「ドル・コスト平均法はペテン」を斬る
つみたて次郎です。
興味深い記事がありましたので紹介します。
外部リンク「金融機関が絶賛する「ドル・コスト平均法」は大いなるペテン…?」
経済評論家である萩原博子氏が、「ドル・コスト平均法」に対する痛烈な批判を行っています。
しかしその内容にあまりにも疑問点が多いため、投信クラスタを中心に多数のツッコミがでています。
今回は、記事の疑問点について考察していきたいと思います。
ドル・コスト平均法のおさらい
当ブログを読んでいる方であれば既にご存知かと思いますが、定期的に同額ずつ同一の商品を買付する投資法のことです。
必然的にドル・コスト平均法=定額積立投資となります。
同額ずつ買付することにより、変動の激しい資産であっても取得単価を平均化することができます。
また、自然と安い時の多く買付・高い時に少なく買付という行動を取ることができます。
その反面投資資金を徐々に投下していくことになるため、右肩上がりに成長する資産であれば序盤に一括投資したほうが高リターンになります。(当たり前の話ですが)
純金積立に対する批判
ここから本題に入ります。記事の最初では、純金積立を例に積立投資に関する問題点が書かれています。
記事より一部引用します。
難しいのは、通常の「金」なら、買った時よりも値上がりしたところで売れば儲かりますが、「純金積立」は、そう都合よくはいきません。なぜなら、毎日コツコツ買っているので、いくらで買ったのかが把握しにくい。損得がわかりにくい商品なのです。
出典「Yahoo!ニュース」
把握しにくいかどうかは別として、損益が分かりにくいというというのは一理あります。
ただしこれは積立投資の弱点というよりは、買付機会が多くなることが原因のような気もします。
引用文では毎日積立を前提にしていますが、ドル・コスト平均法であれば毎月くらいの積立でも十分すぎるほど機能します。
毎月1回定期的に買い付けしている人と、毎月1回タイミングを見て買付している人では同じような状況です。
記事全体の傾向として、ドル・コスト平均法に対する批判というよりは値上がりを前提にしたバイアンドホールドへの批判になっている気がします。
プロの投資家こそドル・コスト平均法?
再度引用します。
大量のお金を扱うプロの投資家が、いちいち市場への目配りができないので「ドル・コスト平均法」を使って毎日平均的に買ってコストを安定させるというような思惑で使うなら悪い方法ではないかもしれませんが、個人投資家で、投資できるお金が1000万円以内の人なら、もっと目配りして利益を上げる方法はいくらでもあるはずです。
出典「Yahoo!ニュース」
個人的には全く逆だと思います。
投資のプロが専業個人投資家を指すのかファンドマネージャー等を指すのかは分かりませんが、どちらにせよ市場への目配りが一番必要な職業の方でしょう。
大量のお金を積立するために待機していたら大きな機会損失です。
そもそもドル・コスト平均法はリスクを下げる投資法ではなく、一種の精神安定剤としての側面が大きいです。
少なくともプロが積極的に採用する投資法ではありません。
ドル・コスト平均法のコスト
記事の結論としては、次のようにまとめられています。
少なくとも、値上がりした時には買わないというルールを決めれば、「ドル・コスト平均法」には勝てます。
ただ、売る側にとっては、「ドル・コスト平均法」を錦の御旗に掲げれば、手間がかからず毎回必ず手数料が入ってくるという大きなメリットがあります。しかもノーリスクで。
出典「Yahoo!ニュース」
前者については、正確に言えば「ドル・コスト平均法に負けない」だと思います。
「値上がりした時に買わない」というのは、早い話リスク資産への投資額を減らしているにすぎず、「現金でずっと持っていれば負けない」といっているようなものと同じことです。
投資の世界では、値上がりした後にさらに上がることがしばしばあります。
そのような買付を躊躇してしまうような時でも機械的に買い付けできるのがドル・コスト平均法の強みともいえます。買付口数(株数)は控えめになりますが。
後者については、現在においてはあまり当てはまりません。
現在の投資信託の多くは、少額から買付することが可能であり、購入時手数料は買付額に応じて定率になっていることがほとんどです。
手数料が買付額×○%であったり、そもそも手数料がないノーロード投資信託が主流になっている現状では、定期的な買い付けが発生することは金融機関にとって大きなメリットになり得ません。
保有中に発生する信託報酬であれば、チマチマ積立してもらうより一括で投資してもらったほうが多く手数料を徴収できます。
確かにドル・コスト平均法を顧客が採用すれば定期的な資金流入が期待できるという面はありますが、高手数料商品に一括投資してもらったり回転売買してもらったほうが金融機関にとってはより好都合でしょう。
金融機関側にとっても、ドル・コスト平均法を推奨するインセンティブがあるとはあまり思えません。
ドルコスト平均法自体は疑問
ドル・コスト平均法を批判する萩原博子氏の記事を批判してきましたが、つみたて次郎も実はドル・コスト平均法に対しては懐疑的な立場を取っています。
つみたて次郎の名前にある「つみたて」とは、サラリーマンが余剰資金をひたすら積み立てしていくという意味であり、ドル・コスト平均法とは直接関係がありません。
定義上のドル・コスト平均法は、まとまった資金を徐々に投下していく投資法に過ぎず、待機資金を持つことによる機会損失や、金融資産に対するリスク資産の割合がどんどん増えていくことから、リスクコントロールが難しいという欠点があります。
ドル・コスト平均法に対する正しい批判としては、インデックス投資クラスタでも有名な経済評論家である、山崎 元氏の記事が非常に分かりやすいです。
外部リンク「ドルコスト平均法について整理する」
ドル・コスト平均法は良い面も悪い面も誤った認識が広まっているイメージがあるため、特に注意して情報を取捨選択していきたいですね。
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つみたて次郎A
まあ、あの人の書く事ですからね(笑)
俺ら毎月だいたい決まった金額しか投資できないので結果ドルコスト平均方になってしまうって事ですよね〜
投資なんかおやめなさいって言ってた人が
「もっと目配りして利益をあげる方法はいくらでもある」
とか書いてますけど何で利益あげるのか教えてほしい! 俺やりますよ(笑)
実際問題として、サラリーマン等はそもそも選択肢がありませんからね(笑)
投資で儲けるための「目配り」について具体的な例を挙げられなければ、ドルコスト平均法以前の問題だと思います。
サラリーマンの自分からしたらドルコスト平均法を取らざるを得ないというのはあります。
弱者の投資法です。あれば当然一括投資をしたいです。
ただ、萩原博子氏の批判だと先が見えるような水晶玉がないと成り立ちませんよね。今が安いかどうかなんて誰にもわかりません。
機会損失を生んで偏見かもしれませんが狼狽売りしそうです。
某右寄りの会社系女性誌の投資関連記事で、
同氏と山崎氏との対談形式にて4頁割いていたのを見ましたが、
話が噛み合わないねえと見ていた記憶がございます。
>>ぱんかす様
ドルコスト平均法は本来の資産が持つ期待リターン(例:米株7%)を大きく引き下げますからね(投資額×投資期間が小さくなるため必然)
ドルコストを批判する上では、「高確率で勝てる戦略が存在するか」という視点が必要だと思いますね。
>>パンチ様
それは大変気になりますねw
両者とも結果的にはドルコスト平均法に懐疑的な立場なのも余計混乱しそうです(笑)