【BDC】エイリス・キャピタル(ARCC)を分析。配当利回り9%の超高配当銘柄
つみたて次郎です。
今回は、エイリス・キャピタル(ARCC)を分析していきます。
米国市場に上場するBDCの一角で、高い配当利回りが魅力です。
BDCについて
BDCはビジネス・デベロップメント・カンパニーの略で、未上場の中小企業への融資によって利益を上げようとする組織の総称です。
未上場に間接的に投資できるという意味では、ベンチャーキャピタルなどに近いジャンルといえそうです。
利益の90%以上を配当することで法人税面での優遇があり、投資家が得られるリターンも配当によるインカムゲインが中心となります。
この仕組みは不動産投資信託(REIT)と非常に似ています。
比較的ハイリスクハイリターンな中小企業への融資&利益の多くを配当という特徴から、配当利回りは高めに推移していることが多いです。
エイリス・キャピタル(ARCC)は、そのBDCの中で最大手銘柄となっており、配当利回りは10%近くなる時もあります。
各種財務情報
各種データをまとめてみました。
キャッシュフローはかなり不安定ですが、配当利回りを期待されて買われる銘柄だけあって配当金はかなり安定しています。
配当金推移
上記で紹介した各グラフ過去10年なのでリーマンショック前後が抜けていますが、配当金推移についてはそれ以前も含めグラフにしてみました。
なぜか1つ上で紹介したDPS(配当)と数字が異なっていますが、こちらは公式サイトのデータをもとに作ったのでこちらのほうが正確かと思います。
外部リンク…ARCC Dividends
初年度である2004年を除けばそれなりに安定していますが、結構減配もある感じですね。
リーマンショックでも大幅減少にならなかったのは評価できます。
各株価指数及びチャート
ARCC各指標(2019年4月29日現在)
1株当たり株価…17.59ドル
配当利回り…8.75%
実績PER…8.73倍
実績PBR…1.03倍
直近の配当実績と現在の株価から求めると、配当利回りは9%近い水準になります。
平常時の株価は横ばいですが、リーマンショック時に大きく下げていることが分かります。
最高値からの最大ドローダウン幅は-82%となっており、世界恐慌みたいな暴落になっています。
最安値時の株価は1株当たり3.6ドルとなっており、当時の配当金(1.47ドル)で計算すると配当利回りはなんと40%越えてしまいます。
結果論に過ぎませんが、底で仕込めればわずか数年で元本を回収できたことになります。
PFF(優先株ETF)との比較
インカムゲイン重視&平常時は比較的安定した株価という特徴を踏まえると、同じく高配当銘柄として高い人気を誇るiシェアーズ 米国優先株式(PFF)と非常に似ています。
PFFは大手金融機関の優先株を中心に投資を行いますが、ARCCは中小企業へのシニアローン(返済順位の高い貸付)が中心となっています。
なのでARCCのほうがより債券的な性質が強いと思われますが、あくまで中小企業への投資が中心ですので不況時の暴落幅はARCCのほうが大きいです。
資産クラスで分類するとジャンク債券ファンドあたりが適切ではないかと思います。
ちなみによく比較されるPFFのチャートはこんな感じです。
リーマンショックで大きく暴落していますが、ARCCを見た後だと大したことなく見えてしまいますね(笑)
PFFの配当利回りは5%前後で推移していますが、もしリーマンショック時に仕込めれば15%くらいの利回りになっていました。
配当収入を得る目的で考えると、良くも悪くもPFFを尖らせたのがARCCといえそうです。
また、ARCCはあくまで個別株なので、ETFであるPFFと違い信託報酬がかからないのは大きなメリットです。
9%の配当利回りは魅力的だが…
リーマンショック時の暴落はあったものの、平常時においては株価は安定しており、9%近い配当金は大変魅力的です。
配当課税(30%)を考慮しても税引後6%くらいにはなるので、100万円預ければ毎年6万円のお小遣いになります。
しかし税引前9%との利回りというのは、仮にキャピタルゲインが全くゼロだとしても許容できてしまうレベルの超高配当です。
S&P500の超長期名目リターンが6.6%なので、多少のインフレを考慮しても市場平均並みの成績になってしまいます。
今後も配当金が維持され続けるなら大変魅力的な投資先ですが、それだけ暴落や減配のリスクとすぐ隣り合わせであるという視点は必要ですね。
つみ次郎は高配当銘柄が好きですが、あくまで「普通株式」に限ります。
もし普通株で配当利回り9%なんて銘柄があれば「減配リスクの高いボロ株」という評価ですが、その低い期待が高いリターンを生む可能性があると考えることができます。
しかしARCCの場合は安定配当を期待して買われるので、高配当=期待が低いという図式が成り立ちづらくなってしまいます。
なのでPFF同様、ARCCに対してもかなり懐疑的な見方をしています。
個人的な好みでいえば、大型企業選好派なので中小企業への融資ビジネスというのも食指が動かないです(笑)
普通株と高配当銘柄に関する考察についてはPFFの記事に書いてあるのでよろしければ併せてご覧ください。
特にARCCの場合は配当利回り9%という、過去の市場平均と比較しても持続不可能なレベルの水準ですので、見かけ以上にハイリスクハイリターンな銘柄ではないかと思います。
逆に言えば暴落時に絶好の仕込み時になるという見解もありますが、つみ次郎がもし暴落時に仕込むなら「普通株かつハイリスクハイリターン」なSPXLあたりにしたいですね。
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