時価総額加重平均と市場の効率性について

つみたて次郎です。

先日投稿した記事がちょっとした反響を呼んでいたので、補足記事を書いてみました。

参考記事「VTや楽天VTへの投資は正しい国際分散投資といえるのだろうか?

先に読んでいただくことをオススメします。概要としては、VTのような時価総額加重平均のインデックスファンドは、構造的に先進国株の比率が高くなっているため、バランスが良いとは言えないという内容です。

特に、経済力でアメリカに迫る中国株の比率はたった3%であり、ロシア・インド・ブラジル・南アメリカのような新興国を全部足しても10%程度です。

もちろん今後は増えていくと思われますが、現時点の経済力と照らし合わせても非常に歪です。GDPでは新興国は既に世界の半分弱を占めています。

したがって、巷で言われるようなアメリカ中心の資本主義が崩壊する可能性まで視野に入れるのであれば、VT1本という選択は非常にリスキーということになります。

一応誤解のないように説明しておきますが、つみたて次郎はVT1本という選択肢を批判しているわけではありません。

現実問題として、VTが弱点を抱えていることは間違いありませんが、じゃあどうすればいいのか?といわれてしまったら答えることができません。

つみたて次郎は、VTへの投資を「市場の効率性に賭ける投資法」だと思っています。

市場の効率性とは、「効率市場仮説」の基づく考え方であり、次のような理論です。

全ての株式は、現在の財政状況や収益性・将来の成長率や株主還元を織り込んで株価がつけられており、株価は常に適正価格になっている。
したがって特定の銘柄選定により、超過リターンを得ることはできない(難しい)

結局、いい株にはいい値段がついて、悪い株には悪い値段がついてしまうので、どの株を買ってもリターンには大差ないという理屈です。

参考記事「AMZNとGEの期待リターンは同じ?

「猿ダーツ理論」という面白い概念もあります。猿がダーツを指して選んだテキトーな銘柄で組んだポートフォリオでも、プロが安定して勝つのは至難というデータがあります。

当然、世界にはバフェット氏やレイダリオ氏のように勝ち続ける投資家がいますので、完全に市場が効率的とは到底言えません。

しかし、多くのアクティブファンドや個人投資家が長期で市場平均に勝てない以上、かなりの程度効率的だということができるはずです。

究極的には、アメリカが天下を取ろうが、中国やロシアが天下を取ろうが関係ないということです。

株式のリターンは、「期待と実績の差」によって生まれます。

それを踏まえれば、経済力に基づくバランスで保有するのではなく、株式市場という箱を基準として投資を行う時価総額加重平均インデックスファンドは、市場が効率的であるという前提の元最善の投資先となります。

しかし、本当に市場が効率的であれば、バブルや暴落などは発生しません。バリュー・モメンタム・小型株といったアノマリーの存在もただの偶然ということになってしまいます。

ですが、現実にはバブルも暴落も発生するし、特定の銘柄が大きくアウトパフォームするのも日常茶飯事です。市場は完全に効率的とは到底言えない状況です。

仮に市場があまり効率的でなかったとしても、時価総額加重平均であればその成績は常に平均点です。

そのため、市場そのものがプラスリターンであり続ける限り、特別不利になることがないというのも大きな強みです。

これらを踏まえれば、時価総額加重平均に基づく全世界株式への分散投資は、非常に優秀な戦略の1つです。

主観が一切入り込まない鉄壁のポートフォリオです。極論かもしれませんが、全ての投資戦略はVTに勝てるかどうかで考えるべきだと思っています。

参考記事「全投資家のベンチマークはVTだ!

もしVTへの投資が失敗に終わるとすれば、次のような理由が考えられます。

 

①株式市場の成長が止まる

インデックス投資は、当然ながら指数が右肩上がりでなければリターンを得ることができません。過去200年では多くの国で株式は右肩上がりでしたが、その前提が覆る可能性もゼロとは言い切れません。

 

②世界経済の成長が止まる

①と被りますが、経済成長が「投資家の予想をはるかに超えて」停滞した場合、株価は下がり続けます。逆に言えば、投資家が予想できる範囲の停滞・衰退であれば株価が調整されるので問題ありません。

予想をはるかに超えてというのがミソで、世界的な自然災害や核戦争による資本破壊・大規模な感染症による人口減少などが大きなリスクとなります。

 

③新興国が想定以上に成長する

VTには、新興国がわずか10%しか含まれていませんが、今後はアメリカに並び世界経済の主役になることが予想されています。新興国が成長すること自体は問題ありませんが、アメリカ含む先進国を圧倒するような事態が発生すれば、VTの90%を占める先進国部分に悪影響をもたらす可能性があります。

