アルファベット(グーグル)分析

シーゲル二郎です。

今回は、アルファベット(GOOG)を分析していきます。

グーグルの親会社で、検索エンジンを中心とする超巨大IT企業です。

 

連続増配…0年

S&P格付…AA+

採用インデックス
・S&Pグローバル100
・S&P500

 

社名こそアルファベット(alphabet)ですが、実質グーグル(Google)の会社といって差し支えありません。

2015年まではそのままグーグルとして活動していましたが、新しくアルファベット者が創立され、グーグルはその子会社となりました。

アルファベットが得る利益のほとんどは、子会社グーグルによるものです。

アルファベットには、株がクラスA~クラスCまで3種類あります。

ティッカー 議決権の割り当て
クラスA GOOGL 1倍
クラスB 未上場 10倍
クラスC GOOG なし

 

クラスBは、上場しておらず、議決権が通常の10倍もあります。主に創業者が保有している株です。

クラスCは2014年に新しく上場した株で、クラスA株を2:1分割した時に、半分をクラスC株として株主に配りました。

クラスCは議決権がないので、経営に口出しすることができません。創業者が持っているクラスBは、議決権が10倍あります。

ちなみにアルファベット株のうち、創業者である下記2名が多くの比率を保有しています。

ラリーペイジ氏・・・全体の5.7%
セルゲイブリン氏・・・全体の5.6%

この2人だけでアルファベット株全体の11.3%を保有しています。彼らが保有している株はクラスBなので、議決権が10倍あります。

2017/9/29現在、クラスAの発行株式数は298,044,925株、クラスCの発行株式数は347,733,652株です。仮に上記2人しかクラスB株を持っていないと仮定した場合、創業者2人とその他の議決権の重みは次の通りです。

創業者たち・・・約74%
その他大勢・・・約26%

つまり、創業者2人の議決権だけで、全体の4分の3近い議決権を持っていることになります。2人以外にクラスBを持っている人もいるはずので、実際はこれ以上に差が開くことになります。

過半数を支配できれば、他の人が反対する案件であっても成立してしまいます。

通常の大型上場企業であれば、株主の大部分は機関投資家になるので、経営陣が提案する無茶な計画は拒否されます。

しかし、アルファベットの場合、創業者2人で大部分を支配しているので、かなり無茶な計画だとしても、外部の株主が口出しできません。

特にグーグルは、次から次へと新しいことに挑戦する企業なので、多数の株主が反対するような計画を今後実行していくリスクがあります。

株主と経営陣の利害が対立するリスクがかなり高い状態といえます。創業者の気まぐれによって、株主価値が大きく毀損される可能性も高いといえます。

基本的に、株主が政府や創業者ばかりであることはあまり歓迎できません。なぜなら、政府であれば株主利益よりも国益を優先するし、創業者であれば、株価上昇よりも企業プライドを優先する場合があるからです。

議決権の大部分を機関投資家などが握っていれば、株主と経営陣の利益相反は低めに抑えられるはずです。

したがって、アルファベットへの投資は、創業者たちへの投資になりかねない危険な綱渡りになるといえます。

ここまでは株の話です。

ここからは、グーグルの事業内容について説明していきます。

グーグルのサービスは多種多様で、日本人なら必ずお世話になっているといっても過言ではありません。

 

・Google search(検索エンジン)

・Gmail(Webメール)

・YouTube(動画配信サービス)

・Google Map(地図・カーナビ)

・android(スマホOS)

・Google AdSense(アフィリエイト)

 

思いつくだけでこれだけあります。いずれも世界トップシェアを誇っており、特に検索エンジンとスマホOS市場では、世界シェア7割を超えています。

これらのサービスは、基本的に無料で使うことができ、収益の大部分が広告収入になっています。当ブログに貼ってある広告も、グーグルアドセンスというもので、ネット上に配置されるCMのようなものになっています。

