薄利多売は悪だ!
シーゲル二郎です。薄利多売とは、原価のギリギリに値段を設定し、1個当たりの利益は少ないけど、その分たくさん売るという戦略です。
しかし、この戦略は、短期的には利益を得ることができますが、長期的には苦しくなる戦略です。なぜなら、この戦略をすると、同業者がマネをしだすからです。
その理由は、ゲーム理論にあります。囚人のジレンマというゲームはご存知でしょうか。ゲームの概要は端折ります。
みんなが最善の結果を選んだ結果、全体では最善とは言えない状況になってしまうというジレンマです。薄利多売は、通常の値段で売っている同業者よりも多く商品が売れるため有利です。そうすると、他の店も真似をして値下げするので、結果全体の売値が下がり、利益が減ってしまいます。みんなが値下げをすることで、みんなが損をすることになってしまいます。
しかし、薄利多売で莫大な利益を得る方法もあります。それは、他がマネできないほど安い値段で仕入れることです。そして、安く仕入れるには、大量にまとめて発注すればいいので、ひたすら巨大化を目指せばいいということです。そしてこの方法で世界一になったのが、超超特大スーパーマーケットのウォルマート・ストアーズ(WMT)です。
逆に、個人経営の飲食店などに多いですが、利益のためではなく、お客さんのために、という理由で非常に安い値段にしている心優しいお店もあります。しかし、このようなお店の存在自体が、まっとうな商売人の利益を奪っている鬼であるということを忘れてはいけません。
薄利多売は、決して褒められた儲け方ではありませんが、一度巨大な帝国を築いてしまえば、誰もマネできないし、倒すには多くの設備投資と赤字を覚悟しなければならないので、ライバルが現れることも少ないです。
しかし、ウォルマートは最近、実店舗を持たないアマゾンから攻撃を受けて疲弊しています。いままで同業種の小売業を潰してきた報いを受けるのかもしれません。日本でも、イオンが大打撃をうけているようです。
ウォルマート株は最近冴えないので、長期保有するとおもしろそうです。いくらネット販売が拡大しても実際に手に取り買うという行動をやめることはないでしょう。
薄利多売は、業界全体の利益を奪う鬼のような戦略なのでした。そして、日本では消費者が価格競争を求めるので、やがて国そのものが衰退していくのでした。