書評 | つみたて次郎の投資日記 https://siegeljiro.com シーゲル流×積立NISA×iDECO Sun, 18 Oct 2020 06:17:55 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.0.10 134557597 【書評】海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書 https://siegeljiro.com/shohyou-etf-reit-income https://siegeljiro.com/shohyou-etf-reit-income#respond Sun, 19 Jul 2020 02:01:24 +0000 https://siegeljiro.com/?p=13718 つみたて次郎です。

『海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書』という本を読みましたので感想文です。

 

海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書

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名前から分かる通り配当金重視の投資について解説された本となっています。

配当系の本は比較的初心者向けでゆるふわな内容が多いというイメージですが、本書に関してはかなりガチガチの内容です。

タイトルにある海外ETFやREITだけではなく、国債・社債・FX・不動産、さらには太陽光発電などとかなり幅広い金融商品について触れられています。

全体を通して難しい話が多く理解できない部分もたくさんありましたが、その中で比較的理解しやすくためになった部分を紹介します。

 

J-REITと現物不動産の違い

chapter6「インカムゲイン投資家のための高利回りETF」にてJ-REITの価格は、現物不動産よりも株式市場の関連が高いという説明がされていますが、その主な理由として以下のような内容を述べています。

 

・現物不動産を保有する人の多くは先代からの土地を相続した地主や大企業のように、価格が上げっても下がっても売買しない人であるため価格変動は緩やか。

・J‐REITは投資信託経由で高齢の個人投資家が保有することが多いため、株があげるとJ-REITにも注目が集まりがち。

・J-REIT市場の時価総額は非常に小さいため、個人投資家の少額な資金でも価格に影響が出やすい。

 

どれもシンプルに納得できる内容ですね。

他に借入ルールやレバレッジ比率の違い等も踏まえてJ-REITと現物不動産は別物という結論を出しています。

ココだけを見ると、あまりレバレッジをかけられず市場規模の小さいREITはあまり魅力的ではないような感じがしますね(辛)

 

国際分散投資の是非

終章「長期の国際分散投資は本当に正しい投資法か」では現代ポートフォリオ理論(MPT)に基づいた国際分散投資について批判的な面から考察されています。

一部引用します。

 

同じ国際分散投資でも、人々との相場観により期待リターンとリスクは変わってしまいます。

そして、その相場観や前提条件が間違ったまま、有効フロンティアを計算することは、間違ったゴールをカーナビに入れて最短距離を突き進むのと同じことになってしまいます。

このように、MPTの考えかたをもとにつくられた国際分散投資のポートフォリオは、机上の計算では高いパフォーマンスを実現しますが、実際の運用でもちいた場合、各個人の相場観により前提条件が変わってしまうため恣意的にならざるを得ません。それが理由で、国際分散投資のポートフォリオに正解はないとも言えます。
出典「海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書」

 

つみ次郎が意訳するなら理論的には正しいけど前提条件が違うから机上の空論だよといったところでしょうか?(辛辣)

本書では市場構造の変化に対応した長期投資というのが大きなテーマになっており、その答えの1つがインカムゲイン投資であるといえます。

再び引用します。

 

先行きを読みにくい株を中心とした長期の国際分散投資よりも、本書で紹介したようなマクロ経済環境を判断しながら行うインカムゲイン投資のほうが、「大切な資金を減らすことなく複利で長期運用し、老後の資金をつくる」という個人投資家の要望に合致しているのではないかと思います。
出典「海外ETFとREITで始めるインカムゲイン投資の教科書」

 

平均的なインデックス投資家と真っ向から対立しそうな意見ですね(笑)

正直ここだけ見ると胡散臭い結論にも見えてしまいますが、本書は単に高利回りなインカム投資を推奨しているわけではなくむしろ高利回りの対価となるリスク(信用・為替など)についても酸っぱくなるほど解説されていますのでその点は安心できます。

ようするに今後も世界経済や株式市場が順調に成長するとは限らないという前提を元に投資を考えていくのが本書であるといえます。

 

インカムを中心とした金融の教科書

読む前はよくある高配当利回りな金融商品がひたすら紹介されるありがちな本かと思いましたが、本書はひたすら難しい話が並ぶかなり硬派な内容でした。

つみ次郎もスムーズに理解できない内容ばかりでしたので、初心者が最初に取る1冊としてはオススメできません(笑)

また、冒頭で述べた通り海外ETFやREITだけでなくかなり幅広い金融商品について解説されていますので、インカムゲインというワードに興味がない人であっても教科書的な読み方ができると思います。

 

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インカム次郎

 

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【書評】ファクター投資入門 https://siegeljiro.com/factor%e2%80%90toushi-nyumon https://siegeljiro.com/factor%e2%80%90toushi-nyumon#respond Tue, 05 May 2020 03:01:54 +0000 https://siegeljiro.com/?p=13225 つみたて次郎です。

『ファクター投資入門』という本を読んでみましたので感想文です。

ファクター投資入門 (ウィザードブックシリーズ)

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ファクター投資とは、特定の属性(サイズ、バリュー、クオリティ、モメンタム等)に注目した投資手法です。

内容についても、初心者でも理解できそうな簡単なものから聞いたこともない金融用語が飛び交う難解なものまで非常に幅広く、つみ次郎は部分部分で読み解くので精一杯でした(笑)

全ての内容を理解するのは非常に難しそうですが、その中でも比較的わかりやすくてためになった部分を紹介していきたいと思います。

 

超過リターンを求める3つの理由

大前提として、ファクター投資は市場平均を上回るリターンを要求する投資手法です。

市場平均と同等でいいなら普通のインデックスファンドでも買えばいいだけですからね。

そして、なぜ多くの投資家がそれで満足できないかという理由について、以下の3点を述べています。

 

①株式保有のリスクは景気循環のリスクと高い相関性があり、景気後退期には給与等が減る上に株も暴落することが多いため株式に対して高いプレミアムを求める。

②株式の多くが富裕層の個人によって保有されているが、ある程度の資産がある人は積極的にリスクを取る必要がないため積極的にリスクを取ろうとしない(=株式に対して高いプレミアムを求める)

③投資期間を長く取れる若者ほど株式保有への意欲が高いが、収入が低い・消費欲が高い・借入能力が低いといった事情から株式に大きく投資することができないため株式に対して高いプレミアムを求める。

 

どれも非常に素晴らしい説明だったので本書から全文引用したいところですが、長すぎるので意訳させていただきました。

この部分を読むためだけに買う価値があるレベルです(ステマ)

①に関しては、不況に強い収入減を持っている人が投資に有利な理由と繋がりますね。

参考記事…景気敏感な収入は積立投資に向いていない?

②に関しては、投資額とリスク許容度の関係に繋がります(投資額が多いほどリスク許容度は下がる説)

参考記事…景気敏感な収入は積立投資に向いていない?

③に関しては、レバレッジ投資やサラリーマン債券の話に繋がりそうですね。

参考記事…サラリーマン債券という最強の資産

いずれも投資をする上では重要な考え方ですが、まさかファクター投資の本でこれらの話を見ることになるとは思いませんでした(笑)

これらの歪みを活用し高リターンを得ようとするのがファクター投資とも言えますね。

 

グロース株と含み益と期待

ファクター投資の王道ともいえるバリューVSグロースですが、本書では損失回避(利益より損失に対して敏感)という行動を理由にグロース株のリターンについて以下のように説明しています。

 

グロース株は、現在の高い株価が記すとおり、概して直近で優れた業績を残した企業であることが多い。それゆえ、投資家は、最近のパフォーマンスで得た利益がクッションとなり、将来の損失をさほど気にしないようになる。それゆえ、彼らはグロース株に低いリスクプレミアム(より大きなリスクを喜んで受け入れる)を適用するのだ。求められるリスクプレミアムが小さくなることで株価はさらに上昇し、将来の期待リターンは小さくなるのであるから、これはモメンタム効果を説明する一助になるかもしれない。
出典「ファクター投資入門」

 

これまた素晴らしい文言ですね…(ベタ褒め)

含み益があることで狼狽売りを防げる(含み益プロテクター説)というのは投資クラスタ界隈でもよく出る話題ですが、それが全体の傾向となると期待リターンを押し下げることにつながりかねないということですね。

また、宝くじ投資(可能性は低いが巨額の報酬をもたらす)を好む投資家が多いため、小型グロース株等の銘柄が割高になるといった説明もありました。

これは、つみ次郎が宝くじ(本物)に対して期待リターンを求めていない理由と全く同じでとても納得できますw

参考記事…宝くじを批判する人は、逆宝くじなら買うの?

