エネルギー | つみたて次郎の投資日記 https://siegeljiro.com シーゲル流×積立NISA×iDECO Sun, 10 May 2020 02:03:28 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.0.9 134557597 バンガード・米国エネルギーセクター(VDE)分析 https://siegeljiro.com/%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%ac%e3%83%bc%e3%83%89%e3%83%bb%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e3%82%a8%e3%83%8d%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e3%82%bb%e3%82%af%e3%82%bf%e3%83%bcvde%e5%88%86%e6%9e%90 https://siegeljiro.com/%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%ac%e3%83%bc%e3%83%89%e3%83%bb%e7%b1%b3%e5%9b%bd%e3%82%a8%e3%83%8d%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e3%82%bb%e3%82%af%e3%82%bf%e3%83%bcvde%e5%88%86%e6%9e%90#respond Wed, 27 Sep 2017 09:00:01 +0000 http://siegeljiro.com/?p=3128 シーゲル二郎です。

今回は、バンガード・米国エネルギーセクター(VDE)を分析していきます。

米国のエネルギーセクター企業にまとめて投資できるETFです。

バンガード・米国エネルギーセクターETF (2017/3/31現在)

項目 データ
信託報酬 0.10%
銘柄数 130
PER -84.0倍
PBR 2.0倍
ROE 7.9%
利益成長率 -26.9%
売買回転率 14.8%
標準偏差 20.05%

 

エネルギーセクターは事実上、石油セクターといえるので、原油価格に大きく左右されます。現在は原油安が続いており、利益はマイナスになっています。直近の実績PERは22倍ほどですが、あまり参考にはなりません。

売買回転率も非常に高く、標準偏差もかなり高いです。データ上では全く魅力がないように見えてしまいますね。

S&P500との比較です。リーマンショックで大きく落ち込んでいるのと、2014年に逆V字で下落しています。

 

VDEと原油価格の比較です。エネルギーセクターの多くは原油価格の上昇の恩恵を受ける企業ばかりなので、原油価格との相関性は非常に高いです。

エネルギーセクターへの投資=配当金の出る原油を買う

といっても過言ではありません。

エネルギーセクターが含まれる企業は、主に次の通りです。(2017/3/31現在)

業種 構成比率
総合石油・ガス 39.0%
石油・ガス探査・開発 27.8%
石油・ガス装置・サービス 16.0%
石油・ガス精製・販売 7.9%
その他 9.3%

 

 

石油まみれです。石油に関係ない割合は、その他に含まれる「石炭・消耗燃料」のわずか0.2%のみでした。

投資家の目線で分けると、次の4つになると思います。

・オイルメジャー

・川上事業

・川下事業

・その他サービス

基本的に石油の精製や販売をする川下事業は原油価格下落に強いといわれていますが、実際は大きく減益になることが多いようです。

詳しくは川下事業専門の「フィリップス66(PSX)分析」を見てください。

オイルメジャーは、川上から川下まで全部自社で行う国際石油資本ですね。

6大オイルメジャーは、下記のとおりです。

エクソンモービル(XOM)
シェブロン(CVX)
・ロイヤルダッチシェル(RDSB)
・ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)
・トタル(TOT)
・͡コノコフィリップス(COP)

緑色の企業はすべて米国企業で、分析済みです。事業規模で見ても大体半分くらいになります。

米国内のオイルメジャー3社は、どれも川上の比率が高いです。XOMは約8割、CVXは約9割、COPはほぼ10割が川上になっています。

ほとんどの企業が原油価格と連動する運命になっています。

オイルメジャーの半分は米国外なので、あまり米国が強くないセクターなのかと思いましたが、世界全体に対する米国の割合は約55%と平均的だったので、問題なく米国最強でした。

 

ジェレミー・シーゲル氏の著書、「株式投資の未来」では、企業の成長率と株式リターンに関係ないという「成長の罠」について説明する際に、当時エネルギーセクター最大だったスタンダードオイル(エクソンモービルの前身)が良い例として挙げられていました。

その相手になっていたのが、当時はバリバリの成長株だったポンコツIBM(笑)でした。

IBMは1910年創業の老舗IT企業です。現在は売上減少が続いていて落ち目ですが、全体から見れば素晴らしい成長をした企業です。

スタンダードオイルも、それなりに成長はしていましたが、IBMに比べれば非常に地味な企業でした。

しかし、投資家が得たリターンは全く違う結果になっています。

1950~2003年の平均(参考文献:株式投資の未来)

