PERの欠点

シーゲル二郎です。

株価の割安度を表す指標に、PERがあります。これは、会社が生み出した年間の1株当たり純利益に対して、現在の株価が何倍であるかを記した指数です。

例えば、次のような会社のPERはいくらになるでしょうか。

 

シーゲル二郎株式会社

1株当たり利益  500円

現在の株価  7,500円

 

計算は、7,500÷500円=15倍となり、この15がPERとなります。会社の利益は株主のものになりますので、このままの利益が15年間続けば、最初のもとが取れる計算になります。回収までの期間は短ければ短いほうがいいので、数字が小さいほど割安であると考えれます。

しかし、会社の利益がジェットコースターのように変動する場合は意味がありません。例えば、上の会社の1株当たり利益が250円になってしまったら、PERは30倍になってしまいますし、逆に絶好調で利益が2,500円になったときは、PER3倍となり、とても割安であるという評価になってしまいます。

また、赤字になってしまった企業を評価できないという欠点もあります。かの有名なトヨタ自動車は、赤字に転落した年がありましたが、利益がマイナスの時はPERもマイナスになり、投資価値なしとなりますが、トヨタ自動車に価値がないなんてことにはなりません。

逆に言えば、利益が毎年変化しないような、退屈な企業であれば、PERによる計算が有効であるということです。しかし、PERは、業種により大きく平均値が違っています。

例えば、コカ・コーラ、フィリップモリスなどの生活必需品セクターは、非常に安定している企業群のため、PERは常に高めになっており、米国では現在20倍が平均です。逆に、リーマンショックでズタボロになっている金融セクターは低く平均が15倍しかありません。そのため、PERで比較する場合は、その株式の過去のPERや、同じ業種の企業との比較にとどめるようにしましょう。

このように様々な欠点もありますが、会社の増益への期待により株価が上がり、PERも上がっているので、市場全体の過熱具合を図るのには、最も有効な指数になっています。

例えば、ITバブルの時は、全体のPERは最大40倍を超えましたが、その後は20倍近くまでしぼみました。

一昔前までは米国株の場合15倍くらいが適正だといわれていましたが、いまでは20倍ぐらいまでは買っていいのではというように、基準がだんだん上がっています。

昔に比べて、企業の情報公開や、インターネットで瞬時に売買ができる環境が整っているので、平均が上がっているのもうなづけますが、平均のPERが上がっているということは、会社の利益の上昇率よりも株価の上昇率が高いことを表しており、多くの人が株式投資のリターンを狙っている状況といえます。

短期的には株価の上昇はキャピタルゲインを狙うことができますが、ドルコスト平均法や配当金再投資を実践している我々にとっては、高値掴みにより、将来のリターンが下がってしまいます。

そのため、現在のPERの上昇は、バブルではないが、将来のリターンを押し下げる懸念であるとシーゲル二郎は考えています。株価がぐんぐん伸びてPERが上昇するのは、我々の世代が取り崩しを始める30年後まで待ってください。(切実な願い)

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