誰もが高いリターンを要求する銘柄は、期待リターンという意味では冴えない可能性が高いという事ですね。

 

 

ファクターの分散

本書では、リターンの差異を説明するファクターとして以下の5種類を重視しています。

・市場ベータ
・サイズ
・バリュー
・モメンタム
・収益性・クオリティ

そしてこのうち、1964~2015年におけるアメリカ市場では各ファクターの間で以下のような相関性がありました。

 

出典「ファクター投資入門」

 

この中でも特にモメンタムが市場ベータ・サイズ・バリューと負の相関であるという点に注目し、これら3つのファクターにモメンタムをぶちこむことで分散効果が期待できるという結論を出しています。

これは以前紹介したウォール街で勝つ法則でも言及されていた内容ですね。

参考記事…【要点まとめ】ウォール街で勝つ法則

つみ次郎の中でモメンタムに対する評価が急上昇しています(笑)

ただ、モメンタム戦略を実行できる金融商品は少なく、個別株で実践しようとすると頻繁な入れ替えになりそうなのが辛いところです。

 

ファクター投資入門まとめ

つみ次郎が好んでいるスマートベータファンドは、ファクター投資を実現するためのアイテムと言えます。

そのためワクワクしたながら本書を手に取りましたが…良い意味で裏切られました。

読む前はウォール街で勝つ法則みたいにひたすら各ファクターごとのデータが並んでいるのかと思いましたが、本書は表・グラフはあまり多くなく「なぜそのファクターが有効か?」という根拠の解説に相当数ページが割かれています。

ファクター投資は有効であるとしつつもスマートベータと呼ばれる戦略の多くはマーケティングの道具にすぎなず、広く知られたファクターを再包装したものとして警告しているのも好印象です。

その気になればいくらでも派生を増やせる都合の良い決まり文句ですからね(辛辣)

元々この感想文も〇〇ファクターが最強や!みたいな結論で〆ようと思っていましたが、実際はここまで書いてきたような行動学・心理学的な内容のほうが印象に残ったのでこのようなまとめかたになりました(笑)

つみ次郎の考え方と共感できる部分も多く、非常にためになる1冊でした。

余談ですが、本書の付録に「配当は有効なファクターたり得ない」というのがあり、タイトル通り配当戦略に対する問題点をガッツリ指摘しています。

これで1記事書けるくらいのボリュームになりそうなので、近いうちに別記事で紹介したいと思います。

 

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ファクター次郎

 

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【書評】ウォール街で勝つ法則 https://siegeljiro.com/wallstreet-katsuhousoku-shohyou https://siegeljiro.com/wallstreet-katsuhousoku-shohyou#respond Sat, 25 Jan 2020 02:01:00 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12506 つみたて次郎です。

超高級投資本「ウォール街で勝つ法則」を読んだので感想文です。

 

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なお、本書においてはバリュー株指標に関する考察が大量に登場するため、以前別記事で要点をまとめています。

先に読んでいただくと本記事もスムーズに読めるかと思います。

参考記事…【要点まとめ】ウォール街で勝つ法則

ではさっそく、気になった部分について項目ごとに感想文を述べていきます。

 

単一指標の王様「PSR」

本書では小型株・PER・PBR・PCFR・PSR・配当利回り・EPS・利益率・ROE・RSといった様々な指標が登場していますが、その中で最もスクリーニングとして優秀だったのはPSR(株価売上高倍率)だという結論を出しています。

PSRは以下のような式で求めることができます。

PSR = 株価 ÷ 1株当たり売上高

純利益を参照するPERに似ていますが、こちらは売上高を参照するのが大きな特徴です。

PSRが低ければ低いほど、株価に対して稼いでいる売上が高いという事になり、割安度を測る尺度として機能します。

1951~1996年における米国市場では、全銘柄の単純平均リターンが14.97%だったのに対し、PSRの低い50銘柄を抽出した場合のリターンは18.86%となっていました。

また、PSRの高低で10グループに分けた場合、PSRとリターンはきれいに反比例しており、PSRの低い銘柄を寄せ集めるだけで爆益が約束されていました。

 

出典「ウォール街で勝つ法則」

単一の指標のみでスクリーニングするのであればPSRが最強という事になります。

しかしつみ次郎としては、PSRという指標に対してあまりいいイメージを持っていません。

例えばPERであれば、実際に純利益を稼いでいる企業が割安で放置されているというサインとして考えることができますが、売上高というのはあくまで利益を得るための手段に過ぎず、本質的に稼いだ額とは異なるからです。

いくら売上高を伸ばしたとしても、最終利益が赤字では意味がないですからね(辛)

また、相対的に薄利多売な企業を高く評価することになるため、売上がほとんど利益になるような超高収益企業がスクリーニングから外れやすくなります。

IT化の進む現在では、設備投資等のコストがかからない稼ぎ方も増えていますので、これはPSRという指標にとっては向かい風だと思います。

その一方、売上高で評価するということは一時期的な赤字ならセーフという寛容性を持っているため、利益変動の激しい景気敏感株のスクリーニングにちょうどいいという側面もあります。

つみ次郎としてはPER・PCFR・配当利回り等の指標が好みですが、景気敏感株を評価するのはやや苦手そうです(辛)

 

グロース投資de高リターン

つみ次郎はグロース株投資についてあまりいいイメージを持っていないのですが、本書においては定量的なグロース株投資で爆益を得るということについても考察されています。

具体的には、基本のグロース株投資戦略として以下のようなスクリーニングを行っています。

・利益が前年を上回る
・PSRが1.5倍未満
・上記を満たすRS(年間株価上昇率)上位50銘柄を購入

1952~1996年における米国市場において、上記の戦略は単純平均で年間21.72%というとんでもないリターンを叩き出しています。

利益を増やし続けていて(グロース?)、売上高に対して株価が割安(バリュー?)で、株価上昇率も高い(モメンタム?)…という様々な要素を組み合わせることで、爆益を手に入れることができます。

そのかわり標準偏差は高めなので、やはりグロース投資らしくハイリスクハイリターンな選択となります。

ちなみにこの手法だと、先ほどPSRの所で述べていた「利益変動の激しい景気敏感株」のくだりは関係なくなりますね(利益減少でアウトになるから)

本書では上記の戦略を基本のグロース投資戦略と命名していますが、一般的なグロース投資とはかけ離れているような気もします。

PSRが出てくる時点で一般的なグロース株銘柄はかなり脱落しそうですね(笑)

また、グロース株投資で重視されやすいEPS・ROE・利益率といった指標は単体ではあまり機能していないことも考慮すると、グロース株と言えど成長率だけではなく、ある程度割安でないとダメという身も蓋もない結論になってしまいそうです。

 

 

全ての指標は繋がっている

低PER・低PBR・高配当利回りといった属性の銘柄が過去高リターンだったという話は普遍的なバリュー株投資として広く語り継がれていますが、本書ではさらに踏み込んで低PCFR・低PSR・高RSといった様々な定量的スクリーニングについて考察されています。

