米バンガードがETFの委託売買手数料の無料化に踏み切る
つみたて次郎です。
資産運用会社大手の米バンガード社が、とんでもない発表をしました。
外部リンク「Vanguard To Further Drive Down The Cost Of Investing By Broadening Commission-Free ETF Trades」
バンガードの証券口座における、売買手数料が無料になる対象商品を拡大させるというニュースです。
バンガードは、日本では海外ETFの運用会社という側面が強いですが、米国では証券会社としても事業展開しています。
そしてバンガードの証券口座においては、これまで自社のETFは売買手数料が無料でしたが、その範囲を自社製品以外にも拡大するという方針です。
ちなみにこの発表については、インデックス投資アドバイザー、カン・チュンド氏のブログで知りました。
外部リンク「バンガードが1800近いETFの売買委託手数料を無料化へ」
この記事でも述べられていますが、日本でも一部の商品について売買手数料を無料にするというキャンペーンは行われています。
しかし、今回のバンガードの様に、非常に広範囲において無料化を行うというのは異例です。
バンガードにとっては、自社証券会社で他社のETFなどが売買されても、一切の利益にはなりません。
自社ETFの売買手数料を無料化するのは、商品の宣伝になるので有効なアピール方法になります。ETFを保有してくれる人が増えれば、信託報酬という形で収益を得ることができます。
しかし、他社ETFをバンガードの証券口座内で積極的に売買されても、バンガードにとっては1円も利益になりません。
これは逆に考えれば、自社製品に圧倒的な自信がなければできない決断でもあります。
バンガード社は、ブラックロック(BLK)と並ぶ世界最大級の資産運用会社ですが、未上場の株式会社です。
バンガードの投信やETFの保有者が株主になるという独自の構造により、利益追求を行う必要がない特殊なシステムになっています。
日本でいう、生活協同組合や農業協同組合のようなもので、出資者=利益享受者になっているため、極めて低コストな商品でも採算を取ることができます。
現にバンガード社のETFは、各ジャンルにおいてほぼ信託報酬最安値になっており、他社の追随を許さない状況です。
バンガード以外の商品を売買する人も、いずれは自社ETFで囲い込みができるという目論見なのでしょう。
業界リーダーの横綱だからこそできる荒業ともいえます。低コストが唯一の競争力となるインデックスファンドにおいて、バンガードの牙城を崩せる企業は現れるのでしょうか?
今回の売買手数料無料により、一時的にバンガードの利益は減ると思われますが、その後ゆっくり他社のシェアを奪っていくことで埋め合わせするという流れになりそうです。
そして総資産額が集まればコストカットが可能になり、さらに信託報酬が引き下げできるという好循環ですね。
ちなみにバンガードは、毎年のように信託報酬を引き下げているイメージがありますが、あくまで毎年適切な信託報酬に調整しているにすぎません。(実際に値上げされた商品もある)
そのため、売買委託手数料無料化による一時的な収益悪化で信託報酬が引き上げ…なんてことももしかしたらあるかもしれませんね。(多分ないですが)
既にETF業界では最強クラスのバンガードですが、今回の売買手数料無料化で鬼に金棒という頼もしい状態になりそうです。
今回のニュースは米国の証券会社であるバンガードの話なので、国内の証券口座を使っている大多数の人には関係ないものではありますが、バンガードという企業を応援したくなる心温まるニュースですね。
そして、バンガード以外の米証券会社にとっては、大きな向かい風になるのかもしれません。
余談ですが、手数料無料化の対象商品から、レバレッジETFが除外されていたのが個人的にはツボでした(笑)
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バンガード次郎
バンガードETFが最強だという証明ですね(笑)個人投資家にとっては、この流れは良いニュースです(^^)
次郎さんの記事はいつも勉強になります。
≻≻退職金ぶちこみ太郎様
いつもコメントありがとうございます。
バンガードは、他社が真似できない仕組みを持っている消費者独占企業のようなものですね。
ただ、本日投稿した記事で紹介したスパイダーETFのように、他社との競争も激化していますから、ますます投資家にとってはよい環境になっていきそうですね。
http://siegeljiro.com/monex-spdr