投資における仲間と敵 ~ファンとアンチは紙一重
つみたて次郎です。
私含め投資家は、全て自己責任で投資を行います。個人投資家であれば、発生した利益も損失も全て自分の物です。
特に個人投資家であれば、基本的にチームプレイというものは存在せず、一人一人が市場という名の戦場で戦う戦士です。
究極的には自分以外の投資家は全て敵なのですが、現実では似たような投資スタイルの者同士仲良くしていることが多いです。
投資スタイルが似た者同士であれば、情報の相互理解がしやすいですし、儲かるときも損する時もタイミングは一緒ですから、喜怒哀楽をともに分かち合うことができます。
その最たるものがインデックス投資家です。売買タイミングなどで差は出てきますが、運用成績は市場平均に連動しますから、誰かが大儲けした時に誰かが大損している…ということはあまりなさそうです。
先日7月7日、インデックス投資ナイト2018というイベントが東京で開催されていたようですが、その中で「仲間を作ること」の大切さについて語られていたようです。
投資は、
自動化する
ルール化する
仲間を作る”やめないことが大切“
by竹川美奈子氏
— たびびと@9月下旬 コツコツ投資富山 (@tamaki_tsd) 2018年7月7日
リーマンショック時、積立をやめる人が多かった。
途中で辞めてしまうのは勿体ない。
積立投資をする際は、自動化する、ルール化する、仲間を作る ことが大事。
リーマンショックがキッカケで仲間を作る目的でコツコツ投資の会を作った。
by竹川さん#インデックス投資ナイト— シオイ@インデックス投資ブロガー (@shioi401shioi) 2018年7月7日
【ブログ更新】The Arts and Investment Studies: “仲間”の存在が長期投資を実践するための支えになる https://t.co/BbwBL6rKsp
— 菟道りんたろう (@udohrintaro) 2018年7月9日
参加者の方のコメントを一部紹介してみました。
インデックス投資家同士で結束することで、下落相場での狼狽売りをしないための精神的なストッパーになり得ます。
その意味ではつみたて次郎も、当ブログを通して仲間を増やしていければいいなと思っていますし、下落相場でみんな一緒におはぎゃーできることを楽しみにしています(笑)
参考記事「スパゲッティで構成された貧乏神から、暴落からみんなを守る守護神への道のり」
長期投資は、理論上は高い確率で安定した利益の出せる投資法ではありますが、人間は機械的に投資を継続するという作業に耐えられない生き物ですので、その点を補強していくうえで「仲間を作る」ということは重要な視点だと思います。
自分が狼狽売りしそうになったら、仲間の声を聞くことで踏みとどまれるかもしれないし、仲間が狼狽売りしそうになていたら、声をかけて頭を冷やしてあげることができるかもしれません。
本来ならば、自動積立設定してから投資について考えることをやめ、証券口座を見ないのが理想ではありますが、投資に一度興味を持ってしまった人間にとっては辛いことですので、現実的に考えればコミュニティを形成し仲間をつくるのは無難な解決策ともいえます。
特につみたて次郎が所属している(と思っている)、インデックス投資クラスタ・米国株クラスタ・辛味投資クラスタにおいては、極めて投資方針が似ている人が多数いるので、自然と仲間意識が出てきやすい部分もあるかもしれません。
その一方、かつての仲間が敵になってしまうような、ドラマチックな展開になることもしばしばあります。
特に投資においては、特定の戦略が継続して好調であることは珍しく、いわば旬というものが存在しています。
インデックス投資ブロガー、水瀬ケンイチ氏のブログでは、かつてのファンがリーマンショックによる暴落でアンチになってしまったという悲しい出来事があったようです。
参考記事…水瀬ケンイチ氏著「お金は寝かせて増やしなさい」を読んだ感想
かつて米国株クラスタでは、米国高配当株の配当金再投資が一時期ブームになりましたが、現在は他の戦略に乗り換えた人も多いし、その中にはかつて自分が採用していた戦略を否定するようなケースも少なくありません。
あまり意識することはありませんが、特定の投資戦略を採用するということは、その反対に属する投資法を間接的に捨てていることと同義です。
