名といっても過言ではなく、特にバリュー投資に関係が深いです。

そんな「PER」について様々な角度から解説や考察がされた本…だと読む前は思っていたのですが、内容はそのイメージと大分違っていました。

 

本書の構成について

本書は次の章で構成されています。

序章…アマチュアがプロに勝つための「王道投資スタンス」
第1章…「買いどき」を見極める【経済分析】
第2章…「優良企業」を見極める【企業分析】
第3章…「割安・割高」を見極める【株価分析】
第4章…「投資信託」を見極める

そしてこの中でPERが主役として登場するのは序盤の最初と第3章くらいで、大部分はPERに直接関係ない話題ばかりです。

つみ次郎はタイトルにある「PER」という文字に興味を惹かれて読み始めたので、ちょっと拍子抜けしてしまいました(笑)

各章ごとに内容は大きく異なっており、良くも悪くも別々の本を何冊も読んでいるようなイメージでした。

出典『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』

PER以外の指標についてもかなり幅広く解説されています。

特に第2章【経済分析】については、GDPや金利といった基本的な指標はもちろん、小売業販売額や自動車販売台数といった実体経済を追いかけるために必要な指標についても広く解説されており、個人的には一番ためになった章です。

 

 

個別株の買い時

第3章【株価分析】では、特に重要な7つの指標を用いて、具体的な買い時について考察しています。

 

出典『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』

おおむねセオリーに沿った選定基準ですが、当期純利益伸び率についてはやや厳しい条件ではないかと思いました。

「過去何年のうち何回前月比プラス」のように数年単位の動向をチェックしたほうがより長期的な視点で見ることができそうです。

また、個人的には「○○が△△以上(以下)」という絶対基準よりも、「○○が市場平均より高い(低い)」といった相対評価が好みです。

 

投資信託の選び方

全体を通して国内個別株が話題の中心ですが、第4章では投資信託について考察されており、その中で『絶対に「買わない」2つのルール』というものがありましたので紹介します。

・純資産残高が1000億円未満は買わない
・設定日から3年以内は買わない
出典『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』

投資信託の選び方として、できるだけ純資産が多く、実績の長い物を選ぶというのはセオリーですが、こちらもやや条件としては厳しい印象です。

超低コストなインデックスファンドに絞ると、該当するのは<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドくらいしかなさそうなレベルです。

eMAXIS Slim・iFree・楽天・iFreeなどの定番シリーズも全滅します(笑)

本書が発売されたのは2018年2月6日ですが、当時基準だと上記のニッセイ外国株式ですらアウトです(当時の純資産額は約777億円)

どちらかといえば、アクティブファンドを評価する際に用いたい基準な感じがしますね。

 

タイトルとのギャップ

本書のタイトルは『図解「PERって何?」という人のための投資指標の教科書』となっており、PER・投資指標・教科書という3ワードが中心となっています。

しかし、内容を考えるといずれもしっくりこない感じがしました。

表紙に大きく記載されている「PER」については、確かにメインテーマの1つではありますが、全体の中では一部にとどまっており、特別強調されているという印象はありませんでした。

また、「投資指標」という表現から、PERを筆頭にPBR・配当利回り・PCFR等の株式に直接関連する指標がテーマの中心になるかと思いましたが、景気動向指数やマネタリーベースのような経済に関する指標や、流動比率や資産回転比率といった財務会計に関する指標についても手広く紹介されています。

最後に「教科書」という表現についても、確かに各用語について広く浅く解説されていますが、時折筆者(小宮一慶氏)の主観に基づく見通しや投資哲学等も結構な割合で登場しています。

上記の要素マイナスというわけではありませんが、タイトルと中身に悪い意味でギャップがあったのは少し残念です。

とはいえ内容自体は平素で分かりやすい文章で書かれており、つみ次郎はあまり読まないタイプの本でもあったので、視野を広げることができたのはよかったです。

PERに関する考察について深く学ぶことができなかったのは残念ですが、結果オーライでした。

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