NYダウ銘柄のダウ・デュポン(DWDP)とダウ(DOW)が入れ替わりました
つみたて次郎です。
タイトルが非常にややこしいですが、NYダウ(ダウ工業30種)の銘柄入れ替えがありましたのでまとめてみます。
NYダウは米ダウ・ジョーンズ社が算出している株価指数で、米国を代表する大型株30社で構成されています。
米国市場だけでなく、世界市場の動向を表しており、世界一有名な指数といって差し支えありません。
採用銘柄は時代に合わせ入れ替えされており、元々の銘柄数が少ないだけにその影響も小さくありません。
4月1日、ダウ銘柄の一角であるダウ・デュポン(DWDP)が一部事業をダウ(DOW)としてスピンアウトしました。
ダウ(DOW)の取引は4月2日からスタートしています。
そして同日、NYダウ銘柄における入れ替えが次のように行われています。
ダウ・デュポン(DWDP)→除外
ダウ(DOW)→新規採用
スピンアウトした側のDWDPが外れ、スピンアウトによって誕生したDOWが新しくNYダウ銘柄に君臨することになりました。
補足…NYダウやダウ・ジョーンズ社の「ダウ」とダウ・デュポン社の「ダウ」は同じ言葉でが使われていますが今回の話においては直接関連性はありません。
NYダウに相応しい銘柄を積極的に入れ替えしたというよりは、企業分割というイベントに合わせて微調整を行ったといったところでしょうか。
ダウ・デュポンについて
ダウ・デュポン(DWDP)は、元々ダウ銘柄であったデュポン(DD)とダウ・ケミカル(DOW)が2017年9月に合併して誕生しました。
それぞれ大手化学製品メーカーでしたが、合併後3つの会社に分離する予定となっていました。
農業関連…デュポンがベース。遺伝子組み換え、除草剤・枯葉剤など
特殊産業…デュポンがベース。電子製品、防護服など
素材化学…ダウ・ケミカルがベース。工業向けプラスチック製品など
合併してそれぞれの強みを生かしつつ、各分野に特化した会社に生まれ変わろうという作戦ですね。
今回スピンアウトされたダウ(DOW)については、旧ダウ・ケミカル社の事業がベースとなる素材化学部門になっています。
補足…合併前の旧ダウ・ケミカル社と今回新しく誕生した新生ダウはティッカーが「DOW」と一緒なので注意。
また、分離元であるダウ・デュポン社については、今年の6月に農業部門をコルテバ・アグリサイエンス社・特殊産業部門をデュポン社として独立させる予定となっています。
いわば今回の分離は第1段階で、ダウ・デュポンの3分の1が無事独立したという形ですね。
流れをまとめるとこんな感じです。
①デュポン(DD)とダウ・ケミカル(DOW)が合併してダウ・デュポン(DD)に
②ダウ・デュポン(DWDP)からダウ(素材化学部門)が独立←今ここ!
③ダウ・デュポン(DWDP)からデュポン(特殊産業部門)とコルテバ(農業部門)が独立する予定
同じ言葉とティッカーが複数回登場して頭が痛くなりそうです(混乱)
一連の流れで「ケミカル」という言葉が消えているのがなぜだか悲しいです(感受性豊か)
DWDPとDOWの株価について
分離元であるダウ・デュポン(DWDP)については、スピンアウトに伴い株価が下がっています。
スピンアウト前は50ドル強、スピンアウト後は35ドル強で推移しています。
分離されて新しくNYダウに採用されたダウ(DOW)については、4月2日の取引開始後順調な滑り出しです。
株価は55ドル強で推移しています。
配当利回りは5%前後が期待でき、高配当銘柄としての側面もあります。
NYダウは単純株価平均指数ですので、1株当たり株価が大きな意味を持っています。
極端に株価の高い値嵩株が採用されれば大きな比率を占めることになるので、相対的に他の銘柄の比率は下がることになります。
今回入れ替えとなったスピンオフ前のダウ・デュポン(DWDP)もスピンオフ後のダウ(DOW)も株価はどちらも50~60ドルと大体同じくらいの水準なので、入替によって構成比率が大きく変化することはなさそうです。
4月2日現在、NYダウにおけるダウ(DOW)の構成比率は約1.5%程度です。
NYダウインデックスへの影響
NYダウをベンチマークとしたインデックスファンドは多数存在しており、海外ETFではDIA、国内投信だとiFree NYダウインデックスあたりが有名です。
今回の入れ替えによって実質的な投資先が少し変わることになります。
元採用銘柄であるダウ・デュポン(DWDP)は、前述したとおり農業+特殊産業+素材化学が事業の3本柱となっていました。
そして今回その中の素材化学部門がダウ(DOW)という名前で分離され新しくNYダウに採用されています。
なのでNYダウに投資している立場からすれば、今回の入れ替えはダウ・デュポン(DWDP)の農業部門と特殊産業部門を投資先から外したと言い換えることもできます。
また、入替後もNYダウ全体に占める銘柄の構成比率は大きく変わっていないので、結果的に残された素材化学部門(新生ダウ)の影響を大きく受けるようになったといえます。
ちなみにS&P500のような時価総額加重平均指数の場合、ダウ・デュポン(DWDP)もダウ(DOW)も全部カバーすることになるのでこのようなことはなく、スピンアウトに伴う時価総額変動の影響を受けるだけにとどまります。
元々NYダウ自体が辞意的に選別されるアクティブファンドのような側面を持っていますが、今回のように企業分割等にも影響されやすい点は押さえておきたいところです。
新たな景気敏感高配当株の誕生
今回の流れで一番影響を受けるのはダウ・デュポン(DWDP)を個別株で保有していた人ですが、企業分割については事前から分かっていたことですので今後ホルダーがどのように動くかが気になります。
今後は新生ダウだけでなく、6月に登場予定のデュポン社とコルテバ社という選択肢も登場するので、かなり悩ましいところではないかと思います。
つみ次郎の様にNYダウ経由で間接的に投資していた人にとっては、なんともいえない微妙なニュースかもしれません。
個人的には元々ダウ銘柄であり悪徳企業の代名詞ともいえる旧デュポン(DD)の主力事業が外された形なので、少し残念ですね…。
初期メンバーが入れ替えを経て最終的に1人もいなくなった時のような悲しみ
今回新しく登場した新生ダウ(DOW)は配当利回り5%前後が狙える高配当株なので配当重視の投資家から注目されそうですが、不人気かつ景気敏感な素材セクター企業ですので微妙かもしれません。
安定配当を狙うなら一般的に生活必需品や公共事業などのディフェンシブなセクターが選好されやすいため、景気敏感高配当株なDOWへの評価はかなり分かれそうです。
つみ次郎のように配当利回り=割安度のバロメーターとして割り切って考えるのであれば、なかなか魅力的な銘柄になるかもしれません。
VYMや楽天VYMなどには間違いなく採用されることになりますので、間接的なDOWホルダーとして応援していきたいですね。
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ダウ次郎