テレビが無料で見れるのも、間に流れるCMのおかげです。グーグルは、それと同じ理屈であらゆるサービスを無料にしてしまったのです。

これは、ライセンス料で儲けていたマイクロソフトや、ハードウェアの売上が主な収益となっているアップルとは一線を画するビジネスモデルです。

現在は、自動車の自動運転などへの新規事業への投資も積極的ですが、黒字を生み出す大部分は広告収入になっています。

広告収入を株主還元せず、他の事業の成長にあてている成長段階の起業だといえます。

海外売上比率は半分を超えていますが、グーグルの実力を考えると少し控えめです。中国ではグーグルへの規制が厳しく、検索エンジンシェアをほとんど獲得できていないのが原因かと思います。

 

売上成長率、利益率はハンパないです。今後の利益予想も楽観的です。

 

営業CFマージンは40%近くあり、超高収益企業です。今後の伸びも期待できます。

 

グーグルは1998年創業ですが、配当金は一切出していません。手あたり次第事業拡大をしていく段階なので、配当金が出るようになるのはまだまだ先でしょう。

 

特筆すべきは自己資本比率が80%もあることです。内部留保をどんどん積み上げ、買収に備えているようです。

 

現時情報(2017/10/2)

株価…959.11ドル
予想PER31.82倍
配当利回り…0%
連続増配…0年

クラスC株のチャートです。株価の動きは典型的なグロース株です。PERは32倍ほどと、思っていたより高くないイメージです。配当金は今まで一切出していません。

参考にクラスA株価は、現在973.72ドルになっています。基本的に同じように動きますが、議決権がわずかながらある分クラスCよりは高くなります。

 

グーグルサービスの便利さは、しみじみと理解しています。消費者独占力は最強クラスです。

現代社会で最も儲かるのは、「情報」です。誰よりも情報を持っているものが、トップを取ります。

マクドナルド本社は、食い物を売る企業ではなく「食い物を売るノウハウ」を売る企業です。

そして世界中の人々の情報を集め、分析できるのがグーグルです。私たちは、情報を調べる際にグーグルを多く利用するし、その過程でグーグルも私たちの情報にアクセスします。

世界で一番情報を持っている企業はグーグルです。(フェイスブックだという説もあり)

現在多国籍企業による世界征服が始まっていますが、その頂点に立つ企業ともいえます。他の多国籍企業との大きな違いは、創業者の意思で運営されている企業ということです。

アルファベット社の公式ホームページは、非常に質素で不気味です。

出典「alphabet

ちなみにURLは、「abc.xyz」です。いろいろな意味で不思議なベールに包まれています。

シーゲル二郎個人的な感想としては、グーグルこそ世界最強の多国籍企業だと思っています。ですが、投資先としては、欠陥だらけの問題企業だと思います。

 

・創業者が議決権の大半を握っていること

・本業以外の黒字が少ないこと

・新規事業への投資に積極的なこと

・誰もがグーグルブランドを認めていること

 

特に、創業者が議決権の過半数を握っていることは大問題です。仮に創業者が株主利益に反する行動をしても、それを制限する術がありません。

我々個人投資家は議決権を行使することはありませんが、議決権を誰が握っているかには常に注意しなければなりません。

創業者のラリーペイジ氏やセルゲイブリン氏は、現時点で世界トップ30位に入る大金持ちです。もし仮にシーゲル二郎が同じ立場なら、資産の最大化は二の次にして、自分のやりたい事業を片っ端からやります。

創業者2人が議決権を守ろうとしているのも、自分がやることに反対されたくないからです。

投資家にとっては、彼らが成し遂げたい偉業なんて関係ありません。グーグルの株を買うということは、彼らのわがままに付き合うということに等しいです。

グーグルは、世界一大きなワンマン企業ともいえます。利益の最大化を目指すという資本主義の原則に逆らいかねない企業は、投資先として不適切だと思います。

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