IBM スタンダードオイル
株価上昇率 11.41% 8.77%
配当利回り 2.18% 5.19%
トータルリターン 13.83% 14.42%

 

株価の上昇はIBMのほうが上でしたが、トータルリターンはスタンダードオイルのほうが上でした。

IBMは素晴らしい成長を遂げましたが、投資家もまた素晴らしい成長を期待していたので、株価が割高になり配当金再投資が有効に働かなかったことが原因です。

とはいえ、スタンダードオイルも十分な株価上昇率で素晴らしいですね。日本株では考えられません。

ちなみに同時期市場平均のトータルリターンは平均11.44%だったので、どちらに投資していても市場平均には大きく勝っていたことになります。

エネルギーセクターは、米国のセクター別リターンでも上位の成績だったので、長期投資家には非常に人気があります。

事業内容が地味で、配当利回りが高いことから、シーゲル派にも人気があります。しかし、シーゲル派が好むセクターとしては、かなり例外な部分も多いです。

・商品がコモディティで競争が激しい
・原油価格に左右されうるため安定的事業とはいえない
・設備投資が多くかかる
・自己資本比率が高くなりがちで資本効率が悪い

同じくシーゲル派に人気の生活必需品セクターは、4項目ともすべて正反対の特徴を持っています。過去のリターンが良かったのと、投資家の期待が低い以外に魅力はありません。

現在の原油安が終わった後は、積極的に投資するべきセクターではないということですね。

シーゲル二郎はもともとエネルギーセクター企業は好きではありませんが、NYダウにも米国配当貴族指数にも採用されているのはエクソンモービルシェブロンしかないので、安心できますね。

 

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コノコフィリップス(COP)分析 https://siegeljiro.com/cop-bunseki https://siegeljiro.com/cop-bunseki#respond Tue, 19 Sep 2017 03:00:15 +0000 http://siegeljiro.com/?p=2788 シーゲル二郎です。

今回は、コノコフィリップス(COP)を分析していきます。

川上部門に特化した石油企業です。

 

連続増配…0年

S&P格付…A-

採用インデックス
・S&P500

 

もともと川上から川下まで垂直統合のオイルメジャーでしたが、2012年に川下部門を分離しており、現在は川上部門のみを行っています。

川下部門はフィリップス66(PSX)と社名変更されており、バフェット銘柄として有名です。

石油の事業内容は、主に二つに分けることができます。

川上…油田の開発、採掘
川下…精製、販売

コノコフィリップスが行っている川上は、利益率が高い代わりに、原油価格に影響されやすいことが特徴です。

コノコフィリップスと原油価格のチャートです。川下を切り離した2012年ごろには、原油価格が回復していた時期でした。もともと川下は卸売業に近い性質のため、利益率が低い事業となっています。そのため、原油価格が高めの時にはお荷物になりやすいです。

 

そのため川下を切り離すという戦略に出ました。しかし、その後原油価格は暴落し、コノコフィリップスの経営も急激に悪化しました。

オイルメジャー最大のエクソンモービルは、逆に川下部門を3割ほど残していたので、原油価格が下落しても黒字を維持することができました。当時はなぜ川下をそんなに維持するのかという批判も多くありましたが、結果戦略としては大成功でした。

企業を経営するのも、投資をするのも所詮人間ですから、調子に乗ってしまう性なのかもしれません。

 

オイルメジャーの多くは海外売上比率が高いので、比較的米国内が中心の企業といえます。

 

川下のフィリップス66分離後は大きく売上が減少しています。その割には利益は減っていないので、いかに川下の利益率が低かったかがうかがえます。しかし、2014年からの原油価格暴落により、赤字転落しています。

 

営業CFマージンも全く安定しておらず、非常に不安定です。投資CFがぶれるのは仕方がありませんが、投資CFもこれだけ減ってしまうと設備投資も大きな負担になります。

 

リーマンショックが起きた2008年は赤字です。オイルメジャーのエクソンモービルやシェブロンは普通に黒字だったので、川下があった時点から既に不況に弱い体制だったといえます。

直近では赤字続きで、配当金も減配になっています。

 

