イチローの資産運用術と分割受け取りのリスクについて

つみたて一郎です。

先日野球のメジャーリーガーであるイチロー氏が引退を発表し、国内外で大きなニュースになりました。

その関連で話題になったのが、イチローが所属チームであるマリナーズと結んでいた報酬受取に関する契約です。

外部リンク…イチローの契約を経済誌が絶賛 全盛期報酬の一部は引退後に支払いスタート

一部引用します。

記事によると、イチローはメジャー挑戦時(2001年)にマリナーズと契約ボーナスを含めて3年総額約1400万ドル(約15億4000万円)の契約を結んだが、そのうちの700万ドル(約7億7000万円)と利子分を後払いで受け取る内容になっていたという。

その後、イチローは2004年から07年まで4年総額4400万ドル(約48億3600万円)でマリナーズと契約を延長。そして、記事では2007年7月に結ばれた3度目の契約について特筆している。

受け取りは引退翌年の来年1月からスタート「引退後の人生を豊かに…」

イチローは5年9000万ドル(約99億円)の大型契約を結んだが、毎年500万ドル(約5億5000万円)分が後払いに設定されているという。総額2500万ドル(約27億5000万円)に、5.5パーセントという利子を乗せた金額をマリナーズに預けている状況で、受け取りは引退翌年の来年1月からスタートする、と記事では報じている。

引用「Full-Count

球団から受け取る年棒を一部後払いとして契約していたことから、経済紙フォーブスで取り上げられたようです。

手堅くヒットを量産するイチロー選手らしく、引退後の資産についても堅実に考えられていますね。

スポーツ選手等のスーパースターは莫大なお金が一括で得られる半面、金銭感覚が狂って破産してしまうケースもしばしばニュースで見かけるため、なおイチロー選手のすごさが際立ちます。

 

契約内容をかみ砕いてみる

2007年7月に結ばれた5年9000万ドルの契約に注目すると、毎年500万ドルの受け取りで総額2500万ドルなので、単純計算で向こう5年間に渡って分割受け取りするものだと読み取れます。

もはや桁数がデカすぎて良く分かりませんが、来年以降5年間に渡って毎年500万ドル(5億5千万円)という巨額な資産がマリナーズからイチローに支払われるということになります。

しかも5.5%の利息が上乗せですからね。あくまで米ドルなので5.5%はさほど高利率とはいえなさそうですが、それでも素晴らしい判断ですね。

とはいえ9000万ドルの契約のうち2500万ドル(大体4分の1強)についてなので、割合で見るとさほど大きくないなという意地悪な感想が思い浮かんでしまいました(笑)

また、イチロー元選手の奥さんである弓子氏は資産運用会社の社長を務めており、その点を考えると今回の契約内容はイチロー家の資産運用術のごく一部であるといえそうです。

 

投資家的な視点で眺めてみる

今回のニュースの趣旨としては「引退後の人生に備えたプラン」を練っていたイチロー選手を称賛する内容ですが、投資クラスタとしては少し違う視点から眺めていきたいところです。

具体的には次の項目がキモですね。

①支払元であるマリナーズの信用リスク
②5.5%という金利の変動リスク

ある意味では「年棒の後払い」という金融商品のようなものですね。

①については単純明快で、マリナーズが約束通りのお金をしっかり支払うことができるかということです。

5年9000万ドルの契約をしたのは2007年、その一部を実際に分割で受け取り始めるのは2020年からですので、13年もの月日が流れていることになります。

万が一マリナーズが破産した場合の約束事が分からないので何とも言えませんが、それなりの信用リスクがあったのではないかと思います。

考えにくいですが、今後5年以内にマリナーズがどうにかなってしまう可能性もゼロではないですからね。

また、マリナーズが今後滞りなく支払い可能だとしても、次に②5.5%の金利が有利か不利かを考えなければなりません。

5.5%がもし固定金利での契約ならば、金利がそれ以上に上昇していれば相対的に不利な取引になってしまいます。

単なる憶測にすぎませんが、イチロー選手も奥さんである弓子氏もこのあたりのリスクは当然把握したうえで、資産の一部をマリナーズに預けるという判断をしたのではないかと思います。

 

似たようなケースは身近にたくさん

金額の桁数は全く異なりますが、私たち庶民にも同じようなパターンの契約は無数に存在しています。

一番近いのは確定給付型の個人年金保険ではないかと思います。

契約時点で将来受け取れる年金総額が確定しているタイプの個人年金契約ですね。

万が一保険会社が倒産した場合一部年金額が減る可能性があることや、金利上昇に弱い点などは上記で挙げたリスクと似ています。

ちなみにつみ次郎としては、リターンに対して背負う信用リスクや金利変動リスクが大きいと思うのであまり魅力的だとは考えていません。

「一定期間お金を預けて後から少しずつ受け取る」という行為そのものが、構造的に複数のリスクを抱えてしまう点には気を付けたいですね。

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つみたて一郎

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