例えばつみたて次郎の場合、米国株インデックスファンドのみに投資していますが、これは債券やREITへの投資・米国外株式への投資・アクティブ投資を間接的に切り捨てています。
各投資家の投資資金は有限であり、真に中立の投資法が存在しない以上、全ての投資家は何かしらの戦略を肯定し、何かしらの戦略を否定し続けているということになります。
そのため、ずっと同じ戦略を取りづづける人でなければ、常に自分と近い立場の人(=仲間となりうる人)は常に変わり続けるということになります。
ブロガーの視点で考えれば、今まで仲間だと思っていたファンの方が、突然アンチという名の敵になってしまうということになります。
そしてそのタイミングは、そのブロガーが採用している投資法がうまくいっていない時に多く発生するでしょう。
似たような投資戦略を取る投資家同士は、同じ船に乗る運命共同体ではありますが、どの船に乗るかは自由です。
特に株式や債券の場合、流動性が高いので、乗り換えするのも容易です。
このような状況では、ちょっとしたきっかけでファンが増えるし、ちょっとしたきっかけでアンチも増えます。
つみたて次郎が採用している投資戦略は、長期間におけるバイアンドホールドが前提ですので、あまり舟を乗り換えまくるのは基本的に避けたいです。
そのため、つみたて次郎も当ブログの読者様も、できるだけずっと同じ船の上で仲間として投資を続けていければいいなと思っています。
また、同じ船に乗る者同士で結束を深めていくと、次第に他の船を攻撃していく場合もあります。
それは、インデックス投資家→アクティブ投資家だったり、米国株バリュー投資家→米国株グロース投資家だったりします。
「特定の戦略を肯定するために、別の戦略を否定する必要はない」という意見もありますが、投資戦略というものが表裏一体である以上、避けられない悲しい現実なのです。
インデックス投資の優位性を示したいなら、アクティブ投資の問題点を指摘するのは当然の流れです。
だから特定の投資戦略を否定することも、投資クラスタにとっては必要なコンテンツです。
それ自体が問題なのではなく、ミスリードを誘うような不適切な内容だったり、一個人の投資家を叩くような過激な文章が問題なのであり、その点は明確に区別するべきです。
「なまか」という美しいテーマについて長々と語ってきましたが、本音でしゃべってしまえば、仲間が多すぎるのは逆に問題になります。
そもそも投資の世界では、常に少数派が買ってきたという歴史があります。靴磨き少年の話もありますが、みんなが買いといったら売り時・みんなが売りといったら買い時なのです。
それを考えると、自分が乗っている舟は小さく、乗員も少ないほど良いといえます。
ごく少数の仲間が勝ち、大船に乗った大多数の人間が負けていく…これが投資家における理想の勝利です。
つみたて次郎は、現在は米国株インデックスファンドを中心に投資していますが、正直なところ現時点では多数派であり、あまり心地よいとはいえません。
しかしいずれ、米国外先進国株や新興国株に流行が移るときが必ずあり、その時に仲間もどんどん減っていくことになるでしょう。
もし米国株が長期的に見てよいリターンをもたらすのであれば、このような流行の入れ替わりタイミングは素晴らしい買い時になるはずですから、その時につみたて次郎含めしっかり積立していきたいですね。
さらに欲張れば、「米国株は終わった!」という悲観論が世間に溢れていれば最高ですね。他の人が見捨てた米国株を、安値で拾うことができれば将来のリターンは加速的に伸びるでしょう。
つみたて次郎が望むのは、米国株の長期リターンが良い結果になることはもちろんですが、これだけでは少々物足りません。
つみたて次郎と当ブログ読者様以外の米国株ホルダーは、次の下落相場で狼狽売りして市場の肥やしになってほしい
残酷な願いですが、これが投資家のあるべき姿です。
投資は全体で見ればプラスサムゲームが期待できますが、本質的には市場平均を境にした富の奪い合いに過ぎません。
であれば、できるだけ少数の仲間だけで、富を分かち合おうではありませんか。
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腹黒次郎