自己資本比率は40%をずっとキープしており高水準です。コノコフィリップスに限らず、エネルギーセクター企業は固定資産が多くなるので、自己資本比率は高めで安定している傾向にあります。

 

 

現時点情報(2017/9/17)

株価…46.51ドル
予想PER…赤字
配当利回り…2.31%
連続増配…0年

原油価格との比較です。強い相関があり、原油価格と株価が連動しています。直近が赤字なので、PERも測定不能です。配当金も減配しており、利回りも2.3%と低めに出ています。

 

全く期待していませんでした。川上100%の石油企業なので、原油価格がすべてともいえる事業内容です。赤字で減配もしているので、エクソンモービルなどに比べると大きく見劣りします。

原油価格の回復を予想しているとしても、川上90%で連続増配中のシェブロンでいいような気がします。

長期投資向けの企業とはいいがたく、原油価格に合わせて短期で売買する銘柄だといえます。

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フィリップス66(PSX)分析 https://siegeljiro.com/psx-bunseki https://siegeljiro.com/psx-bunseki#comments Mon, 18 Sep 2017 00:00:06 +0000 http://siegeljiro.com/?p=2772 シーゲル二郎です。

今回は、フィリップス66(PSX)を分析していきます。

バフェット銘柄の一角で、ガソリンスタンドなど石油の川下事業を行う企業です。

 

連続増配…5年

S&P格付…BBB+

採用インデックス
・S&P500

 

バフェット氏率いるバークシャーハサウェイのポートフォリオのうち、第7位のウェイトを占めています。とはいっても4.1%しかなく、影は薄いです。

石油を扱う企業で、エネルギーセクターに属しています。セクター内ではエクソンモービル(XOM)シェブロン(CVX)が有名ですね。これらの企業は、オイルメジャーと呼ばれ、石油の発掘から販売まですべて行う垂直統合型の企業です。

このフィリップス66は、もともとコノコフィリップス(COP)というオイルメジャーの川下部門でしたが、2012年に分離されました。

そのため、現在のフィリップスは川上専門企業、フィリップス66は川下専門企業ということになります。川上と川下というのは、石油事業の大きな分け方で、次のようになります。

川上…油田の開発、採掘
川下…精製、販売

川上は石油が出る油田を保有しており、大きな利益を得やすいです。その代わり、調査や発掘に多額の投資が必要で、結果が出るまで数十年単位の計画が必要になります。また、原油価格が下落すると大きな損失になります。

川下はガソリンスタンドなども含まれ、卸売・小売業の性格があり、利益率は低めです。その代わり、原油価格に左右されにくいのが大きな特徴です。

巨大なオイルメジャーは、両方の部門を保有していますが、割合としては資本力が必要だけど儲かりやすい川上の比率が高いことが多いです。エクソンモービルは7割、シェブロンは9割が川上部門です。

そのため、エネルギーセクターの中では、川下専門のフィリップス66は特殊な事業構造ともいえます。石油の精製を行ったり石油化学製品を製造したりもするので、素材セクターの特徴も兼ね備えています。

 

2016年には純利益が半分以下になっています。川下部門のため利益率も非常に低いです。今後の利益予想は増益が予想されています。

 

営業CFマージンは2~6%しかなく、薄利多売の小売業を思い出します。投資CFも安定しておらず、非常に汚いです。

 

増配率は素晴らしいですが、利益が追いついていません。連続増配に期待する企業ではありません。

 

ROEは直近下がっていますが、自己資本比率は45%前後で推移しており鉄壁です。エネルギーセクター企業は自己資本比率の安定性が抜群ですね。

 

現時点情報(2017/9/17)

株価…87.67ドル
予想PER…19.84倍
配当利回り…3.25%
連続増配…5年

参考に原油価格も載せています。右側の数字はドルではありませんので注意してください。コノコフィリップス(COP)から分離された直後はかなり上昇しています。また、2014年からの原油価格は暴落していますが、フィリップス66にはあまり関係ないようです。

川上部門を抱える多くのオイルメジャーは、原油価格の暴落ともに下落しています。川下専門のフィリップス66は原油価格の影響を受けにくいので、原油価格が低迷しているときには安定しています。

エネルギーセクターの中でも、川上と川下で分散するとリスクを減らせるかもしれませんね。

 