いずれにせよ、新興国が「投資家の予想をはるかに超えて」成長することが大きなリスクの1つです。

 

④新興国が先進国化せずに成長する

投資家は、先進国・新興国という括りで投資国を考えることが多いです。そして、新興国はいずれ先進国になるだろうといわれています。

しかしつみたて次郎は、「新興国が先進国にならずに成長を続ける」というシナリオも十分あると思っています。アメリカ主導の自由経済が衰退し、中国のような国家主導の経済が主流となった場合、投資家にとっては大きな問題となります。

あくまで株式は、需要と供給に基づき自由に売買されることにより市場の効率性が保たれます。その前提が崩れ、売買の制限や市場閉鎖などの介入が行われてしまえば、適正な株価を計算するのが困難になってしまいます。

また、株主利益を軽視した無秩序な増資や上場廃止などが行われるようになってしまえば、インデックス投資家・アクティブ投資家問わず大きなダメージを受けるでしょう。

分かりやすく言えば、株式市場が右肩上がりになる仕組みが崩壊し、株式投資がプラスサムゲームでなくなる可能性が飛躍的に高まることになります。

 

まとめ

結局のところ市場が効率的であろうとなかろうと、時価総額加重平均の全世界株式に投資するのが最も無難であるという点には変わりありません。

新興国が急成長する可能性もありますが、新興国株を足すというのは、各投資家の主観が入ってしまうことを意味しており、その比率については議論を生んでしまうことになります。

その他、企業分析に基づいたファンダメンタルインデックスや、特定の属性にフォーカスしたスマートベータ指数等もありますが、結局これらも市場平均に勝てるかどうかは分かりません。

結局平均点を取るには時価総額加重平均が唯一であり、その優位性が揺らぐことはありません。

もし世界の株式市場が右肩上がりという前提が崩れるのであれば、そもそも何に投資しても長期で勝つことは難しいでしょう。ギャンブルで勝とうとするのと同じです。

VTは、市場が効率的なら唯一の正解となり、効率的でなくても常に中立を保つという、非常に優れた投資先です。

そのため、「VTに勝つのは簡単だ」などという投資家の言うことは話半分で聞くようにしています。

「VTは最強のボスである」という視点を持って、市場平均に勝つための戦略を練っていきたいですね。

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VT次郎

時価総額加重平均と市場の効率性について” に対して 4 件のコメントがあります

  1. 乾燥 より:

    vtが敗北するようなリスクが発生した場合、庶民が生涯でvtに積立できる程度の資金があってもなくても大して変わらないでしょうし、その時はまあ投資してきた庶民も貯金オンリーだった庶民も一緒に貧困塗れになろうやって感じですね

  2. つみたて次郎 より:

    ≻≻乾燥様

    まさにその通りだと思います。VTが敗北する状況になってしまったら、一般庶民では対応できる術がないと思われます。
    少し大げさかもしれませんが、金持ちが地下シェルターを準備したり私設軍隊を結成したりとかそういうレベルになりそうです。

  3. シーゲル三郎 より:

    分からないことがあるので、確認したいのですが、今後、中国、インドなどの新興国が、成長していくと、自動的にVTの銘柄の割合が自動的に変わり、新興国の成長の恩恵を受けて、投資していた人には利益が出るのではないでしょうか?

    もしかして、VTって、そういった金融商品ではないのでしょうか?

    VTって世界中の株式の98%(?)を補完していると聞いたので、新興国の成長の恩恵をそのまま受けることが出来ると認識しているのですが、間違っていますか?

  4. つみたて次郎 より:

    ≻≻シーゲル三郎様

    名前で笑わせてもらいましたw
    一般的には、おっしゃる通りVTの比率は自動的に調整されていき、新興国の成長の恩恵を受けることができるといわれています。
    しかし、実際の経済力と照らし合わせると、新興国は大分過小評価されていると私は考えています。
    http://siegeljiro.com/vt-tadashii
    参考記事ですが、VTはあくまで株式市場全体をカバーしているだけであり、未上場企業や国営企業の存在、浮動株調整を考慮すると、新興国は大分過小評価されます。そしてこの歪は、新興国の法整備が急速に進まない限り是正されることはないでしょう。
    したがって、VTは確かに世界中の株式に分散投資できるが、その比率が先進国に偏っているという事についてはしっかり考える必要があるかと思います。

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