ダウ・デュポン(DWDP)分析
シーゲル二郎です。
今回は、ダウ・デュポン(DWDP)を分析していきます。
素材セクターで時価総額最大の総合化学品メーカーです。
連続増配…?年
S&P格付…?(BBB+A-)
採用インデックス
・NYダウ
・S&P500
合併により2017年9月1日から上場したばかりのタイムリーな企業です。
もともとNYダウ銘柄だったデュポン(DD)と、ダウ・ケミカル(DOW)が合併して、ダウ・デュポン(DWDP)となりました。
それぞれ総合化学メーカーで、素材セクターです。合併前は、米国のセクター内での時価総額の2位と1位だったので、超巨大企業が誕生しました。
まずは、合併前の企業ごとに説明していきます。
デュポンは、創業1802年の超老舗企業です。穀物の種子製品や、除草剤・殺菌剤などの農業関連商品に強みがあり、他にも科学素材関係や健康食品などの幅広い事業ポートフォリオを持っています。
裏の顔としては、「死の商人」の代表格であり、アメリカ南北戦争では弾薬や爆薬を販売して大儲けしたことで悪名が知られています。また、ベトナム戦争では、隠れ場所をなくすために撒かれた枯葉剤により、深刻な健康被害を巻き起こしています。
その一方で、ナイロン製品のストッキングや、くっつきにくい加工を施したフライパンなど、身近な発明品を多く世に送り出している面もあります。「テフロン」は、デュポン社の商標登録です。また、消防服も製造しています。
ダウ・ケミカルは、創業1897年で、漂白剤の製造が発祥の企業です。シリコンやプラスチック製品に強みがあります。
こちらも幅広く事業を組んでいますが、デュポン同様イメージは悪いです。ベトナム戦争時に同じく枯葉剤を販売していました。
合併後は、世界最大の化学製品メーカーになりましたが、2018年までには3つの会社に分社化する予定になっています。
農業関連…デュポンがベース。遺伝子組み換え、除草剤・枯葉剤など。
特殊化学…デュポンがベース。電子製品、防護服など。
素材化学…ダウ・ケミカルがベース。工業向けプラスチック製品など。
つまり、2社が合併して重複するムダを省いた後、強みに特化した3社に分社するのが一連の流れです。この合併により、時価総額で約25%ほど上昇するプレミアムを見込んでいるようです。
参考記事「コングロマリットディスカウント」
複数事業を併せ持つコングロマリットが悪であれば、分社化して特化するのは正義ということです。分社化する前提で合併するという機動力の高さが米国企業の強みです。日本では考えられませんね。
元々両社とも事業ポートフォリオが多彩だったので、3社ではなく6社に分割したほうがいいのではという意見もあり、メリットがあれば米国企業はなんでも実行してしまいます。今後の動向に注目ですね。
両社とも海外売上比率は6割強ほどあり、名実ともに世界一の多国籍素材メーカーといえます。(短い間だけどね)
※合併後のため、データは5年分のみです。参考文献「米国会社四季報2017春夏号」の、ダウ・ケミカルとデュポンを単純に足しただけです。参考程度でお願いします。
素材セクターのため、景気には敏感です。利益率も低めです。
デュポンは2016年に減配しているようです。2社合わせても配当金はずっと横ばいで、今後も急成長するような企業ではありません。
現時点情報(2017/9/12)
株価…66.85ドル
配当利回り…2.75%
2017年9月1日の上場以降のみなので、長期投資家には全く参考になりませんね。素材セクターなので最大手でも変動は激しいです。配当利回りは十分な水準かと思います。
さて、かなりホットな銘柄ですが、実態は古臭くて環境に悪い製造屋です。そのため、一般世間からのイメージは最悪です。イメージの悪い企業というと、日本だとなぜかサービス業ばかり思い浮かんでしまします。
???「ありがとうを食って生きていく」
また、素材セクターは、米国セクター別リターンが低かったことでも有名です。コモディティ化しにくく、企業ブランドがつけにくいです。商品価格にも左右されやすいし、人件費が安い新興国企業の台頭で消えていった企業も多いです。
そのため、バフェット派、シーゲル派、その他一般人の皆様から嫌われているかわいそうな子です。デュポンもダウ・ケミカルも同じようなタイプなので、嫌われ者同士の合併でした。
2社の過去業績も、決して安定はしていませんが、配当金の変動は緩やかで、株主還元は十分かと思います。
嫌われ要素を大量に持っているので、投資家の期待がかかることはあまりないでしょう。超老舗企業であり、今後もジグザグながら成長できそうな企業なので、不況局面で拾うことができれば、長期でも報われるのではないでしょうか。
とはいえ、今買うと分社化で面倒なので、投資する人は気を付けてください。