本記事で述べた以外にも非常に多くの指標の組み合わせについても考察されており、ただ一定のルールに沿って銘柄を選ぶだけで爆益を手に入れられるというのは非常に夢のある話であり、そして実行するだけならそこまで難易度も高くはありません。

つみ次郎はそこまで徹底してはいませんが、楽天VYM本家VTVを経由してそれっぽい銘柄群の比率を高めています。

上記のような戦略を基本とする投資信託やETFが登場すれば、さらにポートフォリオの幅も広がりそうです。

 

その一方、最も成績が良かったのはPSRだったというのは前述したとおり違和感がありますし、単なる偶然だったのではないかという疑問もあります。

そもそも、バリュー株指標というのはそれぞれ独立した概念ではなく、横につながっています。

なぜなら、株価が下落すればPER・PBR・PCFR・PSR・配当利回り等の分母が株価になっている指標というのは全て割安方向に変化するからです。

PERが低い銘柄は、PBR・PCFR・PSRも低い可能性が高いですし、逆もまたしかり。

その意味では、これらとは毛色の違う株価そのものを参照するRS(年間株価上昇率)がスクリーニングとして優れていたのは注目に値します。

本書では様々な指標で銘柄をジャンル分けしていますが、その中身はどれも似たり寄ったりかもしれないという可能性を考慮する必要があります。

たとえば本書の情報をもとに、ポートフォリオの10%を低PER銘柄、10%を低PCFR銘柄、10%を低PSR銘柄…と分けたとしてもリスク分散効果はあまり期待できないという事です。

バリュー株への評価が低いときはみんな仲良く下落するだろうし、リターンも似たり寄ったりでしょう。

少なくとも、低PER銘柄群は市場平均を大きくアウトパフォームしたけど低PBR銘柄群は大きくアンダーパフォームした…みたいなことはほぼ有り得ないとつみ次郎は考えています。

どれかが沈めばみんな沈むと思います(連帯責任)

あくまで「バリュー株」という括りの中で優劣をつけているにすぎず、その中でたまたまPSRが優れていただけだったのかもしれません。

本書では複数指標の組み合わせだけでなく、複数指標を組み合わせた戦略の組み合わせにも言及しており、バリュー×グロースでリスクを抑えるという戦略も紹介されています。

ですがスクリーニングが複雑になればなるほど、単なる偶然だったという可能性も高くなります。

そう考えると一周回ってPSRだけでスクリーニングするのが手堅い…ということになりますが、つみ次郎としては複雑です(辛)

 

余談ですが、この話はジェレミー・シーゲル教授が著書「株式投資の未来」で提唱している推奨ポートフォリオに対する懸念でもあります。

セクター戦略・低PER戦略・高配当戦略を複数組み合わせてもかなりの部分で重複がありそうですね。

つみ次郎が持っている楽天VYM・本家VTVもかなり内容は被っていますが、十分承知の上です(震え声)

単純明快なスクリーニングも、複雑怪奇なスクリーニングも、よほど極端でなければ(優劣はあれど)今後も市場平均に勝つことができると思っていますが、偏ったポートフォリオを抱えるという意味ではそれなりのリスクを覚悟する必要がありそうですね。

 

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ウォール街で勝つ次郎(スーパートレーダー)

 

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【要点まとめ】ウォール街で勝つ法則 https://siegeljiro.com/wallstreet%e2%80%90katsuhousoku-youyaku https://siegeljiro.com/wallstreet%e2%80%90katsuhousoku-youyaku#comments Sat, 18 Jan 2020 03:01:27 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12477 つみたて次郎です。

2年ほど前に買って半ば放置していたウォール街で勝つ法則を久しぶりに読み返してみました。

 

 

中身はひたすらデータとグラフが並ぶ学術書チックな内容になっており、ストーリー性はほぼ皆無です。

つみ次郎が買った時でも6,000円と高価でしたが、何と今では新品価格は20,000円を超えており、人を選びそうな内容も相まってハイリスクハイリターンな投資本となっています(辛)

 

ウォール街で勝つ法則 - 株式投資で最高の収益を上げるために

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さっそく書評とつみ次郎の考察を述べていこう…と思ったのですが、本について触れるうえで必要となる前提知識があまりに多すぎることや、つみ次郎自身も各章ごとの大まかな結論すら全部覚えられていないので、備忘録も兼ねて結論部分を要約して一旦記事にしてみました。

つみ次郎の意訳がほとんどですので、参考程度にお願いします。

主にそれぞれのバリュー指標について、淡々と箇条書きでまとめていきます。

なお、本書におけるデータ検証期間の多くはS&P500指数の1951~1996年となっています。

また、本書における「大型株」とは時価総額上位16%を指しています。

 

時価総額(企業規模)

・小型株効果のほとんどは時価総額2,500万ドル以下の超小型株がもたらした超過リターンであり、このグルーブを投信やETFでグループ買いすることはほぼ不可能。

・それに次ぐ時価総額2,500万円~1億ドルの小型株も高いリターンをもたらしているが、リスクも高いためシャープレシオで見れば大型株や全銘柄とさほど変わらない。

一言コメント

現実的に投資できる範囲の小型株は特別有利なわけではない。

 

PER(株価収益率)

・低PER銘柄を中心にリターンを調べると低PER大型株>全銘柄>低PER全銘柄>大型株となっており、大型株においては低PERが高リターンとなったが、全銘柄においてはむしろ逆になっている。

・高PER銘柄を中心リターンを調べると全銘柄>>大型株>>高PER大型株≧高PER全銘柄となっており、PERが高い銘柄のリターンは冴えない。

一言コメント

大型株の低PER銘柄が攻守最強に見える。

 

PBR(株価純資産倍率)

・PBRが低いほどリターンが高くなる傾向があるが、大型株の高PER50銘柄は1950年代~1960年代において高いリターンをもたらしている。

・長期リターンでは低PBR銘柄銘柄群が圧勝しているが、年別に見た場合は勝ったり負けたりを繰り返しており一貫して有利だったわけではない。

一言コメント

不調な時期もホールドし続けるのは大変そう。

 

PCFR(株価キャッシュフロー倍率)

・PCFRが低いほどリターンが高い傾向にあるがその分リスクも高く、全銘柄の低PCFR50銘柄のシャープレシオは全銘柄平均よりも低かった。

・大型株の場合、低PCFR50銘柄は低リスク高リターンでシャープレシオも高かった。

一言コメント

バリュー戦略は大型株のほうがはっきりしやすい?

 

PSR(株価売上率)

・大型株・全銘柄問わずPSRが低いほど高いリターンになる傾向があり、他の指標に比べて最も高リターンかつ強い一貫性がある。

全銘柄の高PSR50銘柄への投資は本書執筆時点で最悪の成績になっている。

一言コメント

過去実績だけで見ればPSRが最強のバリュー株指標!

 

配当利回り

・全銘柄の配当利回り上位50銘柄は、全銘柄よりリターンは低くなっており、リスクも高かった。

・大型株の配当利回り上位50銘柄は、大型株よりリターンもリスクもシャープレシオも高かった。

・主力銘柄(発行株式数・キャッシュフロー・売上高が平均より高い大型株)の場合、配当利回りが指標として最も優れていた。

一言コメント

高配当戦略は大型株に絞ったほうがいい?

