LIXIL(リクシル)が東証一部上場廃止及びシンガポール上場を検討中
つみたて次郎です。
数日前に話題になりましたが、国内大手の建築材料・住宅機器メーカーであるLIXIL(リクシル)を傘下に持つLIXILグループ㈱が国内での上場をやめ、シンガポールへの本社移転及び上場を検討しているようです。
外部リンク…スクープ LIXILがMBO検討、日本脱出も
LIXILグループ㈱は東証一部銘柄であり、東京証券取引所に現在上場しています(ティッカーは5938)
上記計画は取締役会で決議されており、計画通り話が進めばリクシルはシンガポール企業として生まれ変わることになります。
大手企業が複数の国に上場するのはそう珍しくありませんが、日本国内で上場廃止しての他国上場は極めて珍しい流れといえます。
もともとリクシルがこのような計画を立てたのは、コングロマリットディスカウントにより株価が正当に評価されていないという不満を解消するためというのが大きな理由になっています。
シンガポールは日本よりも法人税率が低いこともあり、税制面でのメリットも大きいのかもしれません。
逆に言えば日本政府が得られる税収は減ってしまうことになりますし、国益を考えれば国内企業の海外脱出は歓迎できないといえます。
今回の移転計画の原因となったコングロマリットディスカウントに焦点を当てていきます。
まずコングロマリットとは、直接関係ない多種多様な事業を保有する巨大複合企業のことをいいます。
日本だとソフトバンクや楽天、米国だとゼネラルエレクトリックやスリーエムなどが代表的です。
コングロマリットは収益源が分散されているため、どこかの部門が不安定になっても他でカバーできるというメリットがあります。
その一方、経営資源が分散されてしまうため効率が悪いことや、投資家が正しく企業を価値を見積もることが難しいというデメリットが存在します。
コングロマリットディスカウントは、企業価値が分かりづらいコングロマリットがディスカウント(=割引)された株価になってしまう現象のことを指します。
LIXILグループも比較的多角経営を行っている企業ですので、コングロマリットディスカウントにより株価が正当に評価されていない可能性は考えられます。
ちなみにホームセンターのビバホームを運営しているのは知りませんでした(笑)
外部リンク…LIXILグループの事業
身も蓋もない言い方をすれば「日本市場よりもシンガポール市場のほうが正しく企業価値をつけてくれる」事に期待していることになりますね。
ただしコングロマリットディスカウントは日本固有の現象ではありませんし、東証でも外国人投資家による売買が行われていますから、上場国を変更したから解消する類の問題ではないような気もします。
今回この記事を書いたのは、はるか昔に投稿した過去記事へのアクセスが急増していたからです。
参考記事…コングロマリットディスカウントは悪いことなのか
※粗削りな内容だったので大幅リライトしました。
アクセス増の原因を調べたらリクシルにたどり着いたので、記事にしてみた次第でございます。
上記記事でも述べていますが、コングロマリットディスカウントは投資家の視点で見れば必ずしも悪いこととはいえないような気もします。
とはいえ経営者の視点で見れば株価が過小評価されていいことなんてありませんから、シンガポール移転という大きな決断がどのような結末を迎えるのか見守っていきたいですね。
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シンガポール次郎