バフェット銘柄ですが、あまりバフェット氏の特徴とは一致していませんね。消費者独占企業でもなく、高収益な企業ともいえません。バフェット氏がフィリップス66に投資している理由は、「経営陣が好きだから」という直感的な理由からです。

しかし、バフェット氏は「愚かな経営者でも運営できる企業」に投資することも大切にしています。

ここで「バフェットのいうことは矛盾してる」なんて幼稚な考えをしてはいけません。何事でもそうですが、法則はどんな時でも当てはまるものではありません。あくまでバフェット氏の中で、フィリップス66に納得できる理由があったから投資しているにすぎません。

消費者独占企業とかそんな簡単な言葉で説明できるほど、世界一の投資家の頭は簡単にはできていないということです。バフェット氏のコカ・コーラに対する理解と、あなたのコカ・コーラに対する理解は全然深さが違います。

バフェット氏の名言通りに投資すれば成功するほど、集中投資は簡単なことではありません。多くの無知な投資家は、広く分散されたポートフォリオを組み、市場にしがみつくかっこ悪い投資を続けるしかないのです。

バフェットのマネをするなら、バークシャーハサウェイ(BRK.B)を買ったほうがいいです。

話がそれましたが、フィリップス66のシーゲル二郎流分析では、エネルギーセクター内での分散担当くらいしか役割は見つけられませんでした。

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シェブロン(CVX)分析 https://siegeljiro.com/cvx%e2%80%90bunseki https://siegeljiro.com/cvx%e2%80%90bunseki#respond Tue, 22 Aug 2017 12:05:43 +0000 http://siegeljiro.com/?p=248 シーゲル二郎です。

今回は、シェブロン(CVX)について分析していきます。日本ではあまり聞かない企業です。

前回紹介したエクソンモービル(XOM)と同じく、6大オイルメジャーの一角です。事業規模は、エクソンモービルの半分ほどです。

 

連続増配…29年

S&P格付…AA-

採用インデックス
・NYダウ
・米国配当貴族指数
・S&Pグローバル100
・S&P500

 

NYダウにも採用され、連続増配29年の優良企業です。しかし、同じくNYダウ銘柄であり、オイルメジャーで1番大きいエクソンモービルの影に隠れがちです。各種指数も、微妙に負けていてもどかしいです。

しかし、エクソンモービルに負けず劣らずの堅実経営であり、投資魅力は十分です。

シェブロンの事業内容は、川上が9割近くを占め、残りが川下です。

川上…油田の開発、採掘
川下…精製、販売

川上部分が大きいということは、原油価格に左右されやすいということです。しかし、現在の原油安がずっと続くとも考えにくいので、価格が回復していけば見通しは明るいかと思います。

エクソンモービルの時にも登場したチャートです。2014年からの原油安により各オイルメジャーは苦戦しており、シェブロンも例外ではありません。

海外売上比率も、特に何も言うことはないです。

 

2016年の純利益は、ほんのわずか赤字です。エクソンモービルと同じく、あまり美しくありません。特に、原油価格下落の2014年からの落ち込みが大きいです。

 

フリーキャッシュフローは2013年からマイナスになっています。いくら赤字であっても、設備投資をやめるわけにはいきません。

2009年は、見えませんが若干のマイナスです。

 

配当金は死守していますが、このままでは減配の可能性もあります。シェブロンも財務管理には定評がありますが、赤字では流出するばかりです。

 

自己資本比率は50%をキープしており十分です。しかし、利益減に伴いROEも減少しております。頼みの綱は原油価格の回復のみです。

 

現時点情報(2017/8/19)

株価…106.48ドル
配当利回り…4.1%
連続増配…29年

おまけで原油価格(ピンクのチャート)も載せています。

エクソンモービルと同様、原油価格に比べれば株価の変動は緩やかです。配当利回りも、4%を超えています。
配当利回り変わらないならエクソンモービル買ったほうがいいかも…

シェブロンの特徴はやはり川上比率が高いことなので、比較的原油価格につられる部分は大きいです。そのため、今後の原油価格の回復を予想するなら、良い選択だと思います。

また、エクソンモービルと違って、シーゲルプレミアム?がついていないので、より純粋な気持ちで逆張り投資ができるのではないのでしょうか。

シーゲル二郎はお断りします。

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エクソンモービル(XOM)分析 https://siegeljiro.com/xom-bunseki https://siegeljiro.com/xom-bunseki#respond Tue, 22 Aug 2017 11:51:31 +0000 http://siegeljiro.com/?p=231 シーゲル二郎です。