 

EPS(1株当たり収益)

・全銘柄・大型株問わず、EPSの1年間変化率の上位50銘柄群も下位50銘柄群も全体平均のリターンよりも低かった。

・全銘柄・大型株問わず、EPSの5年間変化率の上位50銘柄群は全体平均のリターンよりも低かった(下位50銘柄群については未検証)

一言コメント

EPSの変化率は役に立たなそう。

 

利益率

・全銘柄・大型株問わず、利益率上位50銘柄は全体平均のリターンより若干低かった。

・全銘柄の利益率を十分位数に分けたとき、最も利益率の低いグループも最も利益率の高いグループもリターンは低かった。

一言コメント

利益率が高すぎるのも低すぎるのもダメっぽい。

 

ROE(株主資本利益率)

・全銘柄のROE上位50銘柄は、全銘柄よりリターンもリスクも高く、シャープレシオは低かった。

・大型株のROE上位50銘柄は、大型株よりもリターンは若干低いうえにリスクも高かった。

・全銘柄・大型株問わず、十分位数でグループ分けしてもさほどリターンに差はなかった。

一言コメント

ROE信仰はなんやったんや…(バフェット涙目)

 

RPS(レラティブ・プライス・ストレングス)

・全銘柄のRS(年間株価上昇率)上位50銘柄は、全銘柄よりリターンもリスクも高く、シャープレシオは低かった。

・大型株のRS上位50銘柄は、大型株よりリターンもリスクも高く、シャープレシオも高かった。

・全銘柄・大型株問わず、十分位数に分けた時に最大グループは最も高リターン・最小グループは最も低リターンになっており、はっきりとした相関性がある。

一言コメント

いつまでも上がらない〇ソ株はトイレに流そう

 

指標の比較・組み合わせ

・全銘柄におけるリターンは低PSR>低PBR>低PCFR>全銘柄>低PER>高配当利回り>高PER>高PBR>高PCFR>高PSFRとなっている。

・本書で検証されている複数指標の組み合わせのうち、最もトータルリターンが高かったのは全銘柄×高RS×低PSR(1倍以下)だった。

・本書で検証されている複数指標の組み合わせのうち、最もシャープレシオが高かったのは統合基本戦略※だった。

※統合基本戦略…グロース基本戦略(全銘柄×利益前年度以上×PSR1.5倍未満)とバリュー基本戦略(主力銘柄×高配当利回り)を50:50の比率で組み合わせたもの。

一言コメント

バリューとグロースを組み合わせると無敵?

 

要点まとめ

上記のような内容がひたすらずっと続くような本ですので、この記事を飽きずに読むことができた猛者はぜひ買ってみてください(笑)

各種バリュー指標が優れたスクリーニングになるというのはさほど驚きではありませんでしたが、細かく見ていくと大型株に関しては逆の結果になっていたり、極端に尖った銘柄群でもダメといったケースがあり、機械的に広くカバーすることがやはり大切ですね。

これらの投資戦略に合わせた投信やETFがどんどん増えてくれたらいろいろ手を出してみたいですね(ただし低コストに限る)

近日中にはつみ次郎の感想等をメインにした書評記事を投稿する予定です(指標組み合わせがメインテーマになりそう)

 

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ウォール街で勝つ次郎(スーパートレーダー)

 

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【書評】株式投資の未来【バイブル】 https://siegeljiro.com/kabushikitoushinomirai-shohyou https://siegeljiro.com/kabushikitoushinomirai-shohyou#respond Tue, 31 Dec 2019 05:01:17 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12376 つみたて次郎です。

久しぶりにジェレミー・シーゲル氏著「株式投資の未来(通称:赤本)」を読み返してみました。

 

株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす

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当ブログでも度々登場していますが、元々のハンネが「シーゲル二郎」、現在もサブタイトルに「シーゲル流」と入れているにもかかわらず、本自体について書評を書いたことがなかったので今回記事にしてみました。

赤本はつみ次郎の投資哲学を大きく変えた1冊であり、バイブルとも呼べる存在です。

2019年最後の記事を締めくくるのに相応しいといえますね(自画自賛)

また、今回は赤本の中でもあまり語られることのない裏シーゲル(?)の部分を中心に考察していきたいと思いますので、赤本を読んだことのある方もそうでない方も、ゆっくり楽しんでいただければと思います。

大晦日にこのブログ読んでる時点で相当暇人ですからね

 

IBM vs スタンダードオイル

赤本の第1章は「成長の罠」となっており、これこそが赤本を読み解くカギとなるワードです。

高成長で期待の高い銘柄は高い値段で取引されやすく、結果としてリターンは冴えない物になりやすいという理屈です。

株式投資におけるリターンのほとんどは、この成長の罠という言葉で片付けれてしまいそうなほど汎用性が高く、普遍的な概念と言えます。

そんな成長の罠ですが、それを説明する例として、赤本ではインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(現在のXOM)の2銘柄を比較しながら考察されています。

1950~2003年における各銘柄の指標は以下のようになっています。

IBM 旧XOM
1株当たり売上 12.19% 8.04%
1株当たり配当 9.19% 7.11%
1株当たり利益 10.94% 7.47%
セクター成長率 14.65% -14.22%
平均株価収益率 26.76倍 12.97倍
平均配当利回り 2.18% 5.19%
株価上昇率 11.41% 8.77%
トータルリターン 13.83% 14.42%

参考文献「株式投資の未来」

エネルギーセクターは時代の流れから縮小し、株価成長率も冴えない…にもかかわらず、急成長を遂げたハイテクセクターのトップを走っていたIBMよりもトータルリターンが良かったというのが結論です。

IBMには高い成長が期待されていた結果、株価は割高になり、リターンを押し下げたという理屈です。

逆に、スタンダードオイル(旧XOM)は成長率も株価成長率もあまりよくなかった代わりに、期待が低かったので安く買付することができ、配当金再投資により加速的にリターンを押し上げたというハッピーエンドです。

…というのが赤本での趣旨なのですが、つみ次郎としてはなぜこの2銘柄を挙げたのか?という疑問があります。

というのも、最終的なトータルリターンの差はぜいぜい1%もなく、数字のインパクトに欠けます(半世紀の1%だから実際はものすごい差ではありますが)

また、さらに致命的なのが、同期間(1950~2003年)におけるS&P500のトータルリターンは11.44%であり、どちらの銘柄も大幅にアウトパフォームしているという点です。

なので、IBMが負け組・スタンダードオイルが勝ち組というよりは、IBMが超勝ち組・スタンダードオイルが超超勝ち組にしか見えないというのが、つみ次郎の感想です。

成長の罠を説明する例としてはあまり適切ではないと思いますし、逆にこの2銘柄くらいしかちょうどいいサンプルがなかったとすれば、それはそれで説得力が欠けることになります。

 

セクター戦略の不都合な事実

ジェレミー・シーゲル教授が提唱するリターン補完戦略として、最も有名といえるのがセクター戦略でしょう。

具体的には、過去のリターンが優秀で、今後も長期的に利益を稼ぐことが見込まれる生活必需品セクター・ヘルスケアセクターの比率を高めるのが基本となっています。

赤本では、米国市場における1957~2003年の実質セクター・リターンについて以下のように記載されています。

セクター リターン
金融 10.58%
情報技術 11.39%
ヘルスケア 14.19%
一般消費財 11.09%
生活必需品 13.36%
資本財 10.22%
エネルギー 11.32%
電気通信 9.63%
素材 8.18%
公共事業 9.52%
S&P500 10.85%

参考文献「株式投資の未来」

こうして並べると、生活必需品とヘルスケアの高リターンが際立ちます。

市場平均(S&P500)に対して3%前後の超過リターンを叩き出したことになります。

しかしここで注目してほしいのは、3番目にリターンがいいのは情報技術であるという点です。

これは、赤本全体の結論から考えるとちょっとモヤモヤする事実ではないでしょうか?

