長期投資は成長に賭けるのではない。企業の成長とリターンは無関係。

つみたて次郎です。

読者様より、下記リンク先記事についてご質問を受けたので回答します。

外部リンク…勘違いだらけの「長期投資」

経済評論家、山崎元氏の解説記事です。インデックス界隈では非常に有名な山崎氏ですが、長期投資家なら押さえておきたいポイントがたくさんあるのでぜひ読んでいただければと思います。

上記記事より一部引用します。

投資では、対象となる企業や経済の「成長」に賭けているのではない。対象が成長しなければ儲からないと考えている投資家が少なくないが、投資のリスクを負担することに対するリターンの源泉は、資産の価格形成にある。

引用「トウシル

この短い文章の間に、投資家ならば必ず押さえておかなければならない非常に重要なことが説明されています。また、多くの人が勘違いしているポイントでもあります。

今回は、この部分について分かりやすく解説していきます。

諸注意ですが、つみたて次郎は金融のプロでも何でもない素人ですので、解説に誤りがあったり、山崎氏の主張とは異なる見解になっている可能性がありますのでその点はご了承ください。

もし間違いや誤解を生む表現等ございましたら、コメントにてご指摘いただければ幸いです。

広告の下から本題へと進みます。

さて、投資において非常に勘違いしやすいのが、「成長とリターンの関係」です。

世間一般的な投資のイメージとしては、急成長産業や急成長国に投資すれば利益を得ることができると考えられることが多いです。

特に株式投資においては、投資する=企業のオーナーになるということですから、勢いのある企業に投資したほうが儲かるような気がします。

企業が稼いだ利益が株主の利益になるので、毎年うなぎ登りで増収増益を達成している企業に投資したいと思う人が多いです。

しかし、そのような人気企業は、株価も割高になりやすいです。株価が割高になってしまえば、急成長を遂げたとしても投資家のリターンは期待外れなものになってしまいます。

具体的な例として、1株当たり利益が次のように予想されている銘柄で考えてみます。

 

株式A…初年度利益は1,000円、その後は毎年50円ずつ増益。
株式B…初年度利益は2,000円、その後は毎年50円ずつ減益。

 

株式Aは、毎年利益を増やし続ける予想がされていますが、株式Bは毎年減益していくことが予想されています。

Aは成長が期待できる銘柄・Bは成長が期待できない銘柄ととらえることができます。

利益以外の要因が全く同じだとすれば、一体いくらの株価が適切になるでしょうか?

投資家が10年で2倍になるリターンを期待した場合の適正価格を考えてみましょう。

まずは、それぞれを10年間保有した時に得られる累計利益を計算してみます。

株式A 株式B
1年目 1,000円 2,000円
2年目 1,050円 1,950円
3年目 1,100円 1,900円
4年目 1,150円 1,850円
5年目 1,200円 1,800円
6年目 1,250円 1,750円
7年目 1,300円 1,700円
8年目 1,350円 1,650円
9年目 1,400円 1,600円
10年目 1,450円 1,150円
累計 12,750円 17,750円

 

10年間保有した場合、累計でそれぞれこれだけの利益を得ることができると市場は予想していることになります。

そして10年で2倍のリターンを見込んでいるということは、投資した資金と同じだけのリターンを得ることを期待しているということになります。

すなわち、株式Aは12,750円、株式Bは17,750円が適正価格であると簡単に計算することができます。

しかし現実には、株式は企業が倒産や上場廃止するまで存続するので、単純に○年で△倍のリターンと考えることは不可能です。

また、利益予想も頻繁に変わりますし、短期的には企業利益と株価が大きくずれることもあります。

しかし大雑把に考えれば理屈はこの通りです。大事なのは成長率そのものではなく、その成長が実現した時に株価に対してどれだけの利益を得ることができるかどうかということになります。

もし株式Aと株式Bが同じ株価で売っていたら、Bを買ったほうがオトクということになります。Bは減益が予想されている衰退企業にもかかわらずです。

このような試算が世界中で行われていることで、毎日の株価というものが形成されていきます。成長企業も衰退企業も、将来得られる利益(=リターン)に見合うように価格が決まっていきます。

