【書評】投資なんか、おやめなさい

つみたて次郎です。

経済ジャーナリストである萩原博子氏の著書「投資なんか、おやめなさい」を読んだので感想です。

投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

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過激なタイトルから分かるとおり、投資全般に対する問題点を中心にまとめられています。

外貨建て生命保険・個人年金・不動産投資・純金積立・投信積立まで幅広い分野について触れられています。

「投資の常識を疑え」「金融機関等に騙されるな」といった全体を通しての主張については納得できる点もありますが、投資家としては納得できない部分も多数あったので紹介していきます。

 

デフレと預金について

第5章『投資の「常識」を疑おう』の途中では『デフレの中の預金には、デメリットもリスクもない』という見出しで始まっている文章があります。

一部引用します。

確かに、預金には「増えないリスク」と「目減りしないメリット」を天秤にかけると、デフレの中では「目減りしないメリット」のほうが大きい。目減りさえさせなければ、貨幣の実質的な貨幣は上がっているからです。
出典「投資なんか、おやめなさい」

確かにデフレでは物価が下落していきますので、利息がほとんどつかないとしても現金預金を保有していれば購買力を維持することができるため、デメリットもリスクもないというのもあながち間違いではありません。

本書では一貫して、デフレでは無理に投資しなくてもよいということが主張されています。

その一方、契約時に金利が固定される従来型個人年金に対しては、資金が長期間拘束されるためインフレに弱いという問題点を指摘しています。

これらをまとめると「デフレならば預金でいいがインフレになったらすぐ動かせるようにしておきなさい」という意味に読み取れますが、本書では「インフレになった時の対策」について詳しく解説されていません。

なのでタイトルで主張されている「投資なんか、おやめなさい」というのはデフレがずっと続くのであれば問題ありませんが、今後日本経済がインフレに向かったときに通用しない理屈になってしまうのではないかと思います。

 

ドルコスト平均法について

みんな大好き「ドルコスト平均法」は、定期的に特定の金融商品を同額ずつ積立していく投資手法です。

いわゆる定額積立投資と呼ばれる方法で、取得単価を平均化してリスクを抑えられると一般的に言われています。

本書では次のように強烈に批判されています。

投資は、安い時に買って値上がりしたら売るから手数料を支払っても儲かるのですが、高かろうが安かろうが決まった日に買ってしまうという、とんでもない買い方をしているのが「ドル・コスト平均法」を使った買い方なのです。
出典「投資なんか、おやめなさい」

また、先ほどのデフレの話につながりますがこのような記載もあります。

専門家の中には、「投資をしないということは、お金を増やすチャンスを放棄することだから大きなデメリットだ」とおっしゃる方もいます。けれど、デフレの中でのこの見方は、専門家としては一方的すぎるのではないでしょうか。

なぜなら、「投資」では、お金が増えすぎることもありますが、目減りすることもあるのです。しかも、増える確率と目減りする確率を比べると、経済環境を度外視すれば、「投資」で手数料を取られるぶんだけ目減りする確率のほうが高くなります。
出典「投資なんか、おやめなさい」

確かにデフレ環境であれば、無理に投資をせずとも購買力の維持は可能です。

しかし「経済環境を度外視すれば手数料分だけ目減りする確率が高い」というのはちょっと受け入れがたい理屈ですね。

株式・債券・REITなどはそれ自体が長期的に利益を生み出す仕組みなっており、長期的にはプラスサムゲームになると言われている資産です。

もちろん手数料はいかなる場合もマイナスに働くので、最小限に抑えたいのは言うまでもありません。

本書の通り投資が単にプラスになるかマイナスになるか分からないギャンブルであるならば、無理に投資する必要もないし、ドルコスト平均法も手数料分だけ負ける可能性の高いゲームになってしまいますね。

このような主張はよく見かけますが、「市場平均は手数料差し引いてもプラスで推移していた」という事実についてはどのような見解を述べるのかがとても気になります。

あと本記事を記載している途中に気づいたのですが、以前も萩原氏のネット記事に対する感想を書いていたのをすっかり忘れていました(笑)

参考記事…「ドル・コスト平均法はペテン」を斬る

併せて読んでいただくと分かりやすいと思います。

 

感想まとめ

むやみに投資に手を出さず、一歩立ち止まって金融商品と向き合うという姿勢は大切だと思いますし、本書からは金融商品の隠されているデメリットを知ることができると思います。

しかしその理屈については疑問点も多く、正直投資本としては微妙でした。

繰り返しになりますが、投資をしなくてもいいのは「デフレだから」という現環境の影響が大きく、今後インフレになった時にどうやって購買力を守るかを考えなければならないと思います。

特につみ次郎が投資に興味を持ったきっかけは、インフレに対して恐怖を感じたからという理由が大きいので、デフレが前提のイージーモードで投資含め資産運用を考えるのは違和感を覚えます。

少なくとも「インフレになったら〇〇する」という明確な答えが欲しかったです。

また、そもそも多くの人にとって投資というのするしないの2択ではなく、どの程度重視していくかで考えていく要素だと思っています。

参考記事…投資と貯金は似たような概念である

なのでつみたて次郎は今後も投資を継続していきますし、多くの人に投資の必要性について発信していくつもりです。

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