iシェアーズ・好配当株式(DVY)分析
シーゲル二郎です。
今回は、iシェアーズ・好配当株式(DVY)を分析していきます。
ブラックロック(BLK)社が販売するETFで、高配当ETFで最も影が薄い存在です。
項目 | データ |
信託報酬 | 0.39% |
銘柄数 | 99 |
PER | 19.95倍 |
PBR | 2.41倍 |
標準偏差 | 8.52% |
配当利回り | 3.06% |
採用基準は、配当性向が60%以下で、過去の配当成長率がマイナスになっていないなどの配当余力が重点に置かれています。
そのうち高配当な銘柄を約100銘柄選出しています。
大きな特徴としては、公共セクターの割合が非常に高いところです。
また、信託報酬が他と比べると非常に高いです。
DVYとS&P500(2017/9/19現在)
セクター | DVY | S&P500 |
公共事業 | 30.00% | 3.20% |
一般消費財 | 14.44% | 11.78% |
金融 | 13.78% | 14.21% |
資本財 | 11.28% | 10.09% |
エネルギー | 9.06% | 5.92% |
生活必需品 | 8.30% | 8.48% |
素材 | 6.88% | 2.97% |
ヘルスケア | 2.65% | 14.71% |
電気通信 | 1.80% | 2.10% |
情報技術 | 1.40% | 23.24% |
同じiシェアーズシリーズのHDVもそうでしたが、市場平均とまったく違うウェイトになっています。
公共事業セクターにいたっては市場平均の約10倍もあり、かなり尖った比率になっています。
HDVの場合、比較的ボラティリティが低く過去の実績が良かったセクター比率が高いという一貫性がありますが、このDVYは正直コンセプトがよくわかりません。
公共事業が多いので、下落相場に強いポートフォリオになっています。しかし、同じディフェンシブ株であるヘルスケアセクターの比率は低く、逆に景気敏感株である素材セクターの比率が高くなっています。
全体的に統一感がないセクター比率になっています。
配当利回り上位100銘柄を抽出しているので、セクターの旬に合わせた変動も大きいです。
市場平均のS&P500と、期間別の年率リターンを比べてみます。
DVY | S&P500 | |
1年 | 8.44% | 17.85% |
3年 | 12.38% | 9.56% |
5年 | 13.19% | 14.57% |
10年 | 6.55% | 7.13% |
直近1年ではトランプ相場があったので、比較的ディフェンシブなDVYがボロ負けしているのは想定内です。10年来だと、リーマンショックをギリギリまたいでいます。不況を挟むとディフェンシブ性の高いETFは有利なはずですが、それでも負けています。
リーマンショック前には、高配当だった金融セクターが多く含まれてしまったため、大きなダメージを受けてしまいました。
正直褒めるところがありません。
バンガード・高配当株式(WTF)であれば、売買回転率の低さや、市場平均との連動性の高さに魅力があります。
iシェアーズ・高配当株式(HDV)であれば、高い配当利回りとディフェンシブ性の高さが魅力です。
このDVYは、配当性向が60%以下であることが条件なので、好況では増配率が高い景気敏感株のウェイトが高くなりがちです。そのため、好況で景気敏感株、不況でディフェンシブ株を含みやすくなっており、「安い時に買う」という格言の逆をいく仕組みになってしまっています。
また、配当利回り上位100銘柄を抜き出すので、時期によるセクターの偏りも大きくなりがちです。
何より最大の欠点は、信託報酬が0.39%と高めになっていることです。この時点で対象から外す方もいるでしょう。
参考にVYMとHDVは0.08%で、5分の1くらいしかありません。
資産成型時期の人はVYM、配当暮らしの人はHDVでいいです。DVYの出る幕はないでしょう。