シーゲル教授はハイテク株やIPO株に対しては懐疑的な見方をしており、現在でもその傾向は変わっていないように感じます。

しかし、情報技術と言えばまさにその成長の罠という概念から真っ向からぶつかるようなキラキラセクターです。

それに対する弁解(言い訳?)として、赤本では以下のように語られています。

結果的に、ハイテク・セクターの運用は、S&P500種平均にかろうじて届く程度でしかない。1957年から1960代前半にIBMが飛び抜けた成績を残していなければ、平均を下回っていたであろう。この時期、IBMはコンピューター市場を独占していた。
出典「株式投資の未来」

IBMという特定の1銘柄(しかもセクター最大級)を例外のように扱うのは、他セクターのリターンにも同様の理由があると推測することができてしまうので、つみ次郎としてはあまり納得できない理屈です。

上記の文章だけでも苦しいですが、前述したとおりIBMは赤本の中では冴えない不発弾扱いされている銘柄ですので、ここで急に持ち上げられているのは尚更違和感があります(笑)

成長の罠の話とまとめると、情報技術セクターもIBMも市場平均に勝っているという不都合な事実が浮かび上がることになります。

 

未来の株式の買い手

ここからは少しテーマを変えて、株式ではなく投資家に関する内容に触れていきます。

つみ次郎はかなり楽観的に考えている部分なのであまりブログでも考察したことはありませんが、私たちが今積立している株を将来誰に売るか?という話です。

日本の場合、現在進行形で少子高齢化が進んでおり、今株をしこたま持っているジジババは売って換金しますが、買い手となりうる若手は人口も少なく、給料も少ないので株を買っている余裕はありません(一部を除く)

売りたい人>買いたい人になれば神の見えざる手により株価は下落するため、特に私たちの世代にとっては大きな問題と言えます。

それに対する答えとして、第15章「世界的解決ー真のニューエコノミー」では、以下のようにまとめられています。

退職者が必要とするモノを、だれがつくるのか?退職後に売却する資産を、だれが買うのか?本章で、答えがあきらかになる。モノをつくるのは途上国の労働者であり、資産を買うのは、途上国の投資家だ。高齢化する世界の人々は、必要なモノとサービスを輸入し、代金を支払うために、手元の株式と債券を途上国の投資家に売却する。
出典「株式投資の未来」

とても心強い答えですね。

日本では人口が減少していますが、世界的に見れば人口は増えていますし、人間の欲望を原動力とする資本主義が発展し続けることで新興国も先進国並みの経済力を手にすることになるでしょう。

先進国と新興国の差がなくなっていくという事でもありますけどね

つみ次郎が積立している投信やETFも、間接的に新興国の人たちに渡っていくことになります。

世代や国境を越えた、資本主義のバトンタッチと言えます(今年一番のドヤ顔)

しかしそれを実現するためには、世界規模の経済発展はもちろん、世界中でヒト・モノ・カネが自由に行き来できる世の中を作らなければなりません。

ですが、貿易摩擦・移民問題…そして多国籍企業の税金逃れ等を考えると、真のグローバリゼーションには程遠い状況です。

また経済の中心が先進国から新興国にシフトした時、これまで米国主導で行われたきた株主最優先の資本主義経済が維持されるかどうかも大きな問題です。

とはいえ、上記問題の多くは人口増加が解決してくれると思いますし、通貨発行権を持つ米国が金融の中心に居続けるは思いますので、つみ次郎としては前述したとおりそこまで心配している部分ではありません。

日本株だって外国人投資家の影響が大きいですし、米国株ならば尚更買い手に困ることはないでしょう。

 

読みやすさと独自の考察がウリ

久しぶりに読みましたが、赤本はそこまで内容が複雑ではないので非常に読みやすいですね。

本記事では全体的に批判側の立場で書評を書いてみましたが、全体を通せば分かりやすい例や文章が多いので投資初心者でも理解しやすいのではと思います。

同じくシーゲル教授の著書である「株式投資第4版(通称:緑本)」はやや難しい内容に感じるので対照的です。

データだけでなく、シーゲル教授自身の考察・解釈が強く反映されているのも、緑本に対する赤本の大きな違いと言えます。

その意味では、本記事のようにツッコミポイント(?)を見つけていくのも面白い読み方であり、初心者から上級者まで広くおすすめできる1冊なのではないかと思います。

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シーゲル二郎

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【書評】お金が増える米国株超楽ちん投資術 https://siegeljiro.com/rakuchin https://siegeljiro.com/rakuchin#respond Thu, 31 Oct 2019 03:08:10 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12110 つみたて次郎です。

たぱぞう氏著「お金が増える米国株超楽ちん投資術」を読んだので感想文です。

お金が増える 米国株超楽ちん投資術

タイトルや表紙に書かれている像のイラストなど、全体的にゆるふわ感が漂っていますが、初心者向けながら結構踏み込んだ内容になっています。

 

出典「お金が増える米国株超楽ちん投資術」

目次もかなり細かく具体的に分かれており、本書全体的にも文字多め・密度高めと読み応えのある仕上がりになっています。

その中からつみ次郎が気になった部分について感想をまとめてみたいと思います。

 

年代と株式比率

第6章の「年代別オススメのポートフォリオ」では、具体的な目安として以下のような比率が提案されています。

 

・20代~30代…株式7、債券もしくは現金3
・40代~50代…株式5、債券もしくは現金5
・60代以降……株式3、債券もしくは現金7

 

若いうちは株式比率を高めて、徐々に低くしていくという王道パターンですね。

また、リスク許容度の高い人に対しては、以下のような見解も述べています。

10年、20年と長期で保有でき、一時的に値下がりしてもストレスにならない人は株式に集中するのもありだと思います。特に投資額が限られ、つみたてNISAとiDeCoのみで投資、という資産規模の場合、株式100%でリスクを取りに行かないと、資産額がなかなか増えないというジレンマに陥ります。
出典「お金が増える米国株超楽ちん投資術」

つみ次郎の投資方針そのまんまですね(笑)

ちなみにつみたてNISAとiDeCoのみとさらっと書かれていますが、サラリーマンであれば毎月5~6万円くらい投資している計算になりますので、それなりに高いハードルです。

資産規模の小さいうちは、債券でリスクを抑える…というのは遠回りなのかもしれません。

 

米株投信の配当課税について

本書全体を通して、具体的な金融商品を例に挙げた解説が多いです。

その中で驚いたのが、投資信託における配当金への課税について考察されていた点です。

たとえば米国株に投資する投資信託を1万円買ったとします。その投信に300円相当の配当(実際にはドルベース。以下、同)が入った場合、源泉徴収課税で10%(30円)が米国で引かれます。この場合の現地課税分は、確定申告(外国税額控除)で取り戻すことができません。

国内受取の時点で、300円から30円の現地課税を引いた270円が残ります。この270円分が分配されれば、今度は日本でさらに約20%の税金がかかります。
しかし投信が分配金を出さず、無分配とした場合は、270円に対する課税はありません。課税されずに元本に組み込まれて運用される、というわけです。
出典「お金が増える米国株超楽ちん投資術」

いわゆる投資信託の配当課税繰り延べメリットについて解説された文章ですが、こうして文字で伝えようとするとなかなか複雑ですね。

分配しすぎるファンドがダメという話は初心者向け投資本でも定番の話題ですが、逆パターンの視点で解説するだけでなく、具体的な課税額等について例を出しているのは非常に珍しいです。

というかこの話を投資本で見たの初めてかもしれません(笑)

 

 

個別銘柄ポイント10箇条

本記事では、ETFや投資信託を活用したインデックス投資だけでなく、個別株についても具体的な選び方・推奨銘柄等についても広く考察されています。

その中で、「個別銘柄を選ぶポイント10ヶ条」が載っていたので紹介します。

・売り上げは減っていないか
・売り上げ利益率(業態によるが40%以上)は低すぎないか
・営業利益率(業態によるが20%以上)は低すぎないか
・配当性向(50%以下)は高すぎないか
・自社株買い(基準は10年で1割)をしているか
・EPSは下がっていないか
・営業CF、フリーCFが下がっていないか。
・配当目当てならば、緩やかながらも増配しているか
・持続可能なビジネスモデルか
・ROEは低すぎないか
出典「お金が増える米国株超楽ちん投資術」

