バリューとグロースは相反する概念ではない。「バリューグロース株」を探せ!
つみたて次郎です。
最近では、高配当株VSグロース株の議論が活発ですが、本来この2つは対になるものではありません。
正しく対にするのであれば、高配当株VS低配当株またはバリュー株VSグロース株となります。
とはいえ、一般的に高配当グロース株というのは非常に珍しく、高配当株=バリュー株、低配当株=グロース株になりやすいためこのような状況になっているのだと思われます。
バリュー株とグロース株の定義については様々ですが、一般的には相反する概念として考えられています。
バリュー株投資は株価の割安度を重視し、グロース株投資は企業の利益成長力を重視します。
バンガード社からは、バリュー及びグロースにフォーカスしたETFが多数出ています。
・バンガード・米国バリュー(VTV)
・バンガード・米国グロース(VUG)
・バンガード・米国スモールキャップ・バリュー(VBR)
・バンガード・米国スモールキャップ・グロース(VBK)
それぞれの銘柄数や各種データから推測するに、バリューとグロースで銘柄の重複はほとんどないかと思われます。
したがって、バリューかつグロースな株は存在しないと定義していることになります。
上記ETFでは、PER・PBR・配当利回り・PSR等を基準に選別を行っているようで、これらの指標をもとに割安なものはバリュー、割高なものはグロースとして分類されているようです。
これだけ聞くと、グロース派から怒られてしまいそうな分類方法ですね(笑)
一般的に低PERや低PBRな銘柄をバリュー株、高PERや高PBRな銘柄をグロース株と定義することが多いですが、その境目は非常にあいまいです。
例えば、一般的にバリュー株に分類されやすい生活必需品セクター銘柄は、事業基盤が安定しているためPERは高めに推移することが多いです。
また、自社株買いに積極的な企業が多いので、株主資本比率が低くなりPBRも高めになっていたりします。
最近は下落により落ち着いていますが、去年あたりの生活必需品セクターブーム?が巻き起こっていた時点ではとてもバリュー株とはいえない水準でした。
バリュー株投資といえば、ウォーレン・バフェット氏を思い浮かべる人も多いです。しかし、バフェット氏の投資方針は、一般的なバリュー株投資とは違う視点を持っています。
バフェット氏は、割安株投資・成長株投資という表現をあまり好んでいません。
今でこそバリュー株の代名詞的な扱いをされるコカ・コーラ(KO)も、バフェット氏が投資した当時は割高なグロース株でした。
また、「そこそこの事業を割安で買うより、素晴らしい事業をそこそこの値段で買ったほうがいい」という格言からあるとおり、バフェット氏はあくまで優良企業を安く買うという戦略を取っているだけで、そこにバリューやグロースという概念はないように感じます。
例えPERが100倍だろうが200倍だろうが、企業価値に対して割安と判断するならばバフェット氏は躊躇なく投資することでしょう。
シーゲル銘柄として有名なフィリップモリス・インターナショナル(PM)は、投資家からの低い期待と高い利益成長がかみ合った結果、他を寄せ付けない素晴らしいリターンをもたらしてきました。
いわば「バリューグロース銘柄」ともいえ、バリュー株とグロース株の良いところを併せ持ったような存在でした。
低い成長しか見込めない企業を激安で買ったり、高い成長を見込める企業をそれなりの値段で買っても、それなりのリターンを得ることは可能です。
ですが一番良いのは、「高い成長を見込める企業を激安で買う」です。まさに過去のフィリップモリスはこれに該当していたからこそ年率20%近い膨大なリターンを得ることができたのです。
個別株で1発当てたいのならば、割安かつ高成長な銘柄を探さなければなりません。
通常のバリュー株投資及びグロース株投資では、そのうち片方を最初から放棄しているので、未来のPMを探し当てることは非常に難しいでしょう。
図でまとめるとこんな感じですね。PMは左上の割安×高成長に該当します。
バリュー株投資は、低成長×割安の部分からリターンを得ようとします。
グロース株投資は、高成長×割高の部分からリターンを得ようとします。
バリューやグロースという概念にとらわれ過ぎてしまうと、未来の黄金銘柄を逃してしまいそうです。
両方を兼ね備える「バリューグロース株」を探していくことが重要なのかもしれません。
しかし、成長力や割安かどうかを判断するのは、金融のプロでも困難です。下手な分析力では、右下に該当するような低リターン銘柄を掴んでしまう可能性があります。
やはり素人なら、バリューかグロースのどちらかに絞っていくか、間を取ってインデックスに投資するのが無難になのかもしれませんね。
ブログ村ランキング
バリューグロース次郎