今回は、エクソンモービル(XOM)を分析していきます。

エクソンモービルとは、国際石油資本、すなわちオイルメジャーの一角で、石油の発掘や販売をしています。

 

連続増配…34年

S&P格付…AA+

採用インデックス
・NYダウ
・米国配当貴族指数
・S&Pグローバル100
・S&P500

 

オイルメジャーとは、民間石油業者で、石油の発掘から精製、販売までまとめて行う垂直統合型企業です。

6大オイルメジャーは、下記のとおりです。

・エクソンモービル(XOM)
シェブロン(CVX)
・ロイヤルダッチシェル(RDSB)
・ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)
・トタル(TOT)
・͡コノコフィリップス(COP)

エクソンモービルは、オイルメジャーの中で最大規模の時価総額と売上を誇っています。

・時価総額…約37兆円
・売上…約20兆円

それを踏まえてこれをご覧ください。

出典「東洋経済オンライン

1つだけおかしいのがいますね。オイルメジャーでの最大はエクソンモービルですが、すべての石油企業で考えると、サウジアラビア国営企業であるサウジアラビアが堂々の第1位です。

オイルメジャーのライバルとして、OPEC(石油輸出機構)があります。現在、石油の世界シェアのうち、OPECが40%ほど握っていますが、オイルメジャーは10%ほどしかありません。

話はそれますが、サウジアラムコの時価総額は、推定220兆円とされており、エクソンモービルの6倍近くあります。

また、IPO(新規公開株)で全体の5%を株式市場に上場させる計画も出ています。5%といっても、11兆円分ですから、投資家も注目しています。

 

話がそれてしまいました。それでは本題のエクソンモービルに入ります。

まずエクソンモービルの事業内訳は、川上が約70%、川下が約20%を占めています。

川上…油田の開発、採掘
川下…精製、販売

石油企業の事業内容は、大きく分けてこの二つであり、みんながオイルメジャーと聞いて思い浮かべるのは川上ではないでしょうか。

まさに石油を掘って探すという分かりやすい作業です。石油王という言葉もあるので、石油は儲かるイメージがありますが、開発のために多額の資金が必要で、原油価格に大きく左右されるため、特有のリスクがあります。

逆に川下については、ガソリンスタンドがイメージしやすいです。石油を精製してガソリンなどに分け、必要な人に売る業務です。

原油価格の変動に合わせて売価が変わるので、原油安だと安く仕入れられる分利益は増えます。

 

1バレル当たり原油価格(単位:ドル)

原油価格のチャートです。1バレルとは、約159ℓのことで、原油の取引に使われる単位のことです。ケンタッキーではありません。

2008年のころは1バレル=120ドルもあったのに、2016年には1バレル40ドルまで下がっています。多くのオイルメジャーでは、1バレル=40ドルが損益分岐点だといわれているので、非常に苦しい状況でした。

2014年以前は、原油の回復に伴い、多くのオイルメジャーが調子に乗って川上部門を拡大させたり、川下部門を売却したりしていました。

その中で、エクソンモービルだけは、川上ばかりに集中せず、川下も30%ほどしっかり残していました。

そのため、投資家からは、「何で儲かる川上に投資をしないんだ」という批判もありましたが、結果、原油価格は暴落し、多くのオイルメジャーが悲鳴を上げました。

もちろん原油価格の下落はエクソンモービルにとっても痛手でしたが、川下部門がクッションとなり、オイルメジャーの中で唯一黒字を維持することができました。

原油価格は予想できないという前提の下、徹底した財務管理が行われているのが、エクソンモービル最大の魅力です。この辺は他の人のブログを見たほうが詳しく乗っているので、この辺にしておきます。

売上も世界中に散らばっており、十分な水準です。石油はどの国でも需要がある重要な資源です。

 

あまり見たくないグラフです。売上の変動のわりに利益の変動が緩やかなのはさすがです。しかし、粗利が少なく、売上に対する純利益の比率が小さいです。

また、オイルメジャーでは一番マシとはいえ、原油価格という制御できない部分で利益が大きく変動するのはマイナスです。

 