1つだけ末尾に「。」がついているのが気になります(おそらく誤字)

この手の初心者向けの本としては、かなり細かい部分にまで触れていると思いました。

残念ながら、項目ごとの詳しい解説までは載っていませんでしたが、広く浅くチェックポイントを知ることができるというのは、これから米国株デビューを考えている人にとってはよい取っ掛かりになりそうです。

 

密度の高い投資本

個人ブロガーが著者の投資本は、基本的に初心者向けのゆるふわ仕様になることがほとんどですが、本書はそのゆるふわ感を残しつつ、情報量が多く密度の高い仕上がりとなっています。

また、第1章は『たぱぞうの「お金の履歴書」』となっており、自身の体験談から話がスタートしています。

たぱぞう氏は初任給全額を株式にぶちこんでしまうくらい投資に対する抵抗がなかったとのことですので、最初からガンガン投資トークが始まっています。

「〇〇をきっかけに投資の事を知った」「△△で投資の必要性を実感した」みたいな定番の話はほとんど出てこないので、ある程度投資の知識や必要性について知っている人におすすめしたい本だと思いました。

そういった意味では、同時に出版された寝ながら稼げるグ~タラ投資術とうまく差別化されていますね。

 

 

グ~タラ本は文字が比較的大きめで、解説図等も多くなっており、より初心者向けに見えます。

やはりグ~タラ本→超楽ちん本の順番で読むのがベストという事でしょう(確信)

 

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つみぞう🐘

 

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【書評】寝ながら稼げるグ~タラ投資術【🐘】 https://siegeljiro.com/nenagarakasegeru https://siegeljiro.com/nenagarakasegeru#respond Wed, 23 Oct 2019 22:01:49 +0000 https://siegeljiro.com/?p=12075 つみたて次郎です。

たぱぞう氏著「寝ながら稼げるグ~タラ投資術」を読んだので感想文です。

 

40代で資産1億円! 寝ながら稼げるグータラ投資術~初心者でもできる、はじめての「米国株」投資

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¥1,650から
(2019/10/23 16:28時点)

 

我らが米株クラスタのトップといっても過言ではないたぱぞう氏の著書だぞう🐘(ごめんなさいごめんなさい)

タイトルには「寝ながら稼げる」「グ~タラ」といった、一般的な投資からイメージしないような言葉が使われており、タイトルも内容も初心者に向けだと感じました。

タイトルに稼げる+α(〇ったらかし・バ〇でも・ずぼ〇等)というのは投資本における鉄板なのかもしれません。

基本的な投資知識を網羅しているだけでなく、たぱぞう氏の投資哲学についても色濃く出ている部分がありますので、その点を中心に考察していきたいと思います。

 

日本株は米国株の5倍難しい?

一部引用します。

投資する国によって難易度が全く違ってくることは理解しておきたいところです。

私の感覚としては、日本株の難易度を10とすると、米国株は2くらいでしょうか。米国株のほうが、日本株の5倍くらいは儲けるのが簡単だと思います。
出典「寝ながら稼げるグータラ投資術」

ITバブル崩壊やリーマン・ショックなどの経済危機を経ても、つねにアメリカは世界でもっともはやく株式市場が回復してきた国の1つであり、これまらのその流れは変わらないであろうという事です。
出典「寝ながら稼げるグータラ投資術」

本書全体として米国株に対して強気な論調になっています。

つみ次郎は日本株投資の経験がないので5倍ほどの難易度差があるかは分かりませんが、米国株>日本株になるというのは今後も含め続いていく傾向であると思っています。

 

途上国の法整備リスク

高い経済成長が見込まれる新興国への投資に消極的な理由として、以下の4つを上げています。

①法整備が不十分
②通貨の使い勝手が悪い
③人口減少国を含むETFがほとんど
④国別ETFは信託報酬が高い

このうち②④については絶対的なデメリットであるといえそうです。

②新興国株を保有した場合、配当金は現地通貨で受取ることになるため、再投資する場合に不都合という視点です。

これはたぱぞう氏自身がインドネシア株を保有していた時に実感していたようで、地味ながらも結構辛そうですね。

①③については、相対的なデメリットと言えます。

①法整備が不十分というのは、つみ次郎が新興国株を避ける大きな理由の1つでもあります。

株主の権利が正しく守られてこその投資リターンですからね(長期なら尚更)

③については、成長国というより成熟国寄りの国(台湾・韓国・タイ等)も結構含まれているため、人口減少や景気の停滞リスクがあるという考えです。

上記のデメリットを裏返したのが米国株であるといえそうですね。

法整備しっかり+便利なドル建て+人口増加もそこそこ+信託報酬激安

 

 

MSCIコクサイはおすすめできない?

国際分散派の投資家から絶大な人気を集めている指数と言えば、なんといってもMSCIコクサイです。

国内投信だとeMAXIS Slim 先進国株ファンド<購入・換金手数料なし>ニッセイ・外国株式インデックスファンドたわらノーロード先進国株式の3強状態ですね。

日本を除く先進国株全体をカバーする指数及びファンドとなっており、構成比率の半分以上は米国株が占めています。

これらの商品が人気というよりも、従来は低コストで投資するならMSCIコクサイ連動ファンドしか実質的な選択肢がなかったという風に本書では考察されています。

実際、米国株特化ファンドや日本や新興国も包括する全世界株ファンドなどもここ数年で台頭してきた感がありますからね。

たぱぞう氏の結論としては、わざわざパフォーマンスが悪いMSCIコクサイファンドにあえて今投資する必要はないとしています。

 

米国集中か?国際分散か?

たぱぞう氏の見解をまとめると、日本株は難易度の面から、新興国株は法整備や利便性の面から、米国外先進国株についてはパフォーマンスの面から消極的であり、その結果が米国株式への集中投資になったとつみ次郎は読み解きました。

つみ次郎も大筋では同じような理由で米国集中投資を行っていますので、共感できる点も多くありました。

また、本記事では比較的尖った結論になっている部分3つを紹介しましたが、全体的にはより基礎的で丸い内容がほとんどを占めていますので、初心者でも問題なく読めると思います。

また、たぱそう氏は本書だけでなく同時にもう1冊の本を出版するという偉業を成し遂げています。

もう片方についてはまだ全部読んでいませんが、グ~タラ本?はより初心者向けで、超楽ちん本?は少し踏み込んだ内容であると思いました。

グ~タラ本→超楽ちん本の順で読めばバッチリだと思います(宣伝)

超楽ちん本も後で感想文投稿するから楽しみに待っててほしいぞう🐘

 

おまけ

 

(Pって何の略やろ?)

 

出典「寝ながら稼げるグータラ投資術」

 

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つみぞう🐘

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【書評】無敵の筋トレ食 https://siegeljiro.com/mutekintoreshoku https://siegeljiro.com/mutekintoreshoku#comments Mon, 16 Sep 2019 22:01:37 +0000 https://siegeljiro.com/?p=11754 バズーカ積立です。

「無敵の筋トレ食」というなんともストレートなタイトルの本を読みましたので感想文です。

無敵の筋トレ食

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(2019/9/12 09:36時点)

著者は、日本体育大学の准教授でありボディビルダーでもある岡田隆氏です。

「バズーカ岡田」という愛称がついており、界隈では有名な方なようです。

先日つみ次郎が食べたプロテインバーの監修者でもあります。

 

 

つみ次郎は現在筋トレ&ダイエット中ですので、これを読まないわけにはいかないでしょう(確信)

 

 

つみ次郎のようなボディビル初心者(嘘)でもスイスイ読める文章でしたので、特にためになった点をまとめてみたいと思います。

 

PFCのバランスについて

ダイエットや筋トレを欠かせないのが、食事のPFCバランスです。

それぞれ三大栄養素を表しています。

P…タンパク質(1gあたり4㎉)
F…脂質(1gあたり9㎉)
C…炭水化物(1gあたり4㎉)

