8資産均等型バランスファンドを徹底比較!eMAXIS Slimが最有力か?
つみたて次郎です。
バランス型投資信託の有名な1ジャンルとして、8資産均等型と呼ばれるものがあります。
8つの資産に均等に分散を行うという分かりやすいコンセプトと分散性により、バランスファンドの中でも特に人気の高いジャンルになっています。
インデックスファンドの多くは、バランス型含め各社同じ指数を採用していることが多く、信託報酬を除けばほぼ横並びになっている状態です。
しかし8資産均等型については、新興国に関する部分で若干の違いがあり、選ぶ際に注意したいポイントになります。
今回は、8資産均等型バランスファンドの有力商品について解説していきたいと思います。
8資産均等型ファンドの有力商品一覧
8資産均等型で信託報酬が安い商品としては、下記の5商品が存在しています。
・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
・つみたて8資産均等バランス
・iFree 8資産バランス
・たわらノーロード バランス(8資産均等型)
・<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(8資産均等型)
いずれも信託報酬は十分に低く、ニッセイ以外はつみたてNISA対象商品になっています。
信託報酬及び総資産額
略称 | 信託報酬 | 総資産額※ |
Slim8資産 | 0.17172% | 153億円 |
つみたて8資産 | 0.2376% | 28億円 |
iFree8資産 | 0.2376% | 92億円 |
たわら8資産 | 0.2376% | 10.7億円 |
ニッセイ8資産 | 0.17172% | 0.8億円 |
※2018年8月31日現在。
信託報酬では、Slimとニッセイが同率で最安値になっています。
総資産額はSlimが最も多くなっており、増加スピードも早いです。
ニッセイの総資産額はまだ少ないですが、2018年2月に新規設定されたばかりという事情があります。
信託報酬と総資産額においては、Slim8資産が大きくリードしている状況ですね。
各商品のベンチマーク
いずれも8資産均等型なので、8つの資産に対応するベンチマークがあります。
大部分はいずれも共通となっています。
資産クラス | ベンチマーク |
日本株式 | TOPIX(東証株価指数) |
先進国株式 | MSCIコクサイ |
新興国株式 | (各商品違いあり) |
日本債券 | NOMURA-BPO総合 |
先進国債券 | FTSE世界国債(日本除く) |
新興国債券 | (各商品違いあり) |
日本REIT | 東証REIT指数 |
先進国REIT | S&P500先進国REIT指数 |
いずれもほとんどは同じ指数を採用していますが、新興国株式と新興国債券については若干の違いがあります。
8資産均等型を選ぶ際には、新興国に関するベンチマーク指数についてチェックしていく必要があります。
新興国株式について
それぞれの新興国株式のベンチマークは次のようになっています。
略称 | 新興国株式指数 |
Slim8資産 | MSCIエマージング |
つみたて8資産 | MSCIエマージング |
iFree8資産 | FTSE・RAFIエマージング |
たわら8資産 | MSCIエマージング |
ニッセイ8資産 | MSCIエマージング |
iFree以外については、全てMSCIエマージング・インデックスをベンチマークにしています。
ごく一般的な時価総額加重平均インデックス指数で、韓国株式が含まれているのが特徴です。(MSCI社では韓国は新興国扱い)
その一方iFreeだけは、FTSE・RAFIエマージング・インデックスをベンチマークにしています。
こちらはファンダメンタルインデックス指数となっており、株主資本・売上・配当・キャッシュフローなどをもとに投資対象が選別されています。
また、FTSE社では韓国は先進国扱いであるため、同指数に韓国株式は含まれていません。
先進国株式指数であるMSCIコクサイにも韓国が含まれていませんので、iFree8資産には韓国株式が一切含まれないということになります。
バランスファンドであえてファンダメンタルインデックスを組み込む意味は薄く、実質コスト的にも不利なので、あえてiFree8資産を選ぶ理由はないと考えています。
新興国債券について
それぞれの新興国株式のベンチマークは次のようになっています。
略称 | 新興国債券指数 |
Slim8資産 | GBI-EM |
つみたて8資産 | GBI-EM |
iFree8資産 | GBI-EM |
たわら8資産 | EMBI+ |
ニッセイ8資産 | EMBI+(除くB格以下) |
・JPモルガン・エマージング・マーケット・GBI-EMグローバル・ディバーシファイド
・JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(除くB格以下)
ベンチマーク名が非常に長いので、略称で表記しました。
Slim・つみたて・iFreeについてはGBI-EMとなっており、こちらは現地通貨建ての新興国債券指数になっています。
たわら・ニッセイについては、EMBI+となっており、こちらは米ドル建ての新興国債券指数になっているのが大きな特徴です。
また、ニッセイには(除くB格以下)という文言がついていますが、たわらについても実質的にB格以下の債券を除外している旨が運用報告書に記載されているため、実質的にニッセイとたわらはほぼ同じであると考えられます。
しかしその文言がついてしまったせいで、ニッセイ8資産はつみたてNISA対象外になっているという悲しい現実があります。
参考記事「ニッセイ8資産がつみたてNISA対象外な理由をニッセイAMに問い合わせしてみました」
各種違いのまとめ
新興国に関するベンチマークをまとめました。
略称 | 新興国株式指数 | 新興国債券指数 |
Slim8資産 | MSCIエマージング | GBI-EM |
つみたて8資産 | MSCIエマージング | GBI-EM |
iFree8資産 | FTSE・RAFIエマージング | GBI-EM |
たわら8資産 | MSCIエマージング | EMBI+ |
ニッセイ8資産 | MSCIエマージング | EMBI+(除くB格以下) |
新興国に関する部分以外は共通のベンチマークなので、この表を見れば実質的な投資先の違いが分かります。
Slim8資産とつみたて8資産は、実質的な投資対象はどちらも同じということになります。
iFree8資産は、株式部分が独自なため同一内容の商品はありません。
ニッセイ8資産とたわら8資産についても、指数名は若干違いますが実質的な投資対象はどちらも同じです。
どれを選ぶべきか?
iFree8資産については、信託報酬や実質コストで不利な点や、ファンダメンタルインデックスを組み込む意味は小さいことから、あえて選ぶ理由はないと考えています。
そのため信託報酬が同率最安値であり、新興国債券部分に違いがあるSlim8資産とニッセイ8資産の2択で選んでいく形になると思います。
個人的には、現地通貨建て新興国債券に投資できるSlim8資産のほうが好みです。
幅広く分散できるのが魅力な8資産均等型なので、せっかくなら新興国通貨にも分散したいですからね。
とはいえ、全体のうち8分の1が若干違うだけなので、最終的なリスクリターンはほぼ同じになると思われます。
そのため商品内容自体はほぼ互角といえますが、その他の部分で大きな相違点があります。
前述の通り、ニッセイ8資産は指数の都合上つみたてNISA対象外になっています。
この時点で、つみたてNISAで8資産均等型に投資したい場合はSlim8資産が最有力候補になります。
また、低コストインデックスファンドにとって、つみたてNISAに採用されていないというのは極めて大きなデメリットです。
例え商品自体が優れていたとしても、総資産額がうまく積みあがらなければコスト削減につながらず、最悪繰上償還というシナリオも考えられます。
スタート時点でニッセイ8資産は大きなハンデを背負っている状態であり、Slim8資産に追い付くのは至難であると思われます。
そのため、つみたてNISAはもちろんのこと、一般NISAや特定口座においても8資産均等型のベストはeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)であると私は考えています。
ブログ村ランキング
Slim次郎