そのため大事なのは成長力そのものではなく、「市場予想と現実のギャップ」ということになります。

例え成長率が低かったり成長率マイナスだったとしても、市場参加者がそれを予想していれば株価は大幅割安になり、結果的にそこそこのリターンを得られる可能性があります。

また、そのような期待の低い銘柄が予想を上回る業績に回復した場合、将来の利益予想も上方修正されるのでそれに合わせて株価が暴騰します。

万年赤字だと思われていた企業が黒字転換した時なんかもよい例ですね。

面白い例では、タバコ企業と喫煙者数ですね。先進国では喫煙者は減少傾向にあり、タバコ企業の利益予想に大きく影響してくる要因です。

例えば、とある年度に喫煙者数が5%減だと予想されていたけど実際は3%減だった場合、予想よりもマシだったということでプラス材料になります。

「喫煙者が思っていたより減らなかった」という事実がリターンにつながるケースです。

「思ったよりも減益にならなかった」「赤字が減って黒字転換が見えてきた」「顧客の減少が緩やかだった」などのような、悲観材料が軽減されるという事実で株価が暴騰することもしばしばです。

マイナス要素が減るという、マイナス×マイナス=プラスみたいな理屈です。

逆に、急成長が期待されている企業はそれに見合うだけの割高な株価を形成しているので、予想以下の決算だった場合暴落しやすいということになります。

1位確実だと思われていた選手が、惜しくも2位になってしまったような状況です。企業の業績とは、常に市場参加者の予想と照らし合わせて行う必要があります。

50%の増益でもガッカリされることもあるし、逆に10%の減益で喜ばれるということもあります。

繰り返しますが大事なのは、「市場予想と現実のギャップ」です。

成長率そのものは、株式リターンと無関係です。

 

そしてこれは、一般的に語られる長期投資が有効な理由と反する事実です。

VTなどの国際分散投資は、「世界経済の成長の恩恵にあずかる」方法として非常に有効です。

その背景には、「世界経済は右肩上がりで成長を続けるはず」という前提がありますが、もし成長力とリターンが比例しないのであれば、究極的には世界経済が成長しないとしても問題ないということになります。

もし世界中の企業が衰退してたり赤字転落になった時、果たして投資家は今までのようなリターンを得ることができるでしょうか?これは直感的にはとても正しいとは思えません。

少なからず長期投資家は、資本主義の繁栄・世界経済の緩やかな成長を前提に投資を行っているはずです。

参考記事「VTや楽天VTへの投資は正しい国際分散投資といえるのだろうか?

しかし今回の理屈で言えば、世界経済が衰退しようとそれを市場が正しく織り込んでくれていれば問題ないということになります。

逆にもし世界経済が順調に右肩上がりで成長していったとしても、成長率を投資家が間違えて予想すれば、リターンは悲惨なことになってしまうということになります。

また、人口増加率や名目GDPと株式リターンは比例するという見解もあり、一概に成長力とリターンは関係ないと言い切れない部分も多いです。

参考記事「GDP基準 vs 時価総額基準

参考記事「GDPと株式リターン

逆に、成長率が高い企業は投資家の期待が過剰になりやすく、低リターンになりやすいという見解もあります。

理論上は成長力とリターンは無関係ではありますが、株式市場が群集心理によって形成される以上、現実的には関係性はあると考えるべきだと思います。

最後に、ジェレミー・シーゲル教授の言葉で終わりにしたいと思います。

成長の罠にはまった投資家は、確信をもたらし、経済成長を牽引する企業や業界に、過大な対価を払う。ひたすら成長率を追い求め、話題の銘柄を買い漁り、胸躍る最新技術を探し回って、なるべく成長率の高い国へと資金を振り向ける。こうした投資アプローチは、低い投資収益率しかもたらさない。それどころか長期的なデータをみるかぎり、過去に際立った運用成績を達成してきた銘柄は、斜陽産業や低成長国に属しているケースが多い。

引用「株式投資の未来」

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バリューグロース次郎

長期投資は成長に賭けるのではない。企業の成長とリターンは無関係。” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    低成長国、斜陽産業のほうがギャンブラー向けということですな
    あ、東証カジノ

  2. つみたて次郎 より:

    あながちその認識も間違いではないかと思います。誰も気にとめないような銘柄に投資するのは、心理的な抵抗も大きいですし、その分反発した時のリターンは絶大ですね。
    日本株についても、その意味では悪い投資先だと断定することもできないと思います。

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