【書評】ボーグル著「インデックス投資は勝者のゲーム」を読んだ感想

つみたて次郎です。

米バンガード創業者、ジョン・C・ボーグル氏の著書「インデックス投資は勝者のゲーム」を読んだので感想文です。

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ちなみに今だとアマゾンプライム会員は無料で読むことができますので必見です。

名前から分かるとおり、ひたすらインデックス投資の優位性について述べられており、インデックスファンドを用いた長期バイアンドホールドの凄さが良く分かる本です。

内容として目新しいものは特にありませんでしたが、比較的分かりやすい文章で書かれているのが好印象です。

気になった部分をいくつか紹介していきたいと思います。

 

勝者のゲームと敗者のゲーム

タイトルにもある「勝者のゲーム」という言葉が度々出てきますが、その反対といえる「敗者のゲーム」という言葉も同じくらい登場しています。

敗者のゲームといえば、チャールズ・エリス氏の著書「敗者のゲーム」が非常に有名です。

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全く反対のタイトルを掲げていますが、どちらもインデックス投資の有効性について書かれたもので内容は非常に似ています。

敗者のゲームとは、アマチュアテニスの様にミスを続けた方が負けるゲームを比喩しており、負けないための投資法としてインデックス投資が推奨されています。

その一方本書では、勝者のゲームを次のようなニュアンスで使用しています。

株式市場を長期にわたって保有することは勝者のゲームであるが、市場に勝とうとすることは敗者のゲームである。

出典「インデックス投資は勝者のゲーム」

ボーグル氏はより明確にアクティブファンドやアクティブ投資に対して否定的な立場を取っているように思えます。

同じ「敗者のゲーム」という言葉でも、大分違う意味で使われているような気がします。

 

 

米国株の今後10年リターン

ボーグル氏はどちらかといえば、国際分散ではなく米国集中派の立場を取っています。(ただしアメリカ人が投資する場合の為替リスク等を考慮している部分が大きく、日本人に当てはまるかは微妙なところ)

そんなボーグル氏ですが、今後の米国株リターンについては悲観的な見通しを持っています。

本書では株式リターンの源泉を、次の2つに分けて考察しています。

 

・投資リターン…企業利益や配当成長に基づくリターン
・投機リターン…PER(益回り)の変化に基づくリターン

 

2017年当初のS&P500のPERが23.7倍と過去平均よりも高いため、10年後には20倍以下の水準まで下がる=等式リターンが減少するのではないかという推測が立てられています。

名目GDP成長率などその他の根拠も合わせ、米国株の今後10年リターンは年平均4%程度になるのではないかという結論がまとめられています。

ちなみに名目で4%なので、インフレを考慮した実質リターンではさらに低下することになります。

米国株の過去長期リターンが実質7%弱であったことを考えると、少なくとも今後10年間についてはあまり期待できないかもしれません。

株式市場だけではなく、長期金利の低さから債券市場の長期リターンについても懸念されており、株式と債券どちらとも不調が続く可能性も十分ありそうです。

 

セクターETFやスマートベータへの批判

ボーグル氏は伝統的な時価総額加重に基づくインデックスファンドが最良であるとしており、セクター特化型ETFや特定の属性にフォーカスしたスマートベータETFに対して批判的です。

その根拠として何度も登場するのが「平均回帰」であり、アクティブファンド同様「昨日の勝者は明日の敗者」になってしまう恐れがあるとしています。

また、ジェレミー・シーゲル教授に関する記載がほんの少しだけありますが、以前は市場に勝つのは困難としていながら現在ではセクター戦略や配当戦略を推奨していることに対し「彼が心変わりするのは自由だと思うが」と強烈な皮肉をぶつけています。

 

私だけの言葉を信じる必要はない

本書は全部で20章の項目で構成されていますが、「私だけの言葉を信じる必要はない」というコラムが頻繁に掲載されています。

ボーグル氏以外の著名人による補足文のようなものになっています。

内容もさることながら、インデックス投資がいかに幅広く支持されているかが良く分かります。

少し意地悪なコメントをするのであれば、あくまでインデックス投資に賛同する内容がほとんどなので「インデックス投資に批判的な人の言葉」に耳を傾けていく必要もあるのではないかと思います。

本記事を書いているつみたて次郎もインデックス投資に肯定的な人間の1人ですので、その点を考慮しつつ読み進めていただければ幸いです。

 

勝者のゲームまとめ

インデックス投資本として有名なのは、上記で紹介したチャールズ・エリス著「敗者のゲーム」の以外にもバートン・マルキール著「ウォール街のランダムウォーカー」などがあります。

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理

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本書「インデックス投資は勝者のゲーム」も内容はかなり重複しており、幅広い知識について網羅されています。

この3本の中では簡易な文章で書かれており、投資本としてはかなり読みやすいのではないかと思います。

バンガード創業者だけあって、インデックス投資という手法だけでなく投資信託とETFに関する情報も豊富なのも高評価です。

本格的な投資本入門の方に特におすすめです。

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