オートマチック・データ・プロセシング(ADP)分析
シーゲル二郎です。
今回はオートマチック・データ・プロセシング(ADP)を分析していきます。
給与計算アウトソーシングの世界シェアトップの企業です。
連続増配…43年
S&P格付…AA
採用インデックス
・米国配当貴族指数
・S&P500
創業1949年の老舗IT企業で、連続増配年数も43年と長いです。他IT企業で最も長いのがポンコツIBMで22年なので、ダントツのトップです。
情報技術セクター企業では、唯一の米国配当貴族指数採用銘柄であり、異色の存在です。
また、格付は昔AAAの最上位を持っていましたが、2014年に事業スピンアウトをしたためAAに格下げです。しかし、これから紹介するデータを見れば、AAA級の安定性であることが分かるでしょう。
事業内容は、給与計算を中心とした人事関連業務アウトソーシングで、中小企業から大企業、多国籍企業まで、幅広い相手を顧客としています。
また、米国内の多くの企業の従業員数や給与水準を知ることができ、様々な統計データを公表しています。
米国の経済を知る重要な指数に、米国政府が発表している非農業部門雇用者数というものがあります。農業以外の仕事に従事している人の人数を表すもので、この人数が予想より多いか少ないかで、株価にも大きな影響を与えます。
オートマチック・データ・プロセシング社は、先行指数としてADP全米雇用統計を公表しており、政府発表の内容と相関性が高く信頼されています。
顧客は、世界110カ国に65万社ほどいるそうです。
しかし、米国での売上が大半を占めるローカル企業です。国ごとの税金や法律をもとに計算するので、どうしても米国内に偏ってしまうのかもしれません。
しかし、今後は企業の多国籍化が進んでいくので、海外需要も高まっていく分野ではないでしょうか。
IT企業なので景気変動を受けやすいはずですが、ADPには関係ないようです。リーマンショックでも無傷で、売上も地道に伸ばしています。
営業CFマージンは15%~20%ほどを推移しており、IT企業としては平凡です。ソフトウェアや人材派遣サービスが中心なので、投資CFは非常に少ないです。
EPS、DPSともに右肩上がりで非常に美しいです。配当性向にも余裕があるので、今後も問題なく増配できるでしょう。
2015年あたりから自己資本比率が下がり、ROEが上がっています。自社株買いに積極的なのでしょうか。どちらにせよ、事業が安定しているため、問題ありません。
格付けまた下がっちゃうかも…
現時点情報(2017/8/25)
株価…104.59ドル
PER…27.18倍
配当利回り…2.18%
連続増配…43年
非常に安定して右肩上がりですが、直近は調整局面で下落していますが、PERは27.18倍と割高です。
連続増配の情報技術セクターであり、連続増配は43年の老舗です。IT企業は、技術革新により企業の入れ替わりが激しい業界です。そして、安定して利益を上げ続けているのは、世界的な巨大企業が多いです。(マイクロソフト、VISAなど)
しかし、ADPは、米国内の売上比率が大きく、時価総額も約5兆円ほどと他のIT企業に比べれば小さいです。
また、営業CFマージンも、15%~20%程度であり、ボロ儲けしているわけではありません。(十分すぎる高収益ではありますが。)
給与計算は、中小企業で重宝されるイメージがあります。実際ADPは、企業のサイズごとに事業展開をしており、そういう意味では同じソフトウェア企業で顧客は大手が中心のIBMなどとはジャンルが違うのかもしれません。
今後の売上予想も横ばいであり、非常に地味な企業であることは否めません。
まさに、地味にコツコツ稼ぎ続ける企業であり、長期投資向けの企業とはこういった企業のことです。現在は割高な水準ですが、調整局面を迎えているので、もう少し下落したら買いではないでしょうか。
配当貴族唯一のIT企業は、貴族の名に恥じない優良企業でした。