月利3%で複利運用すると10年後には〇倍になる
つみたて次郎です。
先日高配当をうたった投資詐欺に関するニュースがありました。
外部リンク…460億円集金か 詐欺容疑で投資会社幹部ら逮捕、愛知県警
「1口100万円の出資で毎月3%の配当支払い」等といった勧誘で資金を集めていましたが、月利3%という超高リターンが実現することはなく、配当金の支払いが滞ったことにより詐欺事件に発展しました。
詐欺を行っていたのはテキシアジャパンホールディングスという投資会社で、その実質経営者は通称「キング」と呼ばれていたようです。
1口100万円からというルールや税金を無視すれば、月利3%のリターンを得られる金融資産と考えることができます。
毎月3%の配当金が元本を毀損することなく発生するのであれば、それを再投資することで加速的に資産を増やしていくことができます。
月利3%を年利に直せば約42%となりますが、あのバフェット氏ですら20%ちょいですから、単純計算でその2倍の利回りを保証していることになります。
この時点である程度金融について知識があれば、不自然なほどハイリターンなことは一目瞭然です。
今回は「月利3%」という数字を用いていろいろ計算してみたいと思います。
月利3%で10年運用
タイトルにもなっていますが、月利3%で10年間運用した場合のリターンは次の通りです。
10年=120ヵ月なので、次の式で求めることができます。
103% ^ 120ヵ月 ≒ 3,371%
100万円預けて毎月配当金を再投資できるのならば、約3,371万円になっているということです。
10年間で元本が約33倍という結果に対して、どのような印象でしょうか?
つみ次郎としては、月利3%にしては大分控えめなリターンになったなという印象です。
1年間で約1.4倍、10年間で約33倍というのはインデックス投資家の視点で見ればとてつもないハイリターンですが、世の中に溢れる金融商品のキャッチコピーと並べるとさほどインパクトがある内容でもなさそうです。
月利3%で20年運用
10年ではあまりぱっとしないので、今度は20年にしてみます。
103% ^ 240ヵ月 ≒ 120,365%
100万円預けて再投資していたら約12億円になっています。
20年で約1,200倍というのは、月利3%の名に恥じない凄まじいリターンといえそうです。
ここまで浮世離れした結果が出れば、詐欺だと気づけた人もいるのではないかと思います。
「新聞紙を42回折ると高さが月に届く」という例え話もありますが、人間は複利がもたらす結果に対して直感と現実が大きくずれてしまう生き物なのかもしれません。
100万円預けて毎月3万使う
ここまでは「受け取った配当金を再投資する」という過程で話を進めましたが、実際は1口100万円という縛りがありますし、あくまで決まり文句は高リターンではなく高配当です。
なので出資者の多くは、単に配当金をその都度使う目的だったのではないかと思います。
つみ次郎の金融資産はもう少しで500万円に届きそうですが、仮に500万円分(5口)出資すれば毎月15万円もの不労所得になりますし、今より贅沢な暮らしをしてもおつりが来てしまいます(笑)
1口100万円で毎月3万円だとしても十分すぎる金額ですし、生活費の足しやレジャー費として活躍できます。
「毎月3万円のお小遣い」と可愛らしく表現すれば、不自然なほどハイリターンな金融資産であることもバレにくいのかもしれません。
物とは言いよう
上記で挙げた3パターンはどれも月利3%をもとに表現したにすぎませんので、実質的には同じことを言っています。
・100万円預けると10年後に33倍になる
・100万円預けると20年後に1,200倍になる
・100万円預けると毎月3万円もらえる
ですがこのように3つ並べていくと、説明から受ける印象はかなり違うのではないかと思います。
特に真ん中については、投資に詳しくない人でも明らかにおかしいと気づけそうな話です。
月利3%(年利42%)という成績自体はそう難しくないかもしれませんが、継続して配当金を支払えるほど安定して達成するのは至難…というか不可能と断言してもいいレベルです。
複利についてアインシュタインが「人類最大の発明」と言った話は有名ですが、それだけに正しく把握するのは難しいですね。
そもそも「配当金を再投資したと見なしてトータルリターンを計算する」という発想自体がそもそもないのではないかと思います。
ハイリスクハイリターン・ローリスクローリターンはあってもローリスクハイリターンは存在しません。
とんでもなくハイリターンという事実が、高配当という言葉に隠れてしまっていた状態だったということですね。
もし本当に月利3%が期待できる投資対象だったのであれば、それ相応のリスクが潜んでいるはずなので安定配当とは程遠い案件だったはずです。
事実であっても、表現次第で様々な印象を与えることができるのが言葉の恐ろしいところです。
投資はもちろん、何事においても言葉の裏を考え、自分の言葉でまとめてみることが大切ですね。
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キング次郎