無分配投信orグロース株で資産形成→高配当株にスイッチングは税制上不利
つみたて次郎です。
インデックスVS高配当株、グロース株VS高配当株という争いは日々繰り広げられており、それだけ配当金というものには魔性の魅力が込められています。
つみ次郎も配当金生活できるだけの元本が欲しい(切実)
そして、最終的に配当金ザクザクを目指す場合、大きく分けて2つのパターンが考えられます。
①最初から高配当株or高配当ETFを買う
②最初は別の手法で運用してスイッチング
配当金を相場下落時の心理的プロテクターとしてみているなら①、そうでなければ②の手法を用いるという棲み分けですかね。
特に配当利回りが高い株式は、直近のトータルリターンで市場平均に劣後していたり、仮にトータルリターンが同じであっても課税上のロスが大きいため、資産形成期には不適切という見方もあります。
グロース株で増やしてそのあと高配当株というのはよく見かける定番パターンです。
また、ほったらかし投資をする場合、高配当株は逐一配当金再投資をする必要があり、手間や管理の面で難があります。
配当金生活(というより不労所得?セミリタイア?)に憧れる人は、わざわざ配当利回りの高い個別株を買って逐一配当金を再投資するより、予定額になるまで投信に任せて、その後に配当金関連のETFに切り替える方が良いと思うんだけどなぁ……。
税金とかじゃなくて手間の話ね。
— ニェヌン (@nilenun) July 31, 2019
その意味では②のほうが利便性が高く、最初の投資戦略に縛りがなくなるため自由度は上がりますが、そのメリットと引き換えに配当課税以外の所で税制上の不利というデメリットが発生します。
今回は、スイッチングに伴う税制上の不利を中心に考察していきたいと思います。
スイッチングのデメリット
スイッチング=銘柄入れ替えですので、必然的に売却と買付の両方を行うことになります。
そのため、以下2つのコストを余計に負担することになります。
・売買手数料
・売却益課税
前者は大した問題ではありませんが、後者はそこそこ頭を悩ませることになります。
今回のケースだと、運用してからスイッチングするまでの期間が何十年単位になるかと思いますので、含み益を一旦利確してしまう意味は大きいです。
いわゆる税の繰り延べ効果が弱まるということですが、よほど含み益が大きくない限り、致命的にトータルリターンを劣後させるということはありません。
参考に、なまずん氏のブログを張っておきます。
外部リンク…投資信託の「税金の繰延効果」を過信してた件
しかし、配当金生活を目指すなら話は別です。
なぜなら、配当金額は含み益含めた資産総額によって左右されるからです。
配当金シミュレーション
課税上の不利を確認するために、簡単なシミュレーションをしてみます。
配当金の受領額に注目するのであれば、資産形成期終了時点の投資元本を最大化すればいいということになりますので、無分配投信VS高配当ETFで比較してみます。
共通条件
・毎年100万円を積立投資する
・30年間積立を続ける
・トータルリターンは各年率7%
・売却益課税は20%とする
・配当課税は30%とする
・配当課税の内10%は外国課税分
無分配投信側
・値上がり益は年率5%
・配当利回りは年率2%相当
・配当金はファンド内部で再投資
・外国課税10%は取り戻せない
高配当ETF側
・値上がり益は年率4%
・配当利回りは年率3%
・再投資する配当金は年率2.1%
・外国課税10%は取り戻せない
・配当金は年末に手動で再投資
上記でシミュレーションした場合、30年後の結果は以下の通りです。
無分配投信 | 高配当ETF | |
税引前 資産額 |
9,373万円 | 8,537万円 |
含み益 | 6,373万円 | 3,692万円 |
売却時 課税額 |
1,275万円 | 738万円 |
税引後 資産額 |
8,098万円 | 7,799万円 |
当然ながら、税制上の有利不利に差があるため無分配型投信がトータルリターンでは勝ちます。
しかし、配当金生活を目指す人にとって重要なのは配当金額ですので、もし無分配型投信を高配当ETFにスイッチングする場合、立場が逆転してしまいます。
無分配型投信の場合、含み益分の税金を払った残りは約8,098万円なので、その資金で高配当ETF(税引後配当利回り2.1%)を買うと年間170万円の配当金をもらえます。
その一方、高配当ETFをそのままずっと握っていれば、税引前で約8,537万円分の高配当ETFが手元にありますので、年間179万円の配当金を受け取ることができます。
今回のシミュレーションに基づけば、最初から高配当ETFを持っていたほうが最終的な配当金受領額は大きくなるという結果になりました。
ただし、このアドバンテージは最終的に目標とする高配当ETF(高配当株)がずっと変わらないことが前提ですので、途中で別銘柄にスイッチングする関係なくなってしまいます。
現実的な投資プランに当てはめると活かすのは難しいかもしれません。
余談ですが、最初に決めた前提条件でシミュレーションしてみたら、スイッチングの不利より配当課税の不利がデカくて無分配型が勝ってしまったので、前提条件の設定に苦労したのは秘密です(笑)
スイッチング時の課税対策
上記のデメリットを避ける方法としては、以下の2つがあります。
①非課税口座を使う
②配当金を諦める
①については、つみたてNISAや一般NISAが該当します。
NISAで資産運用して、非課税期間終了後に高配当株等にスイッチングすれば無駄がなくていいですね。
ただし、その場合は一時期的に高配当株とそれ以外が共存する形になってしまいますので、管理が面倒になるという別のデメリットが生じてしまいます(泣)
ある時点でNISA口座の銘柄全部を高配当株にスイッチングするという手もありますが、この場合は非課税のメリットを一部捨てることになるので、どちらにせよもどかしいのは否めません。
②については、そもそも配当金を諦めるという大胆な手段です。
具体的には、無分配投信や配当利回りが高くない個別株・ETF等をその都度少しずつ売却し、疑似配当金?を生み出す方針です。
特に国内の投資信託であれば、定額売却サービスを活用することで定期的に疑似配当金を受け取ることができますし、円建てなので利便性も高いです。
とはいえ、自己資産の取り崩しになってしまうので、配当金生活感は大きく損なわれます(笑)
税金と利便性の両立を考える
上記で挙げたシミュレーション、投資手法というのはほんの一例にすぎませんが、今回のテーマにおいて各自の判断に大きな影響を与えるのは高配当株(ETF)の期待リターンをどうとらえるかです。
シーゲル流のように、高配当銘柄のリターンが優れると思うのならば最初から高配当株や高配当ETFをずっとホールドしているだけで話は終わります。
逆に高配当銘柄のリターンがダメだと思うなら、配当金が必要になったタイミングでスイッチングするという手段が一般的ですが、わざわざ税金を払って期待リターンが低いと思う銘柄に乗り換えるデメリットは大きいです。
なのでつみ次郎の見解としては、高配当株への強気弱気関係なしに、ずっと同じ銘柄を長期ホールドする道を探したほうが様々な面で有利ではないかと思っています。
何十年も時代が進めば、定期売却サービスも格段に進化しているはずですからね。
税金と利便性だけを考えるなら、無分配型投信の定期積立&定期売却が最強だと思います(笑)
いずれにせよ、資産形成が終了するまでに答えを出せばいい問題ですので、じっくり出口戦略について考えていきましょう。
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