MSCIエマージング指数における中国A株の比率が高くなるかも

つみたて次郎です。

インデックス指数会社として有名なMSCI社ですが、中国株に関する取扱いについてこんなニュースがありました。

外部リンク「MSCI:中国A株のウエート、大幅引き上げ検討-本土株上昇(Bloomberg)

中国A株(浮動株調整後)の指数組み入れ比率について、指数への採用における時価総額の上限を5%→20%と大幅に引き上げる案が検討されています。

 

中国A株とは

中国株式を取り扱う市場としては、大きく分けて上海市場と深セン市場があります。

そしてこの2つの市場では、A株とB株という2種類の株式が発行されています。

 

中国A株…主に中国人が売買。人民元建て。
中国B株…主に外国人が売買。外貨建て。

 

市場としてはA株のほうが圧倒的に大きく、外国からも資金を調達したい企業がB株も併せて発行するといったケースが多いです。

A株は元々中国人しか売買できませんでしたが、最近は条件付きで外国人にも開放されつつあります。

 

MSCI社について

国内の投資信託の多くは、MSCI社のインデックス指数を採用しているところが非常に多いです。

eMAXIS Slimやニッセイの<購入・換金手数料なし>の新興国株式も同社の「MSCIエマージング指数」を採用しています。

MSCI社の指数に中国A株が採用されるようになったのは2018年6月とつい最近ですが、さっそく組み入れ比率にテコ入れがされそうな状況です。

外部リンク「MSCIの中国A株採用、6月1日に迫る-年金などから資金流入期待(Bloomberg)

 

上限5%→20%のルール変更案について

新興国市場における中国A株の比率は、浮動株調整後時価総額で約14%程度を占めています。

MSCI社では、中国A株市場の特殊性を考慮し、組み入れ比率を時価総額の5%までと定めていました。

現在の比率は、上限5%ギリギリの約0.7%となっています。(14%×5%=0.7%)

もし今後上限20%まで引き上げられる場合、株価の変動等を考慮しなければ14%×20%=2.8%程度まで一気に増えることになります。

出典「MSCI

MSCI社からは、2段階に分けて中国A株比率を引き上げていく計画が提案されています。

組み入れ比率の変更及び中型株の新規組み入れにより、0.7%→2.8%→3.4%といった感じで構成比率を高めていきます。

A株だけで見れば大幅に増えましたが、全体から見れば数%に過ぎず指数に与える影響は限定的です。

とはいえまだまだ引き上げ余地が残されており、仮に上限が撤廃された場合は新興国株式インデックスの45%程度が中国株になります。

 

インデックス指数といえど主観が入る

インデックス指数は、客観的に市場を幅広くカバーしているというイメージが強いですが、真の意味で主観を排除することは不可能です。

今回の場合は、MSCI社による主観によって組み入れ比率が変化した良い例です。

変更が実現となれば、インデックスファンドから中国A株市場への資金流入が発生するため、市場に大きな影響をもたらすことになります。

インデックス投資は市場をそのまま保有する投資法なので、インデックス投資家が市場の定義を変えてしまうのは本来好ましくありません。

しかし各国の制度や市場の大きさが異なる現状では、これを完全に解決することは出来ません。

そもそも市場を「先進国」「新興国」と分けている時点で、客観的とはいいがたい部分があります。

MSCI社と並ぶ指数会社としてFTSE社がありますが、それぞれ韓国の扱いについて違いがあるのは有名ですね。

MSCI社では韓国は新興国、FTSE社では韓国は先進国と定義されています。

指数会社以外では、企業や国家の信用を分析する格付け会社の発表も、指数内容に大きな影響を与えています。

これが良い悪いということではなく、「インデックス指数とはそういうもの」という心構えが大切なのではないかと思います。

参考記事「VTや楽天VTへの投資は正しい国際分散投資といえるのだろうか?

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