これらはカロリーを生み出す基本でもあるので、これらをどのようなバランスでどのくらい食べるかというのが非常に重要になってきます。

本書では、それぞれ次のような目安を設定しています。

 

タンパク質…1食あたり20g(体重60㎏の場合)
脂質…1食あたり10g~20g
炭水化物…摂取目標㎉から上記2つを引いた分

 

つまりタンパク質と脂質の摂取量は固定して、残りを炭水化物で取っていこうという方針ですね。

結果的に、炭水化物の割合は総摂取カロリーの50~65%くらいになることが多いようです。

脂質がかなり少なめなので、ローファットダイエットに近い方針だと思います。

そういえば霧末ちゃんも炭水化物の増減でコントロールする方針でしたね(爆笑)

外部リンク…減量を開始する

つみ次郎の場合、タンパク質は体重×1.5gくらいを目安にしているので、現時点では1日あたり100gくらいは摂れるようにしています。

また、炭水化物については、ダイエット中なのでできる限り抑えるようにしています。

その一方、脂質についてはあまり気にせず食べている感じがあるので、1食20gはともかく、1食10g(1日30g)はかなり厳しい基準ですね…(辛)

コスパのいいタンパク質源(納豆、豆腐、卵、鯖缶etf…)はもれなく脂質もセットでついてくるので、つみ次郎の場合は物理的にローファットスタイルは難しそうです(脂)

 

三角食べではなく一点集中食べ

食事を摂る際の順番に関して、本書では以下の順番で食べることを推奨しています。

①食物繊維
②タンパク質
③炭水化物※
※炭水化物の一部が食物繊維なので、③は「糖質」のほうが適切かな?

この順番に食べていくことで、消化吸収の効率を良くしたり、血糖値の上場を抑える効果が期待できます。

野菜を最初に食べるというのは、よく聞くフレーズですね。

ちなみになかやまきんに君は、最初にタンパク質を食べるように心がけているそうです(豆知識)

いずれにせよ、炭水化物(糖質)を最後にするというのは共通していますね。

学校給食等では、各料理を少しずつ交互に食べていく三角食べが推奨されていますが、ボディメイクを極めると一点集中食べになってしまうということですね。

霧末ちゃんも推奨しています(爆笑)

ちなみにつみ次郎も、できるだけ糖質系のメニューは最後に食べるように心がけていますが、丼物や麺類といった一品完成型メニューを多用するつみ次郎にとってはなかなか難しい課題となっています(辛)

 

 

卵、大豆、乳製品に対する評価

本書の中に「私が卵、大豆、乳製品に対して積極的でない理由」という項目があり、それぞれに対して「あくまで私の場合」という前置きが付いたうえで、以下のように評価しています。

〇卵
・黄身に含まれる脂質が気になるので、摂っても1食1個程度
・卵を主軸に置くことは考えることができない(黄身は捨てたくないので…)

〇大豆(納豆)
・卵と同じく脂質が気になる。摂っても1日1パック(40~50グラム)程度
・100グラムあたりのタンパク質の摂取量は鶏むね肉のほうが効率がいい
・メインメニュー的な扱いができない

〇乳製品(チーズなど)
・脂質、塩分を余計に摂ってしまう
・タンパク質摂取に狙いを絞り、脂肪ゼロのギリシャヨーグルト(無糖)は積極的に取る

出展「無敵の筋トレ食」

私が今ぶちあたっている悩みが全部網羅されていて笑いましたw

あくまでメイン食材ではなく、サブ食材として工夫しながら使っていきたい食材として紹介されています。

これらはタンパク質源として優秀ではありますが、その一方脂質も多いため、トータルでバランスを取るのが難しくなってしまいます。

最初の項目で紹介したPFCバランスにも通じますが、本来はP・F・Cを食材別に分けて考えたほうが計算しやすそうですね。

ただ、つみ次郎の場合は食費の節約も考慮しなければならないので、特に安価な卵や大豆製品(納豆や豆腐など)を多用できないのは辛いところです。

現時点の方針としては、卵や大豆製品等の食材由来の脂質に対してはあまり気にせず、炒め油やドレッシングといった、ほとんど脂質しか摂取できない調味料や食材等は避けるように心がけています。

つみ次郎がローファットダイエットではなくややローカーボ気味な方針を取っているのも、これらの食材が積極的に使えなくなるというデメリットが非常に大きいからです。

 

王道的な筋トレ食本

書いてある内容自体は基本に忠実なことばかりで、目新しい情報はそこまでありませんでした。

その一方、著者である岡田氏がこれまでの経験で気づいたことだったり、理論を現実の食事に落とし込むためのテクニックといった、実戦で役に立ちそうなノウハウが大量に載っていました。

つみ次郎が普段筋トレ食を考える上で何となく気になっていたことが頻繁に登場していたので、今後の食事でも意識していきたいポイントがいくつもありました。

つみ次郎もまだまだ甘い部分がたくさんありましたので、反省しつつ今後に活かしていきたいところです。

専門的な用語はあまり登場しておらず、基礎的な部分からしっかり解説されているので、筋トレやダイエットの初心者でも読みやすいと思います。

また、本書のところどころにちょっと面白い名言(迷言?)みたいなものが挟まっているので、最初から最後まで飽きずに読み進めることができました。

最後に、その一部を紹介して終わりたいと思います。

 

地球から養分を吸い上げて成長していく野菜であり、穀物であり、つまりは「大地のめぐみ」いや「地球そのもの」であるというわけです。

 

「私は今、日本にいながら遠くフロリダの大地のめぐみに生かされているのか」

 

ひとまずサラダチキンさえ手に入ればどうにかなるだろうという、このうえない安心感…。感動しないほうがおかしいくらいです。日本国民全員が仕上がっていくと感じたものです。

 

出典「無敵の筋トレ食」

 

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バズーカ積立

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【書評】税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門 https://siegeljiro.com/shohyou-otokunisa https://siegeljiro.com/shohyou-otokunisa#respond Sat, 07 Sep 2019 01:01:42 +0000 https://siegeljiro.com/?p=11660 つみたて次郎です。

竹川氏著『税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』を読んだので感想文です。

税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門

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(2019/8/21 11:15時点)

 

インデックス投資や積立投資の入門書みたいなのは何冊も読んでいますが、つみたてNISAがメインになっている本は読んだことがなかったので手に取ってみた次第です。

著者である竹川美奈子氏は、インデックス投資クラスタの間でも有名な方ですね。

タイトルからわかる通り、つみたてNISAや一般NISAの解説が中心になっており、個人型確定拠出年金(iDeCo)や家計管理に関する内容まで幅広く網羅されています。

記載されている内容自体はどれも知っている情報ばかりでしたので、本書全体の傾向等についてまとめていきたいと思います。

 

見かけに反して結構踏み込んだ内容

タイトルや中身の文体などを見ると初心者向けのような感じがしますが、NISA制度の基本的な部分からかなり踏み込んだ内容まで、広く深く解説されています。

また、NISA制度の解説がメインになっているため、ある程度投資に関する前提知識が必要であると思いました。

そのため、これから投資について勉強する初心者向けというよりは、ある程度投資についての前提知識を持っていて、具体的にNISA制度の利用を検討している人向けな印象を受けました。

また、タイトルではつみたてNISAが大きく強調されていますが、一般NISAと比較しながら解説されているページが非常に多いので、つみたてNISAと一般NISAでどちらを選ぶか迷っている人にもちょうどよい内容といえそうです。

 

