ひとくふう先進国株ファンドを分析。珍しい低コストなアクティブ投信
つみたて次郎です。
今回は、ひとくふう先進国株ファンドを分析していきたいと思います。
アクティブ型の投資信託としては非常にコストが低いのが特徴で、日本を除く先進国の株式が投資対象となっています。
基本情報(2019/1/10時点)
項目 | データ |
ファンド名 | ひとくふう先進国株ファンド |
運用会社 | 三井住友DSアセットマネジメント㈱ |
設定年月日 | 2016年8月31日 |
信託報酬 | 0.33% |
純資産総額 | 1.68億円 |
為替ヘッジ | なし |
投資区分 | 先進国株式 |
ベンチマーク | なし |
構成銘柄 | 108銘柄 |
分配金 | 0円(設定来) |
ベンチマークは設定されていませんが、MSCIコクサイ指数からバリエーション等を考慮して構成銘柄を決めているようですので、実質的にはMSCIコクサイがベンチマークと言ってもよさそうです。
そのため投資対象も日本を除く先進国株に絞られますので、同じジャンルをカバーしていてMSCIコクサイ連動ファンドであるeMAXIS Slim 先進国株式ファンドや<購入・換金手数料なし>ニッセイ・外国株式インデックスファンド、たわらノーロード先進国株式などがライバルとなります。
信託報酬は0.33%となっており、アクティブファンドとしては非常に低水準となっています。
しかも本ファンドは信託報酬が高めに設定されやすい海外資産に投資するタイプの投信ですから尚更です。
また、設定された2016年当初の時点では、先進国株インデックスファンドも0.2~0.3%くらいの水準でしたから、設定当時はインデックスファンドに匹敵する低コストアクティブファンドとして大きな話題を呼んでいた記憶があります。
構成上位10銘柄(2019年11月末時点)
明確な銘柄選定基準はありませんが、上位銘柄を眺めているとその傾向がなんとなく掴めてきます。
順位 | 銘柄(ティッカー) | 構成比率 |
1位 | ウォルマート(WMT) | 3.0% |
2位 | インテル(INTC) | 3.0% |
3位 | ロシュ・ホールディング | 2.8% |
4位 | ベライゾン(VZ) | 2.8% |
5位 | ファイザー(PFE) | 2.5% |
6位 | ロイヤル・ダッチ・シェル | 2.4% |
7位 | シスコ(CSCO) | 2.2% |
8位 | シェブロン(CVX) | 2.2% |
9位 | ターゲット(TGT) | 1.8% |
10位 | インテュイット(INTU) | 1.7% |
MSCIコクサイでは上位を占めているFAGA系の企業は一切入ってきておらず、全体的に地味で渋い企業が多く含まれています。
つみ次郎の記憶だと、設定当初は生活必需品セクターと資本財セクターの比率が高かったような気がしますが、業種別組み入れ比率(米基準のセクター分けではない)を見る限りではむしろ上記2セクターの比率はMSCIコクサイよりも低いように見えます。
つみ次郎が好きな生活必需品と資本財が減っているのはちょっと残念(?)ですが、それを差し引いても全体的にバリュー銘柄に寄っており、銘柄選定基準はつみ次郎の好みにかなり近そうです。
WMT・INTC・CSCOなんかはまさにドストライクです(ハァハァ)
また、MSCIコクサイ指数は約1,300銘柄で構成されていますが、ひとくふう先進国株は約100銘柄となっているため、アクティブファンドとしての差別化は十分できていると思います。
相対的に大型株に寄っているはずなので、その点もつみ次郎としては高ポイントです。
余談ですが、国別の構成比率でみるとMSCIコクサイに比べて米国株が少なく、イギリスやカナダはやや多めになっています。
たわら先進国株とリターン比較
MSCIコクサイ連動ファンドであるたわらノーロード先進国株式とリターンを比較してみます。
期間 | ひとくふう先進国株 | たわら先進国株 |
過去1ヶ月 | +3.3% | +3.7% |
過去3カ月 | +10.0% | +11.3% |
過去6カ月 | +8.2% | +12.4% |
過去1年間 | +5.9% | +12.0% |
過去3年間 | +25.8% | +40.1% |
信託報酬等も考慮する必要はありますが、それを差し引いてもボロ負けが続いている状態です。
相対的にバリュー株が多めグロース株少なめな内容ですので当然と言えば当然ですが、アクティブファンドとしては(事実上の)ベンチマークに勝ってナンボですので、ファンドに対する評価も厳しい声が多いです。
また、直近の運用報告書で計算すると1年間の隠れコストは0.73%(!)とかなり高く、これもリターンを悪化させている可能性が高いです。
隠れコストはあくまで目安ですが、それでもここまで高いと流石に警戒してしまいます。
やはりアクティブファンド=高コストという呪縛からは逃れられないのでしょうか?
大きな期待と大きな落胆
2016年に颯爽と登場し、インデックスに匹敵する超低コストアクティブファンド・シーゲル流っぽいバリュー株国際投信という当時のニーズをガッツリ掴んだ超大型スーパールーキー投信(個人的な感想)でしたが、今となってはその面影もありません。
米国株の好調、バリュー株の不調…そしてインデックスファンドのさらなる超低コスト化という向かい風が続いています。
また、隠れコストが非常に高いうえに事実上のベンチマークであるMSCIコクサイにも大きく負けているのが致命的であり、純資産総額も現時点で1.68億円と非常に少ないです。
コンセプトや構成銘柄はとても面白いですし、つみ次郎の好みにも近いので応援していきたいところですが、抱えている問題点がシンプルかつ致命的なだけに、ここから巻き返していくのは容易ではないでしょう。
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