無分配型投資信託は割高で買わされている?
つみたて次郎です。
当ブログでは、分配金を一切出さないことを基本方針とする無分配型投資信託を強く推奨しており、私自身も投資先は現在全てが無分配型となっています。
というよりも、インデックスファンドを日本国内で選ぼうとした場合、消去法的に無分配型になるといったほうが正しいかもしれません。
配当金の国内課税を無視して再投資されるため、課税の繰り延べが可能という素晴らしいメリットがあります。
参考記事「投資信託における無分配型と分配金再投資型の違い」
そのため、他の条件が全く同じと仮定すれば、無分配型が税制上有利となっています。
そんな無分配型投資信託ですが、複数の読者様から似たような質問を受けることがありましたので、今回説明していきたいと思います。
よくある疑問
無分配型投資信託の場合、分配金再投資分は基準価格に含まれる。とすれば、次の購入する時に割高になった基準価格で買わされることになってしまわないだろうか?
もしこの事実が正しければ、無分配型は余計な資金を払わされる不利な商品ということになってしまいます。
とある読者様の言葉を借りれば、「タダでもらえるはずの分配金を自腹で購入している」という表現になります。
当然ながら、このような不利なことはありませんので解説していきたいと思います。
確かに分配金が基準価格に含まれるのであれば、基準価格は割高になっていきます。
そのため、同じ買付額で購入できる口数はどんどん下がっていきます。ですが、割高で買わされることにより、大きな特典を得ることになります。
例えば、値上がり益が毎年4%、分配金利回りが毎年3%の投資先があったとします。
そして片方は分配金をファンド内で繰り越す無分配型(分配金なし)、その都度分配する分配型(分配金あり)で比較すると、チャートは次の通りになります。
1年目の基準価格は100とし、20年間ずっと保有していた場合のチャートです。
当然ながら、分配金なしのほうが基準価格が大きく上昇します。ただし、分配金ありでも再投資をしっかり行えば、同じだけのリターンになります(ただし税金を考慮しない場合)
見てわかるのは、どのタイミングで買ったとしても、分配金なしのほうが見かけ上の上昇幅が大きいということです。
分配金再投資の効果は複利で成長していくので、後半になるほどその威力を発揮します。
無分配型投資信託の特徴まとめると、次のような結論になります。
ファンド設定直後に買った場合
→基準価格は安いけど、その分上昇幅は小さい
ファンド設定後しばらくしてから買った場合
→基準価格は高いけど、その分上昇幅は大きい
無分配型投資信託を買うということは、過去の分配金再投資の恩恵を受けることを意味します。その代償として、割高な基準価格でしか買えないと考えるとよいかもしれません。
結局のところ、無分配型投資信託が分配金分割高になって不利になるということは全くありません。
「タダでもらえるはずの分配金を自腹で購入している」かわりに、「今までの分配金をタダでもらう」ことでバランスを取っていることになります。
なおこの仕組みは、通常の株式でも全く同じです。
全く分配金を出さないグロース株は、稼いだ利益を次の事業に回すことで企業価値の向上、株価向上につなげようとします。
そのため、分配金を出す株に比べて株価が上昇しやすいですが、株価が上昇しやすいから割高になって不利だという話にはならないですよね?(バリューVSグロースという意味ではなく、配当金の有無についてです)
全ての金融資産に言えることですが、分配金そのものはトータルリターンに対してニュートラルな存在です。
そのため、「分配金がファンド内で再投資され基準価格に含まれる」という仕組み自体は有利でも不利でも何でもありません。
唯一私たちが気にするべきは、その仕組みにより発生する課税や手数料です。
分配金が発生するたびに、国内で約20%課税されてしまいます(海外資産であればその前に一部海外で課税)
そのため、分配金が発生する投資信託や株式は税制上は不利な存在であることはしっかり自覚しなければなりません。
裏を返せば、分配金が見かけ上発生しない無分配型投資信託は、税制上非常に有利な存在です。
つみたて次郎がやたら楽天VYMを押しているのは、「税制上不利な高配当株を無分配に変換できる」というコンセプトが非常に気に入っているからです。
少し脱線しましたが、無分配型は割高ではなく常に適正価格で、なおかつ課税繰り延べのおまけがつくという点だけ抑えておきましょう。
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無分配次郎
投資信託は%で損益が決まるので、基準価額はパフォーマンスに影響しない が正しいかと
例えば100万円持っているとして
・10円の投資信託を10万口買う
・100万円の投資信託を1口買う
どちらも価格が10%上昇したとして
・11円が10万口 ⇒ 110万円
・110万円が1口 ⇒ 110万円
いずれも資産は変わりません
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り基準価格とパフォーマンスの関係についてはその通りかと思います。
ただし記事では、分配金の有無が与える影響を主題として解説していますので、かなり回りくどい説明をさせていただいてます。
分配金が出ない投資信託の基準価格は決算日に内部的に再投資される?ため少し上がるのでしょうか?
>>サバ缶様
詳しい内部の運用は分かりませんが、内部で発生した配当金等はその都度再投資されているのではないかと思います。
どちらにせよ即再投資されてもされなくてもファンドの純資産としてカウントされるので、決算日や内部での配当金発生が基準価格に直接影響を与えることはないと私は考えています。