Q&Aコーナーが分かりやすい

ページ数はそこまで多くありませんが、第5章「つみたてNISA & 一般NISA 丸わかりQ&A」というのが非常に分かりやすかったです。

Q1~Q20まであり、NISAに関するよくありそうな疑問が一問一答形式でまとめられています。

内容としては、金融機関での申し込みや変更・つみたてNISAと一般NISAの併用・スイッチングや損益通算の可否といった、制度面での質問がほとんどとなっています。

その中で特に面白かったのは「Q9 つみたてNISAの対象投信が条件を満たさなくなったら、売らなきゃいけないの?」という質問についてです。

つみ次郎もあまり意識はしていませんでしたが、意外とありそうな疑問ではありますね。

結論としては、つみたてNISAの条件は届け出時の話なので、その後条件を満たさなくなっても対象商品から外れることはない(=売る必要もないし継続して積立可能)という回答になっています。

 

NISAの解説に特化した本

タイトルには「活用入門」とありますが、つみたてNISAや一般NISAの解説に特化している印象が強く、投資全般に関する知識や考え方、長期投資や積立投資の有効性などについては別の本などを用いて学んでおきたいところです。

その分、つみたてNISA・一般NISAに絞って勉強する分には最適な1冊かと思いますので、具体的にNISAの利用を検討している人や、なんとなく初めて見たけど不安な点が多い…そんな人におすすめです。

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一般次郎

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【書評】稼ぐ投資家とスゴ腕FPに聞いてみた NISA&つみたてNISAで何を買っていますか? https://siegeljiro.com/nisa-naniwokatteimasuka https://siegeljiro.com/nisa-naniwokatteimasuka#respond Sat, 31 Aug 2019 22:01:43 +0000 https://siegeljiro.com/?p=11689 Þつみたて次郎です。

つみ次郎の記事が掲載されている「稼ぐ投資家とスゴ腕FPに聞いてみた NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?」という本の読書感想文です。

 

 

個人投資家にスポットが大きく当てられており、各投資家の紹介や投資哲学などが主な内容になっています。

 

出典「稼ぐ投資家とスゴ腕FPに聞いてみた NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?」

 

その他含め、登場する方は以下の6名です。

 

山中伸枝氏(ファイナンシャルプランナー)
犬次郎氏(個人投資家)

たぱぞう氏(個人投資家)
ようこりん氏(個人投資家)
つみたて次郎氏(個人投資家)
広木隆氏(マネックス証券ストラテジスト)

 

つみ次郎もちゃっかり掲載されています(ドヤ顔)

参考記事…【祝】つみ次郎のインタビュー記事が本に掲載されました!

今回は、それぞれの記事ごとに印象に残った部分を1つずつ紹介していきたいと思います。

 

山中伸枝氏(FP)

独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍している方です。

一般NISAで、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを30%・セゾン資産形成の達人ファンドを70%の割合で積立しているようです。

インデックスとアクティブの良い点を両立させていくという、まさに教科書のような投資方針になっています。

その中で、口座の特徴に応じて資産の置き場を最適化という考え方が特に共感できました。

トータルで資産配分を考えて、それをNISAやiDeCoなどに振り分けていくイメージですね。

山中氏の場合は、NISAでは信頼できるセゾン投信のファンド、iDeCoではインデックスファンドを積極的にリバランス、特定口座にはバランスファンドといった、各口座の特徴に合わせた運用を行っています。

 

犬次郎氏(個人投資家)

つみ次郎と同じ、次郎系投資家の1人です(?)

外部リンク…犬次郎株日誌 ~犬畜生でも1億円~
外部リンク…犬でもできてるNISAだよ! ~書籍「NISAで何を買っていますか?」に犬次郎がまたもや紛れ込む!~

一般NISAでは、ユニバE(6425)という株に集中投資を行い、期間終了後もロールオーバーで長期にわたり保有する方針のようです。合言葉はLOVE(愛)銘柄

NISAのメリットはキャピタルゲイン(値上がり益)であるとしており、次の文章が分かりやすかったです。

たしかに、インカムゲインが非課税になるとはいえ、仮に配当利回り10%(配当が出ている銘柄の中でもかなり高い水準)の株でNISA枠をフルで買っても、年間の配当金は12万円となり、このうち非課税にできるのは約2万4000円と、メリットを受けられる金額が限られてきます。
出典「稼ぐ投資家とスゴ腕FPに聞いてみた NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?」

NISAのメリットを最大限に生かすために選ばれたのが、ユニバE(6425)だったということですね。

また、NISA口座と特定口座を別々の証券口座にすることで、損益を頻繁に見てしまったり無駄な売買をしてしまうことを防いでいるようです。

NISAは長期保有用として徹底していくということですね。

 

たぱぞう氏(個人投資家)

米株クラスタでは知らない人はいないであろう、あのたぱぞう氏です。

外部リンク…たぱぞうの米国株投資

国内個別株で資産を増やしたことや、資源株への投資で失敗したことなど、これまでの歴史についても語られています。

現在は一般NISAで米国個別株を保有していますが、今後はつみたてNISAに移行して楽天VTISlimS&P500といったインデックス型投資信託への投資を検討しているようです。

また、つみたてNISAの年間上限が40万円と低いことに対しては、英国ISAの上限である年間2万ポンド(272万円)を目指して枠を5倍くらいに拡大してほしいという本音が語られています。

つみ次郎としては、現状の日本で枠を拡大すると金持ち優遇になってしまうと考えていますが、つみたてNISA制度が窮屈であるというのはおおむね共感できますので、少しずつ改善していけばいいと思ってます。

 

 

ようこりん氏(個人投資家)

国内個別株を中心に投資を行っている専業投資家の方です。

外部リンク…ほんわかようこりん
外部リンク…NISAのトリセツが発売!?NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?

一般NISAで、高利回りかつ長期優待のある銘柄を中心に投資を行っているようです。

また、キャピタルとインカムの両方を重視し、場合によっては短期売買も行うという柔軟性のあるスタイルです。

共感したのは、NISA口座と課税口座で投資する基本方針は共通しているという点についてです。

あくまでNISA口座も、課税口座の延長として考えているということですね。

この部分で見ると、NISAは長期投資用とはっきり区別している犬次郎氏とは対称的です。

 

つみたて次郎氏(個人投資家)

 

💔

 

 

広木隆氏(マネックス証券ST)

特別インタビューとして、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木氏が掲載されています。

他のページに比べ、やや専門的な話が多く登場しています。

各銘柄の選定基準については、PERやPBRなどの指標が有名ですが、その中でROE(自己資本利益率)を重視することが多いそうです。

いずれの指標であっても、単体で見ることなく総合的に見て判断することが大切だとしています。

また、広木氏自身の各口座ごとの方針は、以下のようになっています。

NISA口座
株価上昇期待の大きい銘柄へ投資
→非課税メリットの最大化を狙う

特定口座
値動きの安定している時価総額の大きい大型株へ投資
→高配当が狙える銘柄もあり

iDeCo
日本と先進国、そして新興国の株式に連動するインデックスファンドに投資
→分散投資でリスクを軽減する

出典「稼ぐ投資家とスゴ腕FPに聞いてみた NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?」

各口座の特徴を生かした投資法になっており、その理由についても詳しく述べられています。

 

個人投資家に特化した投資本

一般NISA・つみたてNISAに関する基本的な説明はあるものの、ほとんどは上記6名の記事で占めています。

つみ次郎含め、皆さんNISA以外の制度も含めた総合的な投資方針まで語られていますね。

投資に関する知識を身に着けるための本というよりは、各投資家の方がどのように考えてどのような投資をしているかを知ることができる本といえます。

そのため、一般NISAやつみたてNISAのことはもちろん、特定口座やiDeCoといった各制度に関する情報や、投資全般に関する知識はある程度必要になりますので、初心者の方だとちょっと読みづらいかもしれません。

個人投資家が主役になっている関係上、他の投資本では見かけないような面白い内容がとても多いです(つみ次郎以外)

なかなかエッジの効いた投資本ですので、ぜひ読んでいただければ幸いです。

 

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