障害基礎年金・障害厚生年金についてざっくり解説

つみたて次郎です。

国内に住む20~60歳の人は原則として年金の加入が義務づけられており、国民皆年金と呼ばれています。

一般的に年金といわれると老後にもらうことができる「老齢年金」をイメージする人が多いと思いますが、その他にもいくつかの受給パターンが存在しています。

その代表例ともいえるのが「障害年金」であり、ケガや病気で障害を抱えていて日常生活に支障があり、さらに一定の条件を満たしている場合に受給できる制度です。

また、申請できるのは原則として65歳までとなっており、年金を納めている現役世代のための制度となっています。

 

障害基礎年金と障害厚生年金

障害年金には大きく分けて「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類が存在しています。

障害基礎年金は1階部分、障害厚生年金は2階部分となっています。

障害年金を申請する際には、障害の事由が初めて診断された「初診日」が重要な判断材料になります。

初診日の時点で厚生年金に加入していた場合は両方を申請することができ、そうでない場合は障害基礎年金のみを申請することになります。

老齢年金と違い、過去に加入していたかどうかではなく初診日時点の加入状況を見られる点には注意が必要です。

 

等級と受給額について

それぞれ障害の重さに応じて該当する等級が分けられており、若干違いがあります。

障害基礎年金
・1級(年間974,145円+)
・2級(年間779,300円+)

障害厚生年金
・1級
・2級
・3級
・障害手当金

障害基礎年金は最低支給額が決まっており、平成30年度の場合は上記の通りです。

障害厚生年金は受給者の給与額等に応じて変動します。

また、比較的軽い障害で該当する3級という区分が設けられており、一時的に支給される障害手当金という区分もあります。

1級と2級については条件が共通しているので、障害厚生年金1級に該当した人は障害基礎年金1級にも該当することになります。

また、障害の回復の見込みが無い場合は永久認定、見込みがある場合は定期的に現況がチェックされる有期認定という区分も存在します。

 

未納だともらえない可能性あり

障害年金は申請すれば必ずもらえるものではなく、書類の審査等を経て支給・不支給が決定します。

書類の申請もいろいろ複雑なようで、社会保険労務士等が代理で申請するサービスも存在しています。

なので具体的に受給できるパターンを考えるのは非常に難しいですが、明らかに不支給になってしまうパターンはすぐに挙げることができます。

一番わかりやすいのは年金保険料を納めていなかった場合です。

障害年金を申請する場合は下記の保険料納付要件をクリアしている必要があり、下記のどちらかを満たしていなければなりません。

・初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
・初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
参考文献…障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

未納期間が長いとどちらとも条件を満たせなくなってしまい、障害年金請求できなくなってしまう可能性があります。

特に後者の条件に付いては直近1年の納付状況で判断されるので、そのうち1ヵ月でも未納になってしまったらアウトです。

給料天引きで厚生年金保険料を納めているサラリーマンやその配偶者であればあまり心配はなさそうですが、自営業や無職期間の長い方は納付状況に気を付けたいですね。

また、国民年金の全額免除・納付猶予・学生納付特例に該当していて実際に掛金を納付していない人でも、未納扱いではないため保険料納付要件にカウントされます。

未納というのは単に将来の年金がもらえない・督促が来るというだけでなく障害年金受給の可能性を失うことにもつながりかねませんので、一刻も早く解消しておきたいところです。

諦めて素直に納めるなり、免除等に該当するかどうか年金事務所や市役所で相談してみるのがよいでしょう。

 

 

老齢年金の繰り上げ受給に注意

障害年金を請求できるのは原則として65歳までとなっています。

老齢年金の支給開始時期は65歳が基本となっていますので、老齢年金をもらい始めたら障害年金は請求できないとざっくり考えてしまってよいでしょう。

あくまで請求できないというだけで、一度支給が決定した障害年金について年齢制限はありません。

ただし障害年金と老齢年金の併給には制限がかかるため、基本的にはどちらか金額の大きいほうを選択することになります。

この請求年齢制限に関係するのが、老齢年金の繰り上げ受給です。

通常は65歳から支給される老齢年金ですが、任意で受給開始時期を60~64歳に変更することができます。

早くもらえる代わりに年間当たりの受給額は減額されるため、長生きする場合総受給額が少なくなるというデメリットがあります。

さらに繰り上げ受給を行うと、その後は原則として障害年金の請求はできなくなってしまいます。

数年とは言え障害年金を請求できる期間が短くなってしまうため、繰り上げ受給を選択する際のもう1つのデメリットといえます。

 

20歳前障害基礎年金について

障害年金の制度は非常に複雑ですが、その中で特に興味深いのが20歳前障害基礎年金です。

障害年金は国民年金・厚生年金に加入している人が対象となりますが、国民年金は20歳以上・厚生年金は18歳以上でなければ加入することができません。

しかし先天的な障害の場合、生まれ持って抱えているケースも非常に多いです。

障害年金においては原則として障害の診断を受けた初診日時点における年金の加入状況が確認されますが、20歳以前の日付が初診日になっている場合は20歳になった日を初診日として扱うという特例があります。

先天的な障害を抱えている場合は、20歳の誕生日を迎えた時点で障害基礎年金の請求が可能になるということになります。

障害年金は年金加入者が後天的に障害を抱えてしまったときだけでなく、先天的に障害を抱えている人の経済的支援にもなる可能性を秘めています。

また、20歳前に年金を納めることは出来ないので、20歳前障害基礎年金請求には保険料納付要件がありません。

掛金の納付状況が一切問われず、国民が生まれながらにして利用できる保険制度といえるかもしれません。

 

民間の保険制度と並べて考えたい

海外移住者等でない限り、20~65歳の日本国民は強制的に公的年金に加入させられることになります。

そのため現役世代の人のほとんどは障害年金制度を利用することができ、万が一障害を抱えてしまった場合の保険として機能することになります。

公的年金=老後に支給されるもの(老齢年金)というイメージが非常に強いですが、加入者として納付している間は障害年金についてよく考えておく必要があります。

具体的には、民間の生命保険や医療保険に加入する際に障害年金だけではカバーできない部分を補完するという視点が必要になります。

生命保険のおける重度障害保険や、医療保険、就労傷害保険などと役割が重複していますからね。

また、民間の保険と違い障害年金は強制加入である公的年金の制度ですので、そもそも利用しないという選択肢はありませんし、民間の保険と比較してもかなり優秀であるという声も多いです。

保険がどこまで必要かは収入や家族構成、ローンの有無などによって左右されますが、場合によっては障害年金+貯金だけで対応できる人も少なくなさそうです。

無駄な保険料は将来の資産形成を圧迫するため、保険で対応できない有事の際のリスクを悪化させることにもつながりかねません。

「障害年金」という素晴らしい制度を活かし、必要最低限の保険を見極めて加入していきたいですね。

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年金次郎

障害基礎年金・障害厚生年金についてざっくり解説” に対して1件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    いつも楽しく拝見させて頂いています。社労士兼保険屋兼個人投資家をしているものです。

    障害年金の保険料納付要件が間違っていると思われます。2要件どちらかでも満たさないと不支給と読めましたが、実際はどちらか満たしていれば支給されるはずです。

  2. つみたて次郎 より:

    いつも応援ありがとうございます。
    「両方ダメだと受給できない」ということを強調して書いたつもりでしたが、おっしゃる通り間違った意味の文章になってしまいました。
    該当箇所は修正しました。ご指摘いただきありがとうございます。

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