汚いグラフですが、フリーキャッシュフローがすべてプラスなのでよしとします。イメージの通り、事業維持のために必要な設備投資は多いです。

34年連続増配はさすがです。堅実な経営をしているので、配当原資が尽きることはないでしょう。ただし、利益の減少により自社株買いも少なくなっているので、EPSの増加率には注目していかなければなりません。

自己資本比率はほぼ50%をキープと、鉄壁です。そろばん勘定を大事にする企業なので、設備投資費と配当原資が尽きないよう、多額の現金を保有しています。

その代わりROEは原油価格によって大きく変わります。しかし、原油価格は回復中なので、今後は期待できるかと思います。

 

現時点情報(2017/8/19)

株価…76.64ドル
配当利回り…4.0%
連続増配…34年

おまけで原油価格(ピンクのチャート)も載せています。

基本的にエネルギーセクターに属する企業は、原油価格に合わせて株価が動くことが多いですが、エクソンモービルはその中では一番ゆるやかです。原油価格の落ち込みほど下落していません。

配当利回りは4%を超えており、魅力的な水準かと思います。連続増配も、鉄壁の財務状況であれば問題なく続くでしょう。

エクソンモービルは、多くのシーゲル流投資家に人気が高いです。なぜかというと、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の末来」にていい感じに取り上げられているからです。

企業の成長性とリターンは関係ないという、「成長の罠」を説明する内容で、成熟企業のスタンダードオイル(エクソンモービルの前身)と、成長企業のIBMが比較され、圧勝した内容が書かれています。

実際、石油業界は、あと何年で石油がなくなるだの、悲観論が多く出ています。そのため、過度に投資家の期待がかからないのは大きな魅力です。

また、石油企業は、今はやりのクリーンエネルギーに比べて、環境に悪い、臭いなどといった、負のイメージが根付いているので、投資家にとっては好都合です。

石油があと30年でなくなるといわれて30年が経過しましたが、石油の埋蔵量は、むしろ以前よりも増えています。なぜかというと、昔は技術的に取れないと思われていた石油が、発掘できるようになったからです。

石油はまだまだエネルギーの中心として居続けることでしょう。

エクソンモービルは、これらのエネルギーセクターの中で、一番堅い銘柄であるため、上記の内容に魅了された投資家のお気に入りになっています。

しかし、シーゲル二郎は、あまり好きではありません。

理由を挙げれば、1つ目にエネルギーセクターは石油の原油価格に振り回されるコモディティだからです。他の企業のように、ブランドで売ることができません。

例えば、いくらエネゴリくんが「ガソリンがいいと車の走りもよくなるよ」といっても、消費者が選ぶ理由は結局値段です。特にガソリンスタンドは、1円安いだけで、離れた場所まで車で行く変わった人もいるくらいです。

ブランドによる差別が値段しかないため、結局いかに安く販売するかにかかってしまいます。

また、キャッシュフローが安定しないため、各種グラフが汚くなっており、美しくありません。収入が安定しないから、貯蓄(=自己資本比率)を多くするしかありません。

また、エクソンモービルは、現金を多くため込んでおり、内部留保をため込む日本企業みたいです。(ため込む目的が違うことは理解できますが)また、設備が多い宿命で固定資産も多いです。

普段投資をするときは、フィリップモリスやマクドナルドが債務超過になるまで株主還元することをベタ褒めするのに、その逆のエクソンモービルも持ち上げるのは少し不思議です。

また、ジェレミー・シーゲル氏が調べた過去のセクター別リターントップ5は次の通りです。

1位 ヘルスケア…14.19%
2位 生活必需品…13.36%
3位 情報技術…11.39%
4位 エネルギー…11.32%
5位 一般消費財…11.09%

参考文献「株式投資の未来」

とこのように、エネルギーセクターは4位に甘んじています。その前後を挟むのは、シーゲルはが忌み嫌う情報技術と一般消費財です。

正直なところ、ヘルスケアと生活必需品以外はほとんど誤差の範囲であり、セクターごとに優劣があるとは考えにくいです。

もちろん、石油が儲かる商売であることには変わりませんが、将来の不確実性は高いです。そういった意味では、現在の成熟した高収益IT企業と大差ないのかもしれません。

エクソンモービルがピカピカの優良企業であることには変わりませんが、シーゲル二郎は様々な矛盾を感じずにはいられません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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