【書評】資産運用のパフォーマンス測定【アセマネOne】

つみたて次郎です。

「資産運用のパフォーマンス測定第2版」を読みましたので感想文です。

資産運用のパフォーマンス測定【第2版】-ポートフォリオのリターン・リスク分析-

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編著は「アセットマネジメントOne」という企業が行っています。

インデックス投資家であれば「たわらノーロードシリーズを運用している会社」といえばピンときますね。

アセットマネジメントOneの運用リスク管理部の方が執筆しています。

どちらかといえば資産運用業務に携わる人向けの内容となっていますが、初歩的な部分から解説されているので個人投資家でも十分分かりやすいのではないかと思います。

 

収益率の比較

タイトルにある「パフォーマンス測定」という文字の通り、投資成績の結果をどう評価するかがメインテーマになっています。

本書内でよく登場するのが「ファンドマネージャーA、Bのどちらの成績が優れているか」のような問題で、「異なる環境で行われた運用同士を公平に比較する」ための考え方について多く記載されています。

例えば120万円を1年で1,000万円に増やした人と、1,200万円を1年で1億円にした人は投資成績としてはどちらも同じように見えます。

ですがもしかしたら前者の120万円は運用開始時点に全額投資できて、後者の1,200万円は毎月100万円ずつ渡されて計1,200万円だったかもしれません。

この場合、毎月ごとの投資金額に差が出てしまうので、この2人を同じ成績として評価するのは不公平です。

単純に「元本合計〇円を△年で□倍した」という情報だけでは、正確なパフォーマンスを計算できないということですね。

特にファンドマネージャーの場合、時期によって運用額が増えるだけでなく減ったりすることもあるので、投資可能額の増減を配慮して運用成績を評価しなければならないということになります。

上記のような調整を行って出す投資成績を「時間加重収益率」と呼ぶそうです。

また、運用時の相場状況なども考慮する必要があります。

リーマンショックの暴落直前に資金を預けられたファンドマネージャーと、暴落後の底で資金を預けられたファンドマネージャーなんかも例としてイメージしやすそうです。

この場合、実力が互角なら後者の方が見かけ上圧倒的にハイパフォーマンスに見えてしまいますからね。

その他細かい話だと、ファンドから日々引かれる信託報酬の影響を除いた収益率の計算なども登場します。

本書の前半では、上記のような話を複雑化した問題がひたすら続きます(笑)

一見個人投資家には関係なさそうですが、時間加重収益率という考え方は非常に重要です。

特に積立投資をしている場合、徐々に投資額が増えていくので正式なパフォーマンス測定をするためにはかなり複雑な計算が必要になります。

なので積立投資家の場合、「〇円が△年で□倍に!」という情報だけで異なる積立投資家の運用成績を比較できないということになります。

つみ次郎のように投資額や投資日もバラバラだったりすると、正しい時間加重収益率を計算するためには途方もない労力が必要となりそうです(笑)

 

 

収益率の分析要因

第3章のタイトルそのままですが、個人的には一番タメになった部分です。

とある運用方法が素晴らしい(残念な)リターンを叩き出した時、その要因はどこにあるかを調査するというのがテーマになっています。

超過収益を生み出す要因としては、好調な〇〇をオーバーウェイトした、不調な△△をアンダーウェイトした等が考えられますが、その内容を詳細に分類していく必要があります。

例えば好調なセクターを見事予想してオーバウェイトしていたけど、セクター内での銘柄選択が悪かったせいで総合的にはベンチマークに負けました…みたいな感じです。

この場合はセクター選択は良かったが、銘柄選択は悪かったという評価になります。

言葉にすると少し難しいですが、素晴らしい解説文があったので全文引用させていただきます。

たとえば、欧州株式のなかで、ドイツ株式をアンダーウェイトしたとしてイタリア株式をオーバーウェイトしたことが奏効したとする。欧州を国ごとに分けて国別要因分析を行うと、この効果は国別配分効果として認識される。ところが、欧州で各国をまとめる場合、これらはいずれも欧州地域のなかでの話なので、配分効果としては認識されず、すべて銘柄選択効果のほうに表れるのである。各地域のなかで投資国を選んで投資を行う場合、より厳密な分析を行うためには、欧州のような大ざっぱな分類ではなく、国ごとに正確に区切った分析で計算すべきということが分かる。
出典「資産運用のパフォーマンス測定第2版」

最後の結論はともかく、要因ごとに分けて考えるというのは個人投資家でも重要な考え方です。

インデックス投資家の場合、世界の株式市場を日本+先進国+新興国の3グループに分けて考えられることが多いですが、さらに細かく分けて投資比率を決めたいという人もいますし、逆に全部区別せずひとまとめで考えたいという人もいます。

その中間で日本+外国(先進国+新興国)のように分けている人もいますし、自分がどのように投資先を分類しチョイスしていくかは前もって明確に分類しておきたいところです。

 

例題が多いので分かりやすい

ほぼ全体を通して具体的な例題を出題→解説しながら答えを計算するの繰り返しなので、金融工学の参考書という位置付けではないかと思います。

例題についても知識や考え方が正しければ簡単な計算で答えが出るように簡略化されているので、余計な計算に頭を使わなくて済みました。

また、本書の後半では金融に関する用語の解説がズラリと並んでおり、金融工学に関する簡易的な辞書みたいな感じでも使えます。

個人的にはイールドカーブ、売買回転率、正規分布、トラッキングエラーに関連するページが特にためになりました。

いつもは複雑な数式が出ると本を読む手が止まってしまうつみ次郎ですが、本書は全体通してサクサク読み進められました。

金融工学について広く浅く学びたい人にはオススメの1冊です。

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パフォーマンス次郎

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