【書評】 バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方

つみたて次郎です。

「バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方」を読んだので感想文です。

 

バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方

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著者は複利のチカラで億り人ブログを運営されているひろめ氏(@hiromethods)です。

エア辛味投資ナイトに2年連続で参加している生粋の辛味投資家でもあります(蛇足情報)

2018年…エア辛味投資ナイト2018を開催しました in メキシコ
2019年…エア辛味投資ナイト2019が本日開催 in フクシマ

それはさておき、この度はなんとひろめ氏より電子版を献本いただきました。

 

ありがとうございます!

 

だがこのつみ次郎、たとえ献本された本であろうとぶった斬っていくのが信条…さっそくぶった斬っていこうではないか(フラグ)

 

連続増配の考察

ひろめ氏本人が「25年以上連続増配銘柄だけで株式ポートフォリオを構築中」というスタイルなだけあって、序盤は連続増配に関する考察がひたすら続いています。

連続増配と言えば米国配当貴族指数(S&P500配当貴族指数)が有名で、つみ次郎も投資信託を経由して連続増配銘柄に投資しています。

参考記事…【2020年版】つみたて次郎の秘密のポートフォリオ

ざっくりとした説明であれば連続増配25年以上の銘柄で構成された指数で話は終わってしまうのですが、本書ではそこから深く掘り下げられており、ここまで深く特定の指数について触れられているというのは非常に珍しいです。

その中で特に気になったのは、「複数存在する連続増配基準」と「複数存在する連続増配カテゴリ」についてです。

 

連続増配〇年というのはよく使われるフレーズですが、何をもって連続増配達成とカウントするかについては複数のパターンが存在しており、本書では以下の3つが取り上げられています。

連続増配基準

①増配スパンが12カ月以内の連続増配
②暦年(CY)の年間配当を基準にした連続増配
③会計年度(FY)の年間配当を基準にした連続増配

出典「バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方22頁」

ひろめ氏オリジナルの基準が①、配当貴族指数は②となっています。

結論だけ述べると②③は2年半に1回の増配でも連続増配を達成することができます。

詳しい理屈等は本書で確かめていただきたいところですが、あくまで1年間の配当合計を基準に考えるので、米株に多い四半期ベースで考えた場合は必ずしも過去1年単位で増配されているわけではないということですね。

 

また、連続増配銘柄のカテゴリとして、配当貴族というのは非常に有名ですが、それ以外にも様々な分け方について紹介されており、大きく分けて次の4つが登場しています。

・配当貴族
・配当チャンピオン
・配当王
・配当公爵

配当チャンピオン・配当公爵というのは初めて聞きました。

それぞれ連続増配年数を基準にスクリーニングしているのは共通していますが、それぞれの微妙な違いや選別された銘柄のセクター比率などが考察されておりとても面白いです。

また、配当貴族VS配当チャンピオンVS配当公爵でリターン比較を行っていますが、2008~2018年の10年間においてはいずれもS&P500指数を上回っており、それぞれあまり大きな差はないという結論が出てきます。

 

 

バリュー投資の考察

本書のタイトルでも「バリュー投資」「割安株」というワードが使われており、本書のメインともいえる部分となっています。

PER・PSR・PBR・配当利回り・配当性向と言った基本的な指数について解説されており、単なる意味や計算式だけではなく「どのような状況になると指標が変化するか?」といった時間軸も考慮した具体例があって非常に分かりやすいです。

また、各種指標の推移をエクセルでグラフ化する手順についても詳しく解説されており、銘柄スクリーニングをする上での教科書的な内容になっています。

様々な指標を用いて機械的に銘柄を選別していくという発想はつみ次郎も好みですので、もし個別株に手を出す時があれば再び参考にさせていただきたいと思います。

ひろめ氏の場合、バリュー株指標と連続増配を組み合わせることで優良株のバリュー投資を行うというのが基本的なスタイルとなっています。

また、つみ次郎として一番ためになったのは、連続増配記録が途切れた場合の対応についてです。

一部引用します。

 

出典「バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方109頁」

 

上記のデータを元に、ひろめ氏は以下の結論を出しています。

配当維持、減配銘柄、無配銘柄はリターンと標準偏差の両方でS&P500指数より劣っていたことから、保有株に減配銘柄もしくは連続増配が途切れた銘柄が出てきたときは無条件で必ず売却すべきことがわかります。

出典「バリュー投資家のための「米国株」データ分析―ひと握りの優良株が割安になるときの見分け方110頁」

個人的には一番ためになった部分です。

「減配したらすぐ売れ!」という話はよく耳にしますが、どちらかといえば損切りを前提とした順張り(?)として語られることが多いので、つみ次郎としては減配したら即売るという方針については懐疑的な立場でした(配当貴族指数に対する懐疑でもある)

しかし、このような形で明確に減配とリスクリターンに関連性があるのであれば、機械的に叩き売るのは正解という事になり、減配どころか配当維持銘柄すら無慈悲に切り捨てる配当貴族指数も優良スクリーニングを行っているという事になります。

あかん、配当貴族指数にまた投資したくなってきた(笑)

 

連続増配×バリュー投資×税金社会保険

本書はバリュー投資だけでなく「配当金を活用したセミリタイア生活」もテーマになっており、配当金にかかる税金、有利な課税方式選択、社会保険等についても深く考察されています。

つみ次郎としては投資方針的にも人生設計的にもまだまだ先の話となりそうですが、配当株を中心としたポートフォリオを組んでいたり、セミリタイアを検討している人や退職世代の人にはたまらない内容かと思います。

連続増配を頼りに優良バリュー株を探す→長期ホールドして配当金生活というのが本書の一連と流れと言えます。

個人投資家が書いた本にありがちなゆるふわな雰囲気はなく、良い意味で非常に硬派な仕上がりになっています。

タイトルにも「バリュー投資家のための」と謳っているだけあって、投資初心者ではなくバリュー投資家として目覚めつつある(?)投資家に向けた本であると強く感じました。

また、表紙ではほとんど紹介されていませんが連続増配に関する珍しい考察が多いので、連続増配・配当貴族指数・減配というワードにピンとくる人にはぜひオススメしたいです。

 

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次郎チャンピオン

 

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