なぜS&P500ではなくNYダウなのか?②
シーゲル二郎です。
前回NYダウのすばらしさを熱弁しましたが、まだまだ続きます。NYダウは30銘柄であり、その時代を表すものなので、適宜銘柄の入れ替えがあります。
最近では、米国の電話通信業者のAT&Tが外れ、みんな大好きアップルが選ばれました。
しかし、インデックス投資では、頻繁な入れ替えは歓迎されません。S&P500でも、新たに採用された銘柄が投資家の注目を浴びすぎた結果、リターンを押し下げたとされています。
NYダウにも、この懸念がありますが、有利な部分があります。まず、NYダウに採用される銘柄は超大型株なので、もし採用が決まっても極端に値が上がらないからです。
アップルが採用されたときには、時価総額約80兆円の世界1位でしたから、入れ替えが決まってもあまり株価は上昇しませんでした。(多くの人が採用されることを予想していたということもありますが。)
比べてS&P500では、新たに採用される銘柄の時価総額は大きくないので、注目を浴び値上がりした株価で入れ替えてしまえばリターンの低下を招きます。
また、前回に書いたとおり、NYダウの重要性が下がっているのも、投資家にとってはむしろメリットです。
注目を浴びなければ、銘柄入れ替えの際に投資家が反応しないので、スムーズにポンコツとお宝を入れ替えることができます。
また、NYダウは、その性質上個別株のバブルに強いです。なぜなら、NYダウは、時価総額ではなく、株価単純平均という時代遅れの方法を採用しているからです。
株価単純平均とは、株価×発行数の時価総額ではなく、単純に株価を平均します。
うまい棒30本入り1袋と、ばら買い30本は本来同じなのに、株価単純平均では300円と10円と区別してしまうというデメリットがあります。
逆に、この仕組みが有利に働く場合があります。NYダウには、これから採用されそうな銘柄が予想されますが、その筆頭にグーグルがあります。しかし、グーグルの株価は現在約926ドルであり、このまま採用するとNYダウの30%を占めることになってしまうので、採用できません。
この場合、昔なら株式分割をして、1株当たりの金額を減らすことで採用されるように工夫したのですが、今では誰もNYダウに興味がないので、株式分割をしようとしません。
1株当たりの株価が高い値嵩株は急成長企業が多いので、そのような株を(結果として)避けられるということです。
逆に、現在採用銘柄が急上昇した時に、株式分割の圧力をかけることができます。現在採用されている銘柄の1つに、ポンコツIBMがあり、現在全体の4.4%を占めています。
何かの間違いで5倍に上昇した場合、全体の20%以上を占めてしまうので、IBMに対し株式分割を要求するでしょう。このときに応じなければ、NYダウから除外してしまえば解決です。
つまり、短期間で極端に値上がりした危険な株を売却または排除できる環境が整っているということです。
S&P500の場合時価総額なので、値上がってもそのまま保有せざるを得ません。
もっとも、そこまで極端に値上がりしたことは歴史上ないのですが。
また、単純に採用銘柄が少ないということは、メンテナンスにかかる費用も安いので、信託報酬も安くできるはずです。
理論的には20銘柄を超えれば十分な分散なので、NYダウの30銘柄は合格です。
このように多くの優位性があるので、シーゲル二郎はS&P500ではなくNYダウです。