バイアンドホールド戦略が有利な理由

つみたて次郎です。

つみたて次郎含め米国株クラスタでは、バイアンドホールド戦略を採用している人が多いです。

BUY&HOLDは、株式や債券などを短期間では売買することなく、ひたすら長期保有してリターンを得ようとする投資法のことです。

バイ(買う)とホールド(保有)をひたすら繰り返すことになります。

世間一般的には、投資といえば「安く買って高く売る」というイメージが根付いているので、認知度という意味ではあまり有名ではないかもしれません。

世間一般どころか投資家の間でも、「安く売って高く売る」というフレーズはいわば金言になっており、その真逆ともいえるバイアンドホールド戦略には懐疑的な見解を示す方も多いです。

バイアンドホールドの場合、基本的に売らないので「高く売る」という部分を放棄しています。売却するのは、投資方針の見直しがあった場合だけで、リバランス等を除けば資産形成後に少しずつ取り崩しをしていくだけです。

それどころか、「安く買う」という部分すら放棄するケースも多いです。つみたて次郎もそうですが、基本的に割高だろうとひたすら買い増しするだけです。

バイアンドホールドに対する批判として一番多いのは、当然ですが「安い時に買って高い時に売ったほうが儲かる」という点です。

市場は毎日上下を繰り返しているので、下がったときに買って上がったときに売ればその分利益を得ることができます。

現実問題として、バイアンドホールド戦略はその投資対象そのものがプラスにならなければ利益を得ることができません。

自分の投資対象が右肩上がりになることに賭ける投資法なので、長期的に下落を続ければ報われることはありません。

そのため、長期的な成長が見込める銘柄に投資することが重要です。インデックスファンドは特に相性が良いです。

とはいえ右肩上がりだとしても、短期で見れば上がったり下がったりしているのだから、積極的に売買を繰り返したほうが良いという批判もあります。

しかし、市場を読むのはプロでも難しく、個人投資家ならばなおさらです。

「市場は予想できない」という思考から生まれたのがバイアンドホールド戦略ともいえます。

バイアンドホールド戦略とは、「市場を読むことを諦めた敗者の投資法」でもあるのです。

短期で大きなリターンを得ることは難しく、暴落が発生すればダイレクトにダメージを受けます。通常レバレッジをかけることはないので、億万長者になれる可能性も低いです。

 

 

そんな地味でダサいバイアンドホールド戦略ですが、圧倒的に有利になる部分もあります。

 

①コストが最小限

バイアンドホールド戦略は、基本的に買い付けしていくだけので、売買回数が少なくて済みます。

また、売却する時点で利益が出ていた場合は課税されてしまいますが、売ることがないバイアンドホールドの場合は、最終的に取り崩すタイミングまで半永久的に課税を繰り延べすることができます。

現在、キャピタルゲイン税は約20%となっていますが、これは非常に大きいです。

例えば、売買回転率が50%(=1年間で半分が入れ替わる)の場合、単純に利益の20%×の半分、つまり利益の10%に課税されてしまうということになります。

単純な計算ですが、もしとある年度で15%のリターンを得ていたら、1.5%相当分の税金を前払いしているようになってしまいます。

バイアンドホールドならば、この税金前払いを回避することができます。

 

②株式や債券の長期リターンはプラス

伝統的な金融資産として株式と債券がありますが、皆さんご存知の通りどちらも長期平均リターンはプラスです。

いわばプラスサムゲームであり、参加するほどオトクになるゲームということになります。つみたて次郎はこの事実に興味を惹かれて投資の世界に足を踏み入れています。

バイアンドホールド戦略を採用している理由は、期待値がプラスであり、持っているだけでリターンになるという予想を見込んでいるからです。

その反面、売買を繰り返す投資家は、投資資金の一部を現金でプールしているケースも多いです。これはつまり、その現金はゲームに参加していないということに等しいです。

割安な時は株式を買い、割高な時は売って現金にしておくタイプの投資家の場合、プラスサムゲームに参加していないもしくは一部でしか参加できていないことになり、期待値としては不利な賭けとなります。

パチンコ・競馬・宝くじ等の公営ギャンブルは、期待値がマイナスだから不利だというのと理屈上は同じです。

マイナスサムゲームにはできるだけ参加せず、プラスサムゲームに積極的に参加するのが期待値が最大になります。

ただし、同一資産クラスで売買を続ける場合には当てはまらない理屈です。

例えば、株式Aを売って株式Bを買うといった取引を繰り返すタイプの投資家ならば、期待値は常に一定です。ただしその場合は、往復で手数料が必要なため①で示したコストがかかりやすくなります。

 

③短期間の上昇相場を逃さない

投資の世界では、ごく瞬間的に高いリターンをもたらす稲妻が走る瞬間というものがあります。

参考記事「稲妻が走る瞬間とは?

バイアンドホールド戦略は、右肩上がりを前提にした机上の空論であるという批判もありますが、むしろ全てのリターンを拾うために行う現実的な投資法であるということもできます。

全ての暴落を受け止める代わりに、全ての暴騰も受け止めることができます。

バイアンドホールド=インカムゲイン投資という誤解もありますが、それはあくまで副次的な作用に過ぎず、本質的には値上がり益含めたトータルリターンをしっかり享受するための戦略です。

 

まとめ

バイアンドホールド戦略は、ローリスクローリターンな投資法であるという説明がされることがありますが、むしろ暴落を恐れずリターンを得ようとするハイリスクハイリターンな投資法であると考えることができます。

手数料や税金が最小限で済み、市場に居続けるため期待値的には最も有利な投資法です。

また、鋼の精神力さえあれば誰でも実行可能な再現性の高さが最大の魅力ともいえます。

複雑な知識なく、売買のための時間も最小限で済むバイアンドホールド戦略は、貯金の延長として資産形成を行う場合にピッタリの投資法だと思います。

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バイアンドホールド次郎

バイアンドホールド戦略が有利な理由” に対して1件のコメントがあります。

  1. 投資初心者主婦 より:

    いつもブログで勉強させていただいている投資初心者主婦です。

    今日の記事で「長期的な成長が見込める銘柄に投資することが重要です。」と書かれていますが、楽天証券トウシルの山崎先生は最新記事で「長期投資は成長に賭けるのではなく、投資のリスクを負担することに対するリターンの源泉は資産の価格形成にある。」と書かれています。
    特に「リターンの源泉は資産の形成にある」という意味がわかりません。
    もしお時間があれば、初心者向けに解説していただけたら有り難いのですが。

  2. つみたて次郎 より:

    いつもありがとうございます。
    記事中の「成長が見込める銘柄」というのは省略した表現で、より正しくするなら「株価の成長が見込める銘柄」となります(=企業の成長ではない)
    山崎先生の該当記事は私も読んでおりますが、誤解されやすい部分について丁寧に解説されていると思います。
    正しく理解できているかは分かりませんが、私としては「株価の成長と企業の成長は連動していない」という風に解釈しております。
    近いうちに解説記事を投稿したいと思います。

  3. 投資初心者主婦 より:

    なるほど~企業や経済の成長に賭ける、と誤解していると、成長の罠にはまり間違った投資をしかねない。長期投資をしている意義は「株価の成長」の方にあるんですね。
    解説記事もわかりやすかったです。ありがとうございました。これからも楽しみにしています~。

  4. ASSA より:

    いつも勉強させていただいてます。私はiDeCoは節税目的と割切り定期預金にしてますが、この度、松井証券で一般NISAを同一銘柄を累投のような積立で初めていこうと思った際にこちらのブログを拝見しました。バイアンドホールドはインカムゲイン目的なのかなと浅はかに考えてました。あとメリット(?)としては仕事中に株価を見たりしたくないので、買い放しがいいのかと思いますね。とはいえ、暴落、暴騰の際はどう考えるのがよいでしょうか… やはり損切り、利確したくなるのではないか不安です。

  5. つみたて次郎 より:

    >>AASA様

    いつもありがとうございます。
    バイアンドホールドもメリットデメリットありますが、暴落・暴騰した時に自分がどのような心境になりそうか、具体的にその時にどう動くか(リバランスなど)をあらかじめ決めておくことが重要だと思います。
    後は余計なアドバイスかもしれませんが、iDeCoは拠出した時点で節税目的が達成されますので、NISAでリスク資産を買付するだけでなくiDeCo内で定期預金→リスク資産へのスイッチングも検討できそうですね。
    参考記事…https://siegeljiro.com/tsumitatenisa-